はじめての電熱~RSタイチ「e-HEAT」:車両接続ケーブル取付篇
長年の“憧れ”であった「電熱ウェア」を、ついに手に入れた。RSタイチ謹製「e-HEAT」シリーズの、インナージャケットとグローブである。
なぜRSタイチ「e-HEAT」なのか
値段と性能のバランス
電熱ウェアは数あれど、日本人ならやっぱり「RSタイチ一択」だろう。
「アールエスたいち」= 英語特有の頭文字文化と、ジャパニーズ・トラディションが融合した見事なネーミングだ。「RS」は「レーシング・スポーツ」とか「レーシング・スピリット」とか、要は「レーシングなんちゃら」の略かとずっと思っていたが、会社の沿革を見るとどうやら「ライダーズ・スポット タイチ」の略らしい。ちょっとダサい。でも、そこがまたいい。
ちなみにホンダ車の“プチ”走り命系に冠せられる「RS」は、「ロード・セーリング (Road Sailing)」の略だそうだ。なんだそりゃ?と思うが、そのヒネくれた感じがまたホンダっぽい。閑話休題。
電熱ウェアと言えば、「Heatech」の方が知名度的には上なんじゃないかと思う。ただ、まず「ヒーテック」って語感が良くない。漢字仮名交じりだと「轢いてっく」。なんだか縁起も悪い。
まあ冗談はともかく、前身頃全体や腕に発熱体があるHeatechの方が、性能面ではきっと上だろう。ただ、ちょっと値段が高すぎる(安い方でも定価3万円以上)。RSタイチのインナージャケットは、前身頃の発熱体は腹の部分にしかない。(なんで?胸んトコになきゃ意味ないじゃん)とは思うのだが、そのぶんかなりお安い。
このところの私の根性の無さからして、そう頻繁に使用するとも思えないので、大枚はたいてリッパなモノを買い揃えるよりは、3万円台で上半身一式揃えられるRSタイチ謹製の方がちょうどいいんじゃないか、と思ったのだ。
「グローブ+モバイルバッテリー」は使えない
電熱ウェア(インナージャケット+グローブ)を購入した最初の動機は、2012年12月から愛用していた「e-HEAT ウインターグローブ・2012年バージョン (RST592)」がイカレてしまったためである。右手側の電源がまったく入らなくなってしまった。
数年前から電熱グローブを使っていたくせにタイトルで「はじめての電熱」と銘打ったのは、いわゆる「モバイルバッテリー式」の電熱グローブが、性能的に“電熱感”がまったくなかったからだ。
2012年式e-HEATグローブは、とにかくバッテリーが持たなかった。最強の「ハイパワー(赤)」にしないと真冬では使い物にならず、かと言って最強にすると約1時間でバッテリーが切れてしまう。たまらず予備のバッテリーを購入したが、それでもたったの2時間である。なので、使用するのは陽が落ちてから、身も心も芯から冷える夜間に限っていた。
6年の歳月を経た最新式は多少はマシになったとは思うが、商品説明を見る限りは大差がない。そして、相変わらず専用のバッテリーがバカ高い。
「グローブだけ+ケーブル」は想像するからにうっとうしい
モバイルバッテリーがダメなら、車載バッテリーから電源を供給するしかない。まだワイヤレスで電源を供給できるほどには、未来は訪れていない。きっといつかはそうなるだろうが、その頃には、私はもう生きていないだろう。
グローブだけを購入して車載バッテリーからケーブルで電源を供給するということは、「ジャケットの袖と腕の間にケーブルを這わせなければならない」ということだ。
まあ素っ裸の上にジャケットを着るワケじゃないから気にはならないのかもしれないが、それでもウネウネ動くものが袖にあるってのはなんとなく気持ち悪そうだ・・・ってなことを考えて、インナージャケットも合わせて購入することにした。
専用のジャケットと組み合わせれば、そんなケーブル問題も配線同様スッキリ解決、ってワケだ。
「バイクショップはとや」の気遣い
というわけで、
の3点を、ジャケットが楽天市場内で最安値だった「バイク用品はとやグループ・楽天市場店」で購入。合計額は36,159円。溜まっていた楽天ポイントを使って、24,690円。2万円台半ばで電熱ウェア一式が揃えられるなら御の字だ。
届いた段ボールを開けると、ヨレヨレの軍手がヒト組入っていた。何か書かれたシールが貼ってある。「?」と思いながらそのメッセージを読むと、ちょっとホロッとした。
商品の取り付け、整備の際にご利用下さい。くれぐれも、お怪我や火傷などなされぬよう、お気をつけください。
軍手なんて、ワークマンに行けば10組50円で売っている。だから軍手そのものはどうでもいい。でもペラッペラの軍手でも、こんなメッセージ付きなら何十倍も価値のあるモノに変わる。
さらにインナージャケットには、RSタイチ・ロゴ入りハンガーが付いていた (※冒頭の写真参照)。たかがハンガー、されどハンガー。しかもメーカーのロゴ入り。
こういった気遣いができるショップからは、また何か買ってあげようと思う。
それが消費者心理ってもんだ。
ちなみにぜんぜんジャンルは違うが、コナカ・楽天市場店の場合、スーツを買っても、いつの頃からハンガーが付いてこなくなった。かの有名な「コナカのスーツ・グルーポンおせち事件」が起きたのも、その頃のことである。
電源ケーブル取り付け
ピンクのヒューズ
ここからは、車両接続ケーブルセットのうち「電源ケーブル」の取り付けについて書く。といっても、車載バッテリーにケーブルを直接繋ぐだけの作業である。誰かのお役に立てるような内容は何もないのであしからず。
まずは、ヒューズをケーブルの途中に付いているターミナル(っていう名称なのかどうかは知らんけど)にブッ挿す。最初は「ヒューズ」と聞いて(え、また別に買ってこなきゃいけねえの、めんどくせ)と思った。
ずいぶん前の話になるが、カーナビのために南海部品謹製「電源くん (初代)」を取り付けたとき、いわゆる“バッ直”ができないくせにヒューズが付属してなかったので、近所のイエローハットまでわざわざエーモンの「ヒューズ電源」を買いに行ったのだった。だから「ヒューズ」と聞くと、どうしてもそのときの記憶がよみがえってしまう。
RSタイチ謹製・車両接続ケーブルは“バッ直”だし、ヒューズもちゃんと同梱されているので手間いらずである。
「インナージャケット+グローブ」を使用する場合は、ピンクのヒューズをブッ挿す。
「ピンク」ってのは辞書的に2番目の意味なら大好物だが、色としてはもっともキライである。でも、どうせフタを被せてしまうので何の問題もない。ちなみにこのターミナルのフタが異常にカタくて、私のユビのチカラではウンともスンともいわなかった。
ま、ユルユルでM109R特有の強震動でフタが開いて水が浸入してシャレにならない事態を招くのに比べれば、プライヤを使うぐらいの手間はどうってことはない。
リチウムイオンバッテリーの脅し文句
さて、私のM109Rに積んでいる車載バッテリーは、以前にも書いたとおり大枚はたいたリチウムイオンバッテリーである。
このバッテリーはさすがにバカ高いだけあって非常に優秀で、今年は3、4カ月に一度、しかも1回当たり数十kmしか乗っていないのだが(笑)、それでもイッパツで大排気量Vツインを目覚めさせてくれる。
そんな優等生が、いちばん目立つところで何か主張している。
◎下記車両には使用できない場合がございます。
(1) グリップヒーター、シガーソケット等の電装パーツが装備されている・・・
おいおい、なに弱気なことを言ってんだよ・・・。
私のM109Rには、グリップヒーターもシガーソケット(「電源くん」だけど)も装備しているし、そして今度は電熱インナージャケット+電熱グローブも接続しようとしているっていうのに。
丸型端子とクワガタ端子
この作業でもっとも面倒だったのは、バッテリー端子のネジを完全に外さなければいけなかったこと。車両接続ケーブルの端子が「丸型端子」だったのだ。
向かって右側の赤いのが車両接続ケーブル、左側が「電源くん」のケーブル。
「電源くん」のようにクワガタなら、ネジをゆるめてスキマにブッ挿すことができるのだが、丸型だとそうはいかない。ただまあ、この程度で面倒くさがってる時点で、DIYerとしては失格である。
長すぎるケーブル
M109Rの場合、シートの真下に車載バッテリーがあるので、 このテのケーブルは20cmもあればじゅうぶんである。が、当然この世の中に存在するのはそんなオートバイばかりではないので、ケーブルはかなり長めになっている (80cm)。
これが意外にカサバるため、リチウムイオンバッテリーに換えたことによってちょうどいい感じにETC本体が収まっていたのに、
この▲スペースに被せる安っぽい樹脂製ブタのプラスチックピンが、片方ハマらなくなってしまった・・・
と書きながらこのザツ過ぎる施工後の写真を見ていて、「ケーブルをキレイにまとめてヨコのスキマにでも入れておけば良い」、そう思った。そのうち、気が向いたらやるとしよう。
こんな感じでビロロロローン
そんなこんなで、フツーのDIYerならモノの5分で終わるような作業に30分以上もかかってしまった。
カールコードなのがせめてもの救いだが、後付け感たっぷりのケーブルがビロロロローンと垂れ下がるサマは、まるでハミチンのようでだらしない▼。
さらにインナージャケット左裾の、意識しなければ視界に入らない位置に接続ケーブルがあるので、私のように注意力散漫な人間は5回に4回はプラグを外し忘れて、「ああーっ引っ張られるーっ」てな感じのコッパズかしいことになるだろう。使用する前から、そんな光景が目に浮かぶようだ。
やっぱり私が生きているうちに、一日でも早くワイヤレスで電源が供給できる世の中になって欲しいものである。
【余談】M109R、14年目のフシギ
現代のオートバイにおける電源供給の理想は、ハナから装備されている電源ソケットにケーブルを接続することだろう。「理想」というか、もはや「最低限」の装備かもしれないが。
それにつけても、M109R。
2006年のデビュー時から変わらず、イマドキの便利機能や快適装備が何もないまま、2010年にタコメーターが簡素化されたりのコストカット(良く言えば「マイナーチェンジ」)されたままの状態で、USスズキでは2019年バージョンが売られている。
毎年、変わっているのはカラーリングのみ。
▲出典:2019 Suzuki Boulevard M109R BOSS Guide • TotalMotorcycle
フルモデルチェンジの必要がないほど、かの国ではそんなに売れているのだろうか。
(つづく)