梅雨の風景・三題
今週のお題「梅雨の風景」
近所で咲いている紫陽花や、雨雲、梅雨の晴れ間、雨の日に読んだ本、つゆのあとさき、皆さんのまわりの「梅雨の風景」をお待ちしています。
ぜひ写真を添えて投稿してください。
今朝は自宅のある川崎は本降りの雨、会社がある神保町は小降りだったが、先を急ぐあまり写真は撮り忘れてしまった。帰る頃にはもう、路傍の紫陽花に雨粒は残っていないだろう。
以下、写真がないので、「梅雨」と聞いて思い出した3つの話を書く。
つゆのあとさき
「今週のお題=梅雨の風景」という見出しだけを見たときは、「そんなの紫陽花とか、ありきたりなことしか書けないなあ・・・」と、あまり書く気はなかったのだが、上記引用の解説を読んだら「つゆのあとさき」とあったので、がぜん書いてみる気になった。さだまさしさんの佳曲「つゆのあとさき」を思い出したからだ。
梅雨のあとさきの トパーズ色の風は
遠ざかる 君のあとを かけぬける
この曲を初めて聴いたのは今から30年以上前、小学6年生の時だったが(稀代の名盤「風見鶏」を買ってもらった)、「つゆのあとさき」とは、「梅雨の”後咲き”」だとずっと思っていた。「梅雨の後に咲くトパーズ」、みたいな意味だと思っていた。
「梅雨の”後先”」だと、いま初めて知った(そもそも、「トパーズ」は花じゃねえし)。無知というか無粋というか、歌詞の繋がりをなにも考えていなかった(恥)。
さらに、「つゆのあとさき」が永井荷風の小説のタイトルからの引用であることも、たった今知った。さださんは他にも「檸檬」とか「セロ弾きのゴーシュ」とか「晩鐘」とか、小説や絵画からタイトルを引用している曲があるが、この曲もそうだったとは・・・なんでも一応調べてみるもんだね。
おむつが感受性を育てる
まだ前の前の会社にいた頃だったと思うので少なくとも10年以上前、スピッツの草野マサムネさんがFMの公開番組かなにかで
6月生まれは、ジメジメしてるときにオムツを着けているから感受性が強くなる。
みたいな話をしていた記憶がある。いま「草野マサムネ おむつ 感受性」とかでググってもそんな記事は一切ヒットしないので、もともとない自分の記憶への自信がさらになくなるが、確かに彼はそう発言したのだ(きっぱり)。
そんな6月生まれの私は、草野さんの言うとおり感受性の強い人間に育った気がするが(まだ紙オムツなんてなかった時代だからね)、それを芸術にでも昇華できない限りクソの役にも立たないと、未だにナニモノにもなれない私は思うのである。
紫陽花は揺れなければならない
子供の頃、実家の庭には紫陽花がたくさん咲いていた。隣家との間の狭い通路を塞ぐように、びっしりと咲き乱れていた。そこを通ると、「手まり咲き」の大きな花が揺れる。花についていた雨粒が一斉に飛び散る。その”さま”を見るのが好きだった。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」という映画がある。
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もともとはテレビドラマとして制作された、岩井俊二氏による短い映画である。
そのクライマックスでは、主人公のふたり(奥菜恵、山崎裕太 ※ちなみに二人ともまだ子供)が深夜の小学校のプールに忍び込むのだが、そのプールに向かうまでのほんの数秒のシーンが私は大好きだ。
主人公のふたりが校庭の隅を通る。かたわらの紫陽花が大きく揺れる。
ただそれだけの、誰も気にも留めないようなシーンなのだが、「ああ、この人はわかってるなあ・・・」見るたびにいつもそう思う。
紫陽花は揺れなければならないのである。