ツーリング:2013/08/31:岩手県陸前高田市~八幡平
夏の終わり
夏が終わってしまう。
独特の開放感、高揚、感傷、せつなさ、懐かしさ・・・、そんな諸々を感じられる季節まで、また1年近くガマンしなくてはならなくなってしまう(当然、1つトシを取ってしまう)。
9月もじゅうぶん暑いが、「暦」というものに囚われて生きている日本人ゆえ、9月はやはり“夏”という感じは薄れてしまう。
“夏”の間に、どこか遠くに行かなければならない。
そんなわけで、オレルールの出発規定時刻(8:00前)は過ぎてしまったが、今夏のテーマである東北巡りへ、寝不足かつ完全ノープランのまま出かけることにする。
一路東北へ
9時過ぎにガレージ(借)を出発。
小バエのようにうるさい 元気アフレる走りの原付二種のみなさんはフルシカトでサクッと首都高に乗り、一路東北を目指す。
東北道をひたすら、ただひたすら走り続け、一関ICで下車。
相変わらず何も決められないまま、ひとまず海沿い(陸前高田)に向かう。
何のあてもなく
未だ残っている震災の爪痕は各所に見られたが、今回は写真に撮るのはためらってしまった。
もう、いいだろう。気分を害する人もいるだろうし(いや、誰もこんなブログを見てないだろうけど、一応公開する目的もあって撮ってるので)。
というわけで、写真をほとんど撮ることもなく、海沿いの道をただアテもなく走り続ける。
途中、「おっ?」と思ってバイクを無理やり停めて撮ってみたが、特になんてことのない景色だった。
ここの何に閃いたのだろう?
陸前高田市から海沿いを走り続け、大船渡市にたどり着く頃には、既に夕刻。
寝不足のせいか、ツラさばかり感じてきたので、さっさとどこかに泊まることにする。
宿探し
楽天トラベルで、¥5000(笑)で当日予約できるところを近く(海沿い)で探すが、1軒もヒットせず。
予算を¥7000まで上げてみたが、それでも全然ない。
ただ泊まるだけなので、それ以上は出したくない。
岩手の各地域を検索しまくる。
「盛岡」は都会だろうから除外。ゴミゴミしたところには行きたくない。
「八幡平」という、今思えば「山ん中」を連想させる名前なんだが、検索してみたら¥5500という格安プランがヒットし、写真を見ると結構立派なホテル。
ユーザレビューの平均点も、4.2とまあまあ高い。
写真と、料金と、レビュー点数にばかり気を取られ、「じゃ、ここでいっか」と思ってしまった。思っただけならまだしも、ソッコー予約してしまった。
いくつになっても、思慮が浅い。アラフィフとは思えない、浅さ。
遠回り
いやいや、遠かった。大船渡市から150kmぐらいか。
しかも、最初に方向を間違えたら、カーナビさんがとんでもない回り道を案内してくれて、またバカみたいにそのまま、結局20km以上余計に走り続けてしまった。
どうしようもない。アホ過ぎる。
・・・自分のアホさ加減を嘆いたところで、予約しちゃったから、とにかく行くしかない。
途中、遠野を通る。
(遠野で良かったじゃん・・・)
遠野は、検索してなかった。有名な土地なので、いいホテルがあったかもしれない。
案内標識を見る限り、遠野辺り
ずぶ濡れ東北道
やっとの思いで、東北道までたどり着く。
「東北道まで行けばこっちのもん」なんて思ってたのだが。
東北道に入って程なくして、豪雨。
もう、ホントに豪雨。
全身ずぶ濡れ(今年2回目)。ノープランゆえ、カッパなんて持ってきてない。
しかも前回(7月に栃木辺りで全身ずぶ濡れ)と違うのは、寒かったこと。
所所にある温度計は、20℃を表示している。そら寒いわ(※サマージャケット着用)。
途中で着込んだ、頼みの綱のユニクロマイクロダウンも、濡れちゃったら全くの役立たず。
こうなったらもう、耐えるしかない。
ただひたすら、“ペースカー”の後を、車間を一定に保つことだけを心がけて。
カーナビさんが指し示す通過ポイントが目的地に近づいていくこと、目的地までの距離が少しずつ減っていくことを心の支えにして。
しばらくすると、「盛岡」の標識。
(・・・盛岡で良かったじゃん・・・)
こんな思いをするぐらいなら、ゴミゴミなところの方が、まだマシだった。
要は、ノープランのみならず、岩手の地理を全く把握していなかったのだ。
(ま、「把握した上でどこかに行く」ことなんてないんだけど)
自分のあまりの愚かさに気が遠くなりながら、ようやく松尾八幡平ICで東北道を降りる。
あと残り10km弱。
IC手前で、憎き雨は止んでいた。
田舎のコンビニ
IC近くのコンビニに入る。
ヤマザキショップ?だったかな、はっきりとは覚えてないけど、まあ要はヤマザキ系のコンビニ。
店内の様子を見て、イヤな予感。
- オレ:「Edyとか使えま・・・」
- 店員:「Edyは使えません、現金のみです!」
こっちが言い終わる前に、食い気味で不躾な感じの店員が言い切る。
- オレ:「ATMはありますか?」
- 店員改め不躾君:「ATMはありません!」
・・・申し訳なさそうな表情など一切見せることもなく、むしろ自慢気に不躾君が言い切る。
そう、現金も下ろしてなかったのである。
「IC降りたらコンビニぐらいあんだろ」ぐらいのノリで。
いや、あったけどね。確かに。20年ぐらい前の感覚の、「コンビニ」は。
田舎を、ナメちゃいけない。
しかたなく、なけなしの小銭で酒を買う。
ホテルでは、酒を飲むことだけが楽しみなので、これは外せない。
¥300ぐらいは残ったが、ここで全財産を使い切るのはなんとなくマズイ気がして、食いモンはガマンする。
この時点で19:55頃。
ホテルに「最終チェックイン(20:00)には間に合わない」旨連絡し、真っ暗闇の中、最後の10km弱を走り出す。
山奥のホテル
いや、まあ、山ん中だから仕方ないんだけど。
真っ暗だし、道はグネってるし、いや、グネってる道はいいんだけど、その時点では霧雨程度とはいえ、路面は濡れきってるので全然楽しくはない。
「慎重」というより「こわごわ」と、「ホントにこんなとこにホテルなんかあんの?」って程の真っ暗闇の中を走り続ける。
カーナビさんが「着いたよ」と指定した場所に、入口はなく。
「ホテルはこっち」という看板に従ってさらに走り続ける。
ようやく、真っ暗闇の中にそびえ立つ、デカいホテルが見えた・・・
・・・が、入口がわからない。
イライラして軽く叫びつつ、周囲をぐるっと回って、ようやく駐車場の入口へ。
とりあえずフロントにバイクの置き場所を聞きに行こうとしたら、一応雨に濡れない場所にCB400SFが1台停まってたので、その横に停める。
・・・やっと着いた・・・
フロントのおじさんは、「ようこそ、このスバラシき八幡平へ」風な感じで話しかけてきたが、たまたま検索してヒットしたから来ただけで、ついさっきまで八幡平なんて存在さえ知らなかったのである *1。
テキトーに話を合わせ、いや、話を切り上げ(おじさんと話すより早く酒が飲みたいので)、エレベータに乗り込む。
素敵なお部屋
格安プランの割に、部屋は9階だった。
しかもツイン。
いや、ひとりなんで、ツインである必要はまったくないんだが、なんせ全身ずぶ濡れ。
服を広げて乾かせるスペースがたくさんあって、とても助かった。本当にありがとうございました。
ブーツには水が溜まってた
暗闇のリゾート
「9階だから、景色いいんじゃね?」
わざとらしくワカモノ言葉(笑)をツブヤキながらカーテンを開けたら、真っ暗。
本当に、真っ暗。なーんも見えない。
下の方に、うっすらと階下のベランダ“らしき”ものが見えるだけ。
どこかをライトアップするとか、そんな演出は全くなかった。
いや、山ん中なんだから、なんも見えないのは当たり前なんだが、“リゾート”ホテルなんだからさ、一応。
ガッカリして、カーテンを閉める。
このときのガッカリが、翌朝の喜びを増幅してくれるのだが。
そして無一文に
とっとと風呂に入り、というかシャワーを浴び、酒を飲みながら、かみさんとひとしきりLINEする。
結局2本じゃ足りずに、自販機でもう1本チューハイと、翌朝用にスポーツドリンクを買う。
これで、1銭もカネが無くなった。
何も食べずに(食べられずに)3本一気に飲みきり、いい感じに酔う。
そして、23時過ぎに就寝。
・・・疲れた・・・
- 走行距離=758.1km
*1:しかもこの時点ではまだ ”はちまんだいら” だと思ってた