ライダーは、孤高であってこそ美しい
ムルティに乗ったおっさん
先日、約5ヶ月ぶりにクルマでツーリングに出かけた。
初めて乗った伊勢湾フェリーを降りた後、同じ船のデッキで見かけたDUCATIのジャケットを着たおっさんが、ひとり「ムルティストラーダ」に跨がって、私のクルマの横をさっそうと駆け抜けていった。
デッキでは、もの寂しげな表情を浮かべていたそのおっさんは、きっとヘルメットの奥で穏やかな笑みを湛えながら、自慢のマシンを走らせていたことだろう。
その後ろ姿は、同じ船に乗っていた、たいそうお高そうなH-Dの“集団”よりも、私には何十倍も美しく見えた。
ソロ・ツーリングの素晴らしさ
このブログでも、何回かソロ・ツーリングの素晴らしさについて書いている。
このブログで初めて公開した記事も、「ロングツーリング」と題しつつ、内容のほとんどは「ソロ・ツーリング」 について書いていた。
この記事から3年が経ったが、相変わらず集団でオートバイに乗る連中が私は好きではない。
「マッドマックス」に出てくる悪役のような格好で周囲を威圧するように走ったり、数十台もの集団でコンビニや道の駅の駐車場を占拠したり。
そういう連中を見かけると決まって私は、RCサクセションの往年の佳曲「シュー」をつぶやくように歌う。
烏合の衆 烏合の衆
烏合の衆 衆 衆 衆 .....
一人じゃ何にもできないくせに
一人じゃ何にも言えないくせに
愛おしき孤独のオーラ
先日のツーリングでは、クルマから何台ものオートバイを見た。ひとりでマシンに跨がるライダーが、心なしかいつもより多かった気がする。
スポーツ系、ストリート系、オフロード系。そして、どことなく「集団」のイメージが強いH-Dのツーリング系に、ひとり堂々と乗っている人も何人か見かけた。
タイプやスタイルはさまざまだが、その「孤独のオーラ」を感じると、愛おしくてたまらなくなり、「どうか道中お気をつけて」と心の中で願う。
なぜ孤独なライダーは、かくも愛おしいのか。
なにかトラブルが起きても、ひとりで全て受け止める。自分で解決する。そんな「覚悟」が透けて見えるからだ(まあ覚悟していようがしていまいが、何か起きたら自分で解決しないといけないのだが)。
なぜ集団が好きではないのか。
「もたれ合う」「互いに助け合う」という意識に、「甘え」を感じるからだ。例えば、「マシンが倒れたら、ひとりじゃ起こせない。でも仲間が、きっと助けてくれる。」なんてことを、さも自慢気に語る人がいる。
おまえ、それでも男か?
ライダーは、孤高であってこそ美しい。
そのことを、「仲間とワイワイ楽しくやってこそのツーリング」なんて考えている「ひとりじゃ何にもできない」オートバイ乗りの皆さんに、ぜひ気づいて欲しいものである。