映画「キリン」を観た
東本昌平氏による同名の漫画を原作とした、監督・脚本:大鶴義丹氏による映画「キリン」を観た。
公道はレース場じゃない
この映画を一言で語ると、これに尽きる。
私が道路をクルマ/オートバイで走っていて一番キライなことのひとつが「ウインカー無しで前に割り込まれること」なのだが、この映画は、そんなシーンがてんこ盛りである。
(あえて名前は書かないが)監督をはじめ、この映画を作った人たちは何を考えているのだろうか。こういうのが「カッコいい」とでも思っているのだろうか。それとも、「この映画はR指定です」あるいは「この映画はフィクションです」と掲げさえすれば許されるとでも思っているのだろうか。
こういう映画を作り、こういう映画を喜ぶヤカラがいるから、オートバイで走れる道がどんどん減っていくのだろう。
”ツクリモノ”として見ればおもしろい
自分自身がふだん走っている道路で”レース”が繰り広げられるので、つい「こんなことやってんじゃねえよ」と思ってしまうのだが、確かに、ポルシェ911(ビッグバンパー)と、カタナ2台+CB1100Rのレースは、ハタから「架空のお話」として見ているだけならおもしろい。
カタナって、やっぱりカッコいいし。
「いやでもこのマシンに、あの乗車姿勢で都内から浜松まで乗れねえだろ*1」
なんて思いながら見てたら、とんでもない展開が待っていた。「つまんねえ映画だな」と思って見ていたが、そのシーンひとつで評価は簡単に覆った*2。
そのシーンを具体的に書くのはさすがに気が引けるので、興味がある方はDVDでも借りて見てください。
真木蔵人ファン、カタナファンなら買っても損はないと思います。
キリン POINT OF NO-RETURN! PREMIUM EDITION (3枚組) [DVD]
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唯一いいセリフ
セリフも概ね陳腐で、背中がムズがゆくなるようなものばかりなのだが、これはオートバイ乗りには響くセリフだろう。件の衝撃的なシーンの後の、真木蔵人のモノローグによるセリフである。
バイクが好きだ。
それだけで良かった。
初めて友だちがアスファルトに沈んでいった夜、動かないヤツは、今までの自分の行動を否定するかのように動かなかった。
女優陣が残念すぎる
真木蔵人の恋人役も、別れた女房役も、女優さんたちにあまりに魅力がなさすぎる。この女優陣では野郎どももなかなか感情移入できないだろう。他に適当な女優さんは見つけられなかったのだろうか。
男優陣はハーフハーフ
真木蔵人はやっぱりカッコいい。私が若い頃に働いていたイタ飯屋で見かけた、まだ10代の彼は恐ろしくキレイなオトコだったが、
40過ぎた今では、さすがにキレイではないにしても、じゅうぶんカッコいい。あのおやじさんとあのおふくろさんの息子なんだから、そりゃ歳とってもカッコいいわなあ。
ロン毛のおにいちゃん(久保田悠来)も美青年で良かった。でも芝居はもうちょっと勉強した方がいいと思う。
ポルシェのおっさん(西沢仁太)は、最初見たときは「?」と思ったが、魅力的な芝居をする人だった。そろそろテレビドラマに出演してくるかもしれない・・・って書いてから調べたら、もう「半沢直樹」に出てたのね。「半沢直樹」見てないから知らなかった。
個人的には、見るべきキャストはこの3人だけだった。
川谷拓三さんの息子さん(仁科貴)は初めて見た。息子さんが役者をやってるなんてまったく知らなかったが、ひと目見て息子だとわかるほど、おやじさんにそっくりだった。まあでも、私と同様に、おやじさんを超えることはできないだろう。
夏木陽介さんが芝居が下手すぎて驚いた。この人といい岩城滉一さんといい、芝居はドヘタなのに芸能界で長く生き残っている人ってのは一体なんなんだろうか。IT業界で例えると「プログラムを1行も書けないくせにいつの間にか手柄を独り占めしているおっさん」みたいなもんだろうか。違うか。
ポルシェのおっさん、かく語りき
アウトバーン、昔はよく走りましたよ
そうポルシェのおっさんが語るシーンがある。
どうせなら、アウトバーンで撮影すれば良かったのに。そしたら誰にも文句言われずに済んだだろうにね。
*1:都内から浜松まで、東名道を「”キャノンボール”する」というプロット
*2:と、もったいつけたが、Wikipediaにオチが書いてあった。