夢千代日記

昔の思い出のドラマを懐かしさだけで見ると、たいがいつまんない思いをする。

いろんなモノを見てきて、目が肥えてるからだろうか。

 

でも、極めて数は少ないが、今見ても楽しめるドラマがある。

「夢千代日記」もそのひとつだ。

夢千代日記-全集- [DVD]

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吉永小百合

オレは「(世代的に)最後のサユリスト」を自認している。

ガキ(中一)の時、この人の美しい顔、日本女性の顔としての完璧なバランスを見て、衝撃を受けた。

小百合さんは、この頃35歳ぐらいか。13歳のガキからしたら、じゅうぶんおばちゃんだ。でも、下敷き (つーか「クリアケース」ね) に、カルピスの雑誌広告を切り取って入れていた。

小百合さんは、すっかりバアさんになった今でもじゅうぶんキレイだけど、この頃が一番キレイだった。

 

裏日本

このドラマは「日本の哀しさ」を描いている。

会津に生まれ育ったオレには、「冬の鉛色の空」とか、「いつも晴れている表日本に行けば・・・」 とかの、このドラマのプロットが身に染みてわかる。

ママス&パパスの「カリフォルニア・ドリーミング」的な、プロットが。


the mamas & papas - california dreaming - stereo edit

つまり、そこに流れている空気は、沈鬱で、暗くて、重い。終始徹底して。

 

中条静夫

このドラマでは、中条静夫さんがいい味を出している。

これ以前の中条さんの芝居は記憶にないから確かなことは言えないが、「あぶない刑事」での近藤課長役の芝居は、このドラマが原点なんじゃないかな?

Wikipediaによると、中条さんのお棺には、「本人が最も好きだった」夢千代日記の台本が収められたという。ステキな話だ。

ぜんぜん関係ないけど、死んだオヤジがずっとリッカーに勤めていて、会社のパーティかなんかで、当時リッカーのCMにずっと出演していた中条さんと並んで撮った写真を自慢気に見せてくれたことがある。その時のオヤジのうれしそうな顔が、今でも鮮明に思い出される。

まあとにかく、亡くなっても、ずっと写真や映像が残り、人々の心に生き続ける。

役者って、本当に幸せな商売だよね。

 

再び吉永小百合

「昭和が明るかった頃/関川夏央」で、「代表作がない」等、結構辛辣な書かれようの小百合さんだが(もちろん、関川さんの言い分にも納得せざるを得ない面はある)、画面に映し出される、徹頭徹尾圧倒的な美しさと、徹底した陰鬱さの表現(そもそも、芸者が客の前で踊ってる時に倒れすぎ(笑))において、このドラマは小百合さんの立派な代表作であると思う。

昭和が明るかった頃 (文春文庫)

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