さよなら、パジェロ
あまり見かけないパジェロ
昨日、たまたま会社の前に三菱・パジェロが駐まっていた。
「お、パジェロだ、珍しいな」そう思った。
一世を風靡したSUVの先駆“車”・三菱パジェロは、もはや私の中で「あまり見かけないクルマ」になっていた。
そんな折、2015年12月5日の日経朝刊に衝撃的なニュースが掲載された。
「パジェロ」開発中止 三菱自、エコカーに注力
三菱自動車は大型多目的スポーツ車(SUV)「パジェロ」の新規開発を中止する。
- 2015年12月5日 日本経済新聞 朝刊 企業総合面
「なんだ、そんなことなら(ネタ用に)昨日写真撮っとけば良かったな」
まあいくらなんでも、写真を撮るほどには珍しくないので、よもやそんな発想はなかったが、先にこのニュースを知っていたら撮っていただろう。
「生産と販売は続ける」というけれど
あくまで中止するのは「新規開発」であって、「生産中止」というわけではないらしい。
全面刷新は見送るものの、根強いファンがいることもあり、当面は現行タイプの車の販売で対応する方針だ。
- 2015年12月5日 日本経済新聞 朝刊 企業総合面
「『根強いファン』のために、生産も販売も続ける」とのことだが、「根強いファンがいる」のは、既に生産中止が発表されているランエボだって同じである。
また、日産・エクストレイルにしろトヨタ・ハリアーにしろ、最近のSUVはどれも「武骨系」ではなく「流麗系」が主流である。もはや「懐古趣味」とも言えるほどに(言い過ぎ?)武骨な現行パジェロのデザインでは厳しいのではないか。
メルセデスのGクラスのような例もあるが、あれは「メルセデス・ベンツ」という“ブランド”ありきのクルマなので、例外と考えるべきだろう。
それらを踏まえると、開発を中止することで、これから「古くなっていく一方」のパジェロは、ランエボと同じ道を辿る可能性は非常に高いと思われる。
そして、三菱自動車はどこへ向かうのか
この▼記事を書いた今年7月の時点ではまだ、「三菱はパジェロを開発していく気がある」と思っていた。
9月には、「RVRとアウトランダーの中間のSUVを開発する」というスクープ記事が発表された。
そして今回は、
三菱自では今後、「アウトランダー」などの中小型SUVやプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)開発に注力する。
- 2015年12月5日 日本経済新聞 朝刊 企業総合面
つまり、
「大型SUV=パジェロ」は捨てて、「中小型SUV」と「PHV・EV」に特化する
というわけだ。
新型「アウトランダーPHEV」は、
先日(2015年11月1日)放送された「クルマでいこう!」で、一流自動車評論家・岡崎五朗氏が「×:なし!」とするほど絶賛していた。
番組を視ている人なら知っていると思うが、岡崎氏が「×:なし!」 とするのは非常に珍しいことなのだ。
フォルクスワーゲンの例の一件で、欧州でディーゼルエンジンの旗色が悪くなり、欧州メーカー各社がPHVの開発に一層傾注している、という状況の中で、既に「庶民にも手の届く価格帯」でPHVを実用化している三菱自動車への評価も高い。
「パジェロ」という一時代を築いたクルマが消えていく(と思われる)のは寂しい限りだが、“無理・無駄・無謀”と思われる開発は捨て、自社の持つ技術を活かして生き残りへの道を探すのは、賢い選択だと思う。
さよなら、パジェロ。
そして、パジェロを捨てた三菱が出してくる(であろう)次世代のSUVに注目したい。