「トラック野郎:望郷一番星 (1976)」を観た
先日、菅原文太さんがお亡くなりになった時、その大俳優に関する自分自身の想い出は「トラック野郎」であることを思い出した。
が、当時小学生だったクソガキが、なぜこのシリーズを何度も見たのか、それは思い出せなかった。
2014年12月7日 BS-TBSで、「菅原文太さん追悼企画」として「トラック野郎:望郷一番星」が放送された。
昭和は遠くなりにけり
「トラック野郎」は、現在の窮屈な世の中では放送できないらしい。
過積載・違法走行等のシーンが満載なので、放送局御用達の自動車メーカーの手前、いろいろと問題があるそうだ。
"トラック野郎 望郷一番星"で検索して、ヒットした先人達のブログを見ると、今回の放送でもいくつかカットされているシーンがあった(「トルコ風呂」のシーンとか)。
まあそんなことはともかく。
(今回の放送での)最初のシーンでは、いきなり「室田日出男・川谷拓三・松鶴家千とせ」という、昭和のヒーロー達が揃って登場。
そして、“違法無線”で警察無線を乗っ取って警察を欺き、パクられた“トラック野郎”達を逃がす、というシチュエーションであった。
こらぁ、少なくとも、地上波では放送できませんわね。
文太さん追悼企画で、テレ東が“大英断”して「トラック野郎天下御免」を放送したらしいが、ちゃんとまともなカタチで放送されたのだろうか。
やっぱりエロが好き
で、なんでこの映画にハマっていたのかがわかった。
エロシーンが満載なのだ。
「ちきしょー、いいケツしてやがんなー、たまんねえなー (by 星桃次郎)」とか。
挙げ句の果てに、SMシーンまで出てくるし。
さすがは、“無秩序の時代”・昭和。
ふと、小学3年生の頃「がきデカ」って漫画にハマって、そのワイセツさが、親父さん・お袋さんの逆鱗に触れ、ふたりの前に正座させられて大説教大会になったことを思い出した。
つまり私は、ガキの頃から「エロ」が大好きだったのだ。
まあそんなことはともかく。
ザ・ロードムービー
キンキンが企画時点で意図したとおり、この映画はロードムービーだ。
トラックでモノを輸送しながら、各所を巡り、その風景を描写する。
本作では、札幌・釧路・襟裳岬など、当時の北海道の情景・風土を見ることができる。
もう公開から40年近く経つのに、今見てもじゅうぶん楽しい。おもしろい。
ただ単にオチャラけた映画ではなく、それなりに金が掛かっていそうな、特撮シーンや、“リアル事故”のシーンもある。
「アンコ椿は恋の花」をバックに、トラックが崖から落ちるシーンは、なかなか圧巻だった。
ザ・ショーワ・オールスターズ
そしてやっぱり、文太さんが、ちょーカッコいい。
顔がちっさくて、体がスリムで、そして、足が長い。
・・・ホレボレするねえ・・・
さらに、
- 室田日出男
- 川谷拓三
- 草薙幸二郎(=銀座ジュエルのナガトモ様)
- 高品格
- コロムビア・トップ
- 由利徹
- ハイセイコー
今は亡き、昭和の名優・名コメディアン・名馬が勢揃い。
さらにさらに、
- 梅宮辰夫
- 島田陽子
- 土田早苗
- 松鶴家千とせ
- 笑福亭鶴光
- 小林稔侍
- 都はるみ
- 海原千里(=上沼恵美子!)
などなど、今も現役バリバリな方々の、若かりし頃のご尊顔も拝むことができる。
何も考えずに単純に楽しめる、いい映画だ。
「マドンナ役(島田陽子)に思わせぶりな態度を取られ、主人公はその気になるが、結局フラれる」ってプロットは、まんま「男はつらいよ」とおんなじだけど。
ショーワ、ショワショワショワショワショーワ
そして、ガキの頃通った坂下銀星座の、うす汚れた壁とトイレの臭さを思い出した。
昭和とは、“無秩序の時代”であり、ボッタン便所バリバリで不衛生でもあり、PCもネットもケータイもなく不便でもあり・・・
それでも、この窮屈で殺伐とした現代よりは、少なくともメンタル的には、いい時代だったように思う・・・ノー天気に「昔は良かった」なんて言うつもりは毛頭ないが。
本作は、そんな「昭和」が満ち溢れた、なかなかの名画・・・って類の映画ではないけれど、少なくとも、現在見てもじゅうぶん楽しい映画である。
(以上、敬称略)