ツーリング:2013/09/01:八幡平~竜飛崎
5時ちょっと過ぎに目が覚める。カーテンを開けてみる。
風の音さえなく、全てが静寂に包まれていた。
山々は、木々達は、ただただそこに佇んでいた。
そして、雲だけがゆっくりと動いていた。
あのクソ雨の中を耐え忍んだ苦労が報われた、と思った。
ノープランの恩恵
・・・とまあ、今こうして写真だけ見るとどうってことはないんだが、前日あまりに真っ暗すぎたために、また、そもそもここがどういうところなのかも良くわかっていなかったために、カーテンを開けるまではこの景色を全く予想していなかった。
だから、エラく感動した。
もし多少なりとも予備知識があれば、また、前日に少しでも周辺の景色を見ていれば、それほどの感動はなかったかもしれない。
去年の夏、糸魚川の山奥で見た廃校の景色も、たまたま通りかかった場所だった。
写真じゃ伝わらないかもしれないが、すべてが、時間や空気さえもが静止したような、不思議な空間だった。
こういうことがあるから、ノープランのツーリングも捨てたモンじゃないのだ。
背に腹は替えられず
いつもならホテルの朝食なんて食べずに、1分でも早く出発するよう努めるのだが、なんせ前日の夜に何も食ってなかったので、しかたなく食べることにする(※朝食はタダ、というか料金込)。
でも、朝食は7時から。
それまでは、ドライヤーで大乾燥大会。
ジーンズもブーツも、8時間かそこらじゃ自然に乾くはずもない。
7時ちょうどに朝食会場に行き、バイキングでソッコー食いモンゲットして席に着くと、既にこんな感じ。フライングゲットなみなさん
バイキングの成果。
ひとりでこういう場所に来るのはホントにイヤなんだが、背に腹は替えられず。
¥150をカードで
メシを食ったら、とっとと出発。
フロントでは鍵返すだけかと思ったら、「入湯税\150払え」と言われる。
が、現金は前日使い果たして一銭もない。
仕方なく、150円をカードで支払う。フロントのおっさんの「なんなんだコイツ」的な表情に耐えながら(ホテルマンたるモノ、常に笑顔でいろよ、と思いながら)。
・・・なんだかなあ・・・
だったら、最初っから5,650円にすりゃいいのに。
なんだよ入湯税って。
「温泉を利用すれば課税されることになります」って、ウチ風呂しか使ってないんだけど。
こういうシステムがよくわからんね、この手のホテルは。
東北楽天ゴールデンイーグルス(の二軍)
気を取り直してバイクの所に行くと、楽天の二軍選手5、6人がバイクの周りにタムロしていた。
この日、岩手のどっかで試合があるのは、前日“あの”コンビニにポスターが貼ってあったので知ってたが、同じホテルに泊まっていたとは。
次から次へと選手やらコーチやらが来て(しかし誰1人として知った顔がいない)バイクの真横を通るので、出るに出られない。
仕方なく、こいつらがいなくなってから出発しようと思い、バッグとヘルメットをバイクに置いて、駐車場周辺を散歩。
ひとしきり周りの景色も撮り終わってもなお楽天二軍がなかなか出発しないので、また仕方なくバイクの所に戻る。
それからしばらくしても未だ出発する気配がないだけでなく、バイクが出られる唯一のポイント(楽天二軍バスとホテル玄関との間)にずっと立ってるヤツ(一番下っ端?)がいて、めんどくせーなーと思い、さらにのんびりと身支度したりカーナビさんの設定をして時間をツブす。
一番エラそうなヤツ(それでも誰かはわからない)が最後にちんたらバスに乗り込み、ようやく楽天二軍バスが出発。
おっさんのお見送り
ホテルの職員(おっさん2人)がバスに向かってずっと手を振ってた。
若いオネエちゃんならともかく、あんなおっさんに手振られてもな~・・・と思って見てたが、その後すぐ出発したオレに対しては、当然そいつらは知らんぷりだった。
いや、別におっさんに手を振ってほしいわけじゃなくて、¥150をカード払いしたとは言え、同じ客なんだから対等に扱えって話。
八幡平
「八幡平(はちまんたい)」なんて、帰ってきて調べるまで“はちまんだいら”って読んでた程、全然知らない土地だったが、一帯は国立公園らしく、きれいな景色がいっぱいあった。
もし機会があったら、また行ってみたい・・・ ・・・今年はもう行かないけど。
さらに北を目指す
さて、ここまで来ると青森まで百数十キロなので、せっかくだから行くことにする。
テレビの天気予報で言ってた「青森地方は曇り」を信じて。
東北道も、ここまで来るとガラガラだった。
朝早いとは言え、8時台である。にも関わらず、停まって写真撮れんじゃね?ってぐらい、クルマは少なかった。
さすがに「停まって写真撮影」はやらなかったけど。
かわいらしいおばちゃんが「スナックきりたんぽ」・・・じゃなくて、「スナック&きりたんぽ」の開店準備をしてた花輪SAで休憩しつつ、
2時間程で青森市の市街地に到着。
青森市役所。特に、というか、これっぽっちも面白味のない建造物。
青森市内は、想像してたよりは都会だった。ま、県庁所在地だしね。
市内をちょろっと廻ったが、「ザ・青森」な景色は見当たらず、かと言ってどこも思い浮かばないので、「津軽海峡冬景色」の二番の歌詞で有名な「竜飛岬(崎)」に行くことにする。
市街地から30分も走らないうちに、こんな感じ。
そして、これから向かう先は、どう見ても雨。
で、雨。
一時は結構降られたが、”全身ずぶ濡れ”になることはなく、なんとか「竜飛崎」まで到着・・・
・・・・・・と思ったが、この奥の看板?からまだ結構距離があった。
ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと
ようやく辿り着いた竜飛”岬”は、想像してたより閑散としていた。
釣りやってたおにいちゃん二人と、カモメしかいなかった。
・・・うーん・・・あんな有名な歌があるのに、歌碑とかねえのかなあ・・・
GoogleMapによると、確かにここが岬の端っこなんだけど・・・
と思っても、改めてWebを検索したり、「津軽海峡亭」のおばちゃん(店先で何かやってた)に聞いたりしないところが、またダメダメなのであるが。
要は、奥の“山”の上に、歌碑を始めとするいろんな施設があるのだ。
ぱっと見、ホテルっぽい建物しか見えないので、それしかないのかと思った。 *1
まあとにかく、“端っこ”までは来たので、満足して帰路へ。
諸君の路は全く尽きるのである
“端っこ”を後にしてすぐ、「ダザイ」の記念碑を見つける。
小説「津軽」から抜粋してこの石碑に刻まれた「鶏小屋」って比喩は、どうもピンと来ない。
昭和を代表する大作家様にケチをツケるつもりは毛頭ないが、
オレにとって、海とは常に「解放」なのだ。
たとえ、ここが「本州の袋小路」であっても。
ずぶ濡れ東北道ふたたび
まずは竜飛~青森市の間の山道で一発目の豪雨に見舞われ、その後、既に暗闇の東北道では、宮城の途中から福島市の先までずっと豪雨(しかも雷付き)、磐越道に入った後も、いわき市の手前まで雨はずっと降り続いていた。
もう今年は何度“全身ずぶ濡れ”になったかわからない。
去年は新潟や富山や能登に何度も行って、ほとんど雨に降られなかったが、そっちの方が奇跡だったのだろうか。
この日ようやく、「今後はカッパを持参しよう」と決意する (今さら?)。
- 走行距離= 1,068.6km(2日間合計=1826.7km)
*1:その後(次の次の週)に行ったソコは、本州の“最果て”なのに、しかも夕方5時だっていうのに、観光客でごった返していたのだが、下からは何も見えなかった。