「中高年バイク事故死増加」について:ソロツーリングのススメ


リターンライダーの“過信” 中高年バイク事故死増加 「若い頃ともう違う」注意を - 産経ニュース 

最近ぜんぜんオートバイには乗っていない私ではあるが、記事を読んでどうにも違和感があったので、異論を書く。

 

ギャップと性能向上

 

警視庁などが講習会で特に注意を促したのは「若かりし頃とのギャップ」だ。

交通総務課によると、中高年のバイク事故はカーブでの転倒や側壁への衝突など単純な操作ミスによる単独事故が約4割を占めている。

同課の担当者は「年を取って集中力や体力が低下しているため、知らず知らずのうちに注意散漫になりやすい」と指摘。

若かりし頃とのギャップ?

若い頃は「集中力」も「体力」もあったから無茶な運転してもカバーできたけど、年老いた今ではそれらが衰えて事故るってこと? 

さらに、

 

「バイクの性能も格段に良くなっていて、アクセルを回しすぎたりカーブで体重移動しすぎたりしてバランスを崩すことが多い」

という分析。

何を持って「バイクの性能」と言っているのかは不明だが、80年代の250ccや400ccオートバイだって、じゅうぶんスピードは出た(出せた)。

「アクセルを回しすぎ」ても、「カーブで体重移動しすぎ」ても、本来の「バイクの性能」が向上しているのであれば、事故には繋がらないはず。少なくとも現代のオートバイの方が、昔のそれより「バランスを崩す」ことは少なくなっているだろう。 

人間、歳をとれば体力は衰え、視力とか反射神経とかも含めた身体能力も低下する。それは当然。疲れやすくなることで、集中力が持続しないこともあるだろう。

でも個人的には、歳をとってからの方が、周囲の状況を始めとして「事故りそうなポイント」に気づくようになったように思う。

加齢によって失うこともあれば、得るものだって多いはずだ。 

「カーブでの転倒」や「側壁への衝突」等で事故死する人は、若い頃はたまたま事故らなかっただけで、若い頃と同様の無茶な運転によって、必然的にそうなっただけなのではないだろうか。

つまり、オートバイの性能向上や、ライダーの老いが問題なのではなく、結局はその人の資質によるのではないのか。

例えば、この人▼のように *1 。


11月、18年ぶりにバイクに乗り始めた横浜市の会社員、横溝幸一さん(49)は体力的な衰えを痛感している。
「後輪が少し滑っても、若い頃は体がすぐ反応してバランスを取り戻せていたが、今はそれができず、ヒヤッとすることがしょっちゅうある」と話す。 

「後輪が少し滑って」「ヒヤッとすることがしょっちゅうある」って・・・ 確かに天候や道路状況によって、たまにはリアが滑ることもあるだろうけど、しょっちゅうって、どんな運転してんだよ(笑)。

若い頃に事故らなかったのは、「自分が上手かったから」ではなく、「たまたまラッキーだった」と考え直して、ご自分の運転を根本的に見直した方が良い。さらには、タイヤを替えるとか、あるいはマシンを点検するとかのハードウェアも再確認すれば、ひとまずは万全だろう。

 

集団でのツーリングのワナ

警視庁交通総務課・担当者の「リターンライダーは歳食ってるくせに若い頃の感覚のまま運転するから事故る」という「結論ありきの分析」はともかく、個人的には「集団でのツーリング」が原因のひとつではないだろうか、と考えている。

  • 仲間(笑)にいいところを見せようとして、無茶をする
  • 速い人、あるいは、先を走る人に付いていこうとして無茶をする

「後ろのヤツにオレのライテクを見せてやろう」
「あいつがあの速さで曲がれるならオレはもっと速く曲がれる」
「はぐれたり置いてけぼりは寂しいから急ごう」
などなど・・・

ま、「マスツーリングとソロツーリングの事故の比率」なんてわからないので、分析ではなく、ただの個人的な仮説なのだが。

 

ソロツーリングのススメ

知り合いの知り合いに、半身不随の人がいる。
独りでツーリングに出かけて山中で単独事故を起こし、発見が遅れたために手遅れになったそうだ。

その話を初めて聞いた時、とても怖くなった。
今でも、ツーリングに行く時は必ず思い出す。
私はツーリングには、ほぼ100%、独りで行くからだ。

独りだと、無茶をする必要もない。
何かに急かされることも、ほとんどない。
カッコつけて走ったところで、誰も見ていない (だからカッコつける必要もない)。
そして、何かあっても、誰も助けてくれない。

自然に自重するようになるし、必然的に慎重になる。

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リターンライダーの皆さん。

ツーリングには、ソロで行くことをお勧めする。

 

*1:本当にこの人が実在して、本当にこんなこと言ったのかどうかは置いといて