賃貸マンション暮らしがヒャクパー電気自動車・日産リーフを試す(7):ツーリング往路篇後篇
前回のつづき。最初の充電後から目的地である会津にたどり着くまでの、バッテリー残量の経過と充電スポットでのアレコレについて書く。
ECOモード“解除”で得られる加速感
佐野藤岡ICで東北道に戻る。クルマも少なくなってきたので、「道の駅みかも」で80%までしか充電できていないこともすっかり忘れ、ECOモードを解除してみる。
誰もいない車内で、「エコモードかいじょ!」と叫びながら(笑) ※小2レベル。
ECOモードだとアクセルをいっぱいに踏み込んでもなかなか前に進もうとしない、非常に“かったるい”加速が解消され、ぐんぐんスピードが伸びる。ハイパフォーマンスクルーザー・M109Rの加速感には到底及ばないが、3.7リッターNA・スカイラインクーペとなら結構いい勝負ではないだろうか。
ただしモーター駆動である日産リーフには、当然のことながらエンジンや排気デバイスからの音も、クルマ自体が発する振動もないので、耳やカラダが感じる感覚は内燃機関搭載車とはまったくベツモノではある。
何かに引っ張られるような、または吸い込まれるような、不思議な感覚。この感覚は、日産リーフの最大の魅力であると思う。
90kmも走っていないのに
そんなんしてたら、みるみるうちにバッテリ残量が減っていく。
「道の駅みかも」出発時点で「トリップメーター=104.0km:バッテリ残量=80%」だったのが・・・
トリップメーター=134.7km:バッテリ残量=56%。場所は栃木県鹿沼市磯町。
トリップメーター=172.0km:バッテリ残量=27%。
場所は栃木県矢板市境林。「西那須野塩原 17km」の案内標識が見える。宇都宮ICをとうに過ぎ、既に2車線区間。
トリップメーター=187.0km:バッテリ残量=19%。ついに2割を切る。
スマホでさえ「おいおい、やべえよオイ」なレベルである。
場所は栃木県那須塩原市上大貫。見えにくいがスピードメーターは85km/h。普段ならこのNEXCOの黄色いクルマの後を走り続けることなどまずないのだが、緊急事態である(自業自得です)。
トリップメーター=190.3km:バッテリ残量=-。
「道の駅みかも」から90kmも走っていないのに、とうとう「バッテリー残量低下」の警告表示に切り替わる。場所は栃木県那須塩原市千本松。
この時は既に
- カーナビの「充電スポット」情報が古いこと
- 充電スタンドが設置されているSA・PAには「急速充電器案内標識」があること
に気づいていたが、東北道は上河内SAを最後に、それ以北のSA・PAには設置がない(2015/05/13現在)。
お菓子の城 那須ハートランドにて
カーナビの「充電スポット検索」で必死になって最寄りの充電スポットを探す。
「お菓子の城 那須ハートランド」が最寄りの施設としてヒットする。
「お菓子の城(笑)」だけで強烈なインパクトなのに、さらに加えて「ハートランド(笑)」である。普段ならヒャクパー近寄らないネーミングの施設であるが、そんなことを言っている場合ではない。
そして、高速道路から見えるのは、那須高原の山並み。「こんな山ん中に、はたして充電スポットがあるのだろうか?」という不安。
そんな不安と、電ケツの恐怖と闘いながら那須ICを下りて、辿り着いた「お菓子の城」。
「ン」の点がきちんとハート♥になっている。さすがは「お菓子の城」、抜かりがない。それにしても、「お菓子」「お花」「いちご」・・・これだけ自分に縁が無い単語の羅列も、そうそうない。
正面の駐車場には見たところ充電スタンドがないので、建物右側から、裏手にある駐車場に行く。
その途中、掃除か何かをしていたおじさんに「充電はどこでできるか」聞いたら、丁寧に教えてくれた。
が、ここも「勝手に使うんじゃねえぞ」と言わんばかりにカラーコーンとコーンバーが置いてあり、「ご利用のお客様は、お菓子の城フロントまでお申し出下さい。」と立派な看板まで設置されていた。
「ここもかよ・・・」とは思ったが、ここもまたタダなので文句は言えない。このまま日産リーフを置いて、当該フロントに向かう。
が、「お菓子の城」の城内には売店やレストランや、“見せる”ための工場があるだけで、
「フロント」らしきモノが見当たらない。
「道の駅みかも」では「事務室」、ここは「フロント」と称していたが、売店やレストランで埋め尽くされた施設内で、そもそもそれがどこにあるのかがわからない。充電する旨をお願いしに行くのは別にかまわないのだが、もっとわかりやすい表現や案内ができないものだろうか *1。
売店にはアキバのメイドカフェみたいなカッコをしたおねえちゃん達がたくさんいたが「充電?はあ?」と言われそうだったので(若い女性にビビりすぎです)、「お菓子の城」の住人には似つかわしくない、かなりイカツイ風貌をしたおじさんに「充電したい」旨を伝える。
おじさんは悪役商会ヨロシク(違います)、終始微笑のひとつも見せることはなかったが、充電スタンドまで同行してくれた上で、カギで厳重に保護された充電コネクタケースを開け、さらに充電が正常に開始されるまで見守ってくれた。
「(充電が)終わったら、売店の女の子に言えばいいですから」
「わざわざオレのとこに言いに来るんじゃねえぞ」とでも言いたかったのだろうか(考えすぎです)。まあいずれにしろ、イカツイおじさん、その節はお世話になりました。
充電時間=59分
そんなワケで到着してから約10分後の午前11時過ぎ、ようやく充電を開始する。
端末の曇りきったディスプレイに表示された「残り時間」は59分。
「1時間かあぁぁ・・・」
ま、(おそらく)残量10%程度のバッテリーを充電するのだから、仕方ない。
メシは約1時間半前に食べたばかりなので、レストランに行く気にもなれない。かみさんへのミヤゲを買う所は既に決めていたし、お菓子にはこれっぽっちも興味がないので、売店もツマラない。外をぷらぷらしたりスマホで新聞を読んだりしてひたすら時間をツブす。
「ああそうだ、ナビにBluetoothでスマホをつないで『充電スポット更新』をしよう」
「充電スポット検索」でSA・PAの充電スタンドがぜんぜん検索されなくて不便極まりないので、更新すれば改善されると思ったのだ。が、ナビにスマホを接続することはできたが、「充電スポット更新」を実行しても「接続できません」と表示されるだけで、更新できなかった。がっかり。
そんなこんなでようやく1時間が経ち、充電が終了。
1時間かかったのに、それでも「バッテリ残量」は88%。うーん・・・バッテリそのものも、充電インフラも、まだまだ発展途上だねえ・・・
国道294号線
いつもどおりに、白河中央スマートICで東北道を下りる。料金は800円。安い!(高速道路に入ったのは那須ICなので当たり前です)。
ここで高速道路を下りて国道294号をのんびり通り、会津若松市に向かうコースは二輪で実家のある会津坂下町に行くときの定番コースだが、四輪で来たのは初めてかも知れない。
ところどころ車線がない狭い道を、デカいダンプやトラックが対抗車線からやって来る。自分の肩幅とさほど違わない二輪なら全く気にならないが、その2倍ほども幅がある四輪ではさすがに気を遣う。「こんなに道狭かったかなあ」と。
道の駅_季の里天栄にて
そんな国道294号に入ったのはひとつ理由がある。
「道の駅 季の里天栄」で充電しようと思ったのだ。バッテリ残量は6割以上あったので急を要していたわけではないのだが、なんとなく待たされそうな気がして会津若松市内では充電したくなかったのだ。
ここに充電スタンドがあるのは、これまたid:wakumasaさんのブログで知っていたのである。自分でも何度か来ている道の駅だが、すべて“ドコドコ二輪”であり、充電スタンドなんてこれっぽっちも気にしたことがなかった。が、ここはチェーンとかカラーコーン以前に、「絶賛工事中」であった(2015/05/13現在)。
それでも「充電したいヤツは従業員か工事関係者に言え」という手書きの看板があったので、売店のレジにいたおばちゃんに「充電したい」旨を伝え、さらにおばちゃんは現場のスミで休憩していたおっちゃんにその旨を伝えてくれた。
おっちゃんは休憩中にもかかわらず鉄パイプ製の柵をどけてくれて、無事充電を始めようとしたのだが・・・
ここはなんちゃらカードがないと利用できない(と現場では思ってしまった)。
いま落ち着いて検索したらスマホでちゃちゃっと会員登録すれば使えたのだが、現場ではテンパって気づかなかった。情弱か。
休憩中にもかかわらず、そんな情弱のために動いてくれたおっちゃんに平謝りして、「道の駅 季の里天栄」を後にした。
会津若松市役所にて
国道294号の山道を楽しくドライブし、会津人にとっての“メイン国道”である国道49号を通って会津若松市役所にたどり着く。
それにしてもこの庁舎は、昔からずっと変わらずにこの姿である(建造年:1937年)。すばらしい。
会津若松市役所と周辺(大町・七日町)の近代建築〜福島県会津若松市〜
なんとその歴史的建造物の、表玄関の真横に急速充電器が置いてあった。
そんな畏れ多いところに置いてあるせいか、「協力金500円を払ってください、お願いします」と書いてある。ご丁寧に、コネクタにも。
小銭が200円しかなかったので、市役所トイメンにあった自販機で缶コーヒーを買って、ちゃんと“協力”差し上げた。
充電開始時のバッテリ残量は31%。この程度の残量までに充電するのが精神衛生上も良い。それにしても「設定80%」とあるとおり、500円の支払を要求協力をお願いするワリにココも「80%制限」だった。
ま、(私は隣町の会津坂下町出身であるが)高校の3年間はこの土地に世話になったのでヨシとしよう。
バッテリ残量を31→80%にするのにかかった充電時間は「17分14秒」。
ちなみにインパネのバッテリ残量表示は79%。やっぱり何か損した気分。フツーに日産ディーラーに行けば良かった。後悔先に立たず。
この後、名城・鶴ヶ城に行くまで書こうと思ったが、随分長くなったのでそれは復路篇で。
(つづく)
*1:まあ大概は売店のレジにいる人に言えば何とかなるのだが、だったら最初からそのように案内すればいいのに、と思う