「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」でクルマを学ぶ(2)

昨日のつづきで、ディスカバリーチャンネルのクルマ番組「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」を見ながらクルマの勉強をする。



まずは、番組から少し離れて、記事的に”それっぽく”なるので日米の初代「Z」を比較してみる。

 

「DATSUN 240Z」と「日産フェアレディZ」

番組では「DATSUN 240Z」をもちろん「日本車」と紹介するのだが、「フェアレディ(FAIRLADY)」という呼称は一切出てこない。が、昭和40~50年代を生きてきたわれわれ日本人にとって、このクルマはあくまで「フェアレディZ」であるので、あえて両者(車) を比較してみる。

DATSUN 240Z (1971)f:id:ToshUeno:20150913220151j:plain
画像出典:Nissan S30 - Wikipedia, the free encyclopedia

日産 フェアレディZ (1970)
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2014年4月11日:トヨタ博物館にて

1969年10月に日米でデビューした時点で、日本仕様の「日産 フェアレディZ」が2リッターであったのに対して、アメリカ仕様の「DATSUN 240Z」は「2リッターエンジンではスポーツカーとしての魅力に欠ける」という理由で2.4リッターエンジンを積んでいた。

ちなみに、「日産 フェアレディZ」が2.4リッターになるのは、デビューから2年後のことである。

 

日本向けの240Zシリーズは、排気量2.4ℓ、最高出力150Psというチューニングで71年11月に発売された。
車自体は、基本的にアメリカ仕様の240Zに準じていた。

出典:「ノスタルジックヒーロー」Vol.63 1997 Oct.

上の写真のとおり、各エンブレムやミラーを除くと、見た目上の違いはほとんどない。

それにしても、フェンダーミラーはカッコ悪い!(←コレが書きたかっただけ)

 

「DATSUN 240Z」の機関系をレストアする

昨日も書いたが、この前の月曜(09/07)に放送された「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」では、「DATSUN 240Z」に対して以下のレストアを行った。

  • カムシャフトの修復
  • キャブレターの修復
  • オートマチック → マニュアルトランスミッションへの換装
  • エキゾーストマニホールドの交換 

私はクルマ好きを気取ってはいるが、自分でイジったことなど皆無なので、クルマのいろいろな装置を「言葉としては」知ってはいても、それらの装置がどのような役割を担っているのかは、恥ずかしながらよく知らない。

「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」は、私のように知識がプアな視聴者がただボケッと見ていてもそれなりに楽しめるように工夫はされているのだが、きちんと知識を蓄えてから観た方が、より楽しめるのは当然である。

というわけで、以下、重要な自動車部品の解説を交えながら、今回のレストアのポイントを列挙する。

カムシャフトの修復

この▼「棒」全体が「カムシャフト」で、棒にくっついた楕円状の「コマ」を「カムロブ」と呼ぶ。f:id:ToshUeno:20150913234649j:plain

で、「カムシャフトとは何ぞや?」というのは、GAZOO.comから引用する。

 

内燃機関は動力を取り出すためにシリンダー内で燃料を燃やすので、外から空気を取り入れる必要がある。そして、燃焼させるときには完全に密封しなければならない。

その動作を担うのが、吸気側と排気側にそれぞれ備えられるバルブである。タイミングよくバルブを開閉して、空気を導入し、閉じ込め、排出する。〔中略〕

バルブの開閉をつかさどるのがカムシャフトで、クランクシャフトの回転がギアやチェーンで伝えられて動作する。

- カムシャフト進化論 ―― もっと空気を(1954年)| よくわかる自動車歴史館 | GAZOO.com

エンジンからカムシャフトを取り出す場面で、「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」での、エド・チャイナ氏お得意のセリフが炸裂する。

カムシャフトの交換は、業者に頼むと600ドルの手数料がかかりますが、自宅でやればその分を節約できます

番組では、エンジンの前方をリフトで下から持ち上げて車体から浮き上がらせ、直列6気筒エンジンの長いカムシャフトを取り出していた。

果たして世界中でどれだけの人が、自宅でそんな作業ができるのだろうか?(笑)

さらに番組では、マイク・ブルーワー氏が「プロフィール加工工場」にカムシャフトを持ち込んで、リフト・プロフィール*1その工場では、溶接によって一旦カムロブを大きくしてから、さらにそれを研磨して大きさを微調整していた。

「メリケンさんでも、こんな繊細な作業ができるんだなあ」と思った(作業員のひとりは東洋人っぽかったけど)。

(つづく)