ブルー・オン・ブルー
キレンジャーはキライ
私は3人兄弟だが、ガキの頃は母親からそれぞれ担当職ならぬ「担当“色”」を与えられていて、例えばTシャツなんかだと兄貴が「青」、姉貴が「赤」、そして私は「黄色←ほとんど見えない(笑)」を着せられていた。
でも黄色ってのは、あんまり好きじゃなかった。
ゴレンジャーでも、黄色は「お笑い担当兼デブキャラ」で、ぜんぜんカッコ良くなかったし。
クルマのボディカラー
オトナになるに従って、「好きな色 」なんてことを意識したことはほとんどなかった。
たまにキャバクラなんかで、会話に窮したおねえちゃんに「好きな色は何?」なんて聞かれても「うーん、黒かなあ」なんて無難な答えしかできず、余計に会話がしぼんでいく、なんてこともあった。
それでも、30代も終わり頃になってようやく買った最初のクルマは「中古の赤いファミリア」だったが(笑)、すぐにイヤになって納車後わずか1ヶ月で手放したのは、性能の低さだけでなく、内心では「赤」という色も気に入らなかった、という理由もあったように思う。
ではなぜそんなクルマを買ったのかというと、まったく覚えていない。40歳も目前になってようやくクルマが買えるということで、精神が昂揚して正常な判断が出来なくなっていたのだろう。
現在のクルマは、青のスカイラインクーペ(CKV36)である。
「ファウンテン・ブルー」と名付けられた、濃いんだか薄いんだかよくわからない中途半端なこの青色は、スカイラインクーペだけでなく、ティアナ(初代)やセレナ(3代目)にも採用されていた記憶があるが、クーペというのはいろいろな意味で贅沢なクルマなので、どうせなら「専用色」を採用して欲しかった。
まあそんな日産の「コダワりの無さ」はともかく、2008年1月からカレコレ8年近くスカイラインクーペを所有し続けているのは、スタイルや性能が気に入っているだけでなく、このファウンテン・ブルーという色も気に入っているからである。
ことほどさように「クルマのボディカラー」というものは、所有欲にいくらかの影響を与えるものであり、普段はあまり考えないであろう「好きな色・嫌いな色」を気づかせてくれる、数少ない要素のひとつであるように思う。
そうか、私は「青」が好きだったのか、と。
ブルー・オン・ブルー
ご存知のとおり、「ブルー」には「憂鬱」という意味もある。
ガキの頃はともかく、高校を卒業してからずっと、つまりオトナになってからは、私の心はほとんど“ブルー”だ。
ひとつの憂鬱が消えないまま、次の憂鬱が積み重なっていく。
“ブルー・オン・ブルー”である。
だから青が好き、というわけでもあるまいが。
「ブルー=憂鬱」だとすると、その反対はなんだろう。「憂鬱」の反対語は「爽快」とか「明朗」らしいが、それを色で表すなら、レッドだろうか、イエローだろうか。それとも、オレンジか。
それを踏まえて自分の「好きな色」を考えると、うむ、上述のとおりレッドもイエローも好きじゃないし、オレンジに至っては“もっての外”である *1。
なるほど、「好きな色」というのは、自分の心象風景を写す鏡のようなものなのか。
「『この色が好き』ってなんだよ(笑)」と、「お題スロット」でこのテーマを見たときは少しコバカにしたが、そう考えるとなかなか深いテーマであった。
はたしてこの先、私が赤いクルマに乗ることはあるのだろうか。