福島県浜通りツーリング:2016年4月16日:前篇

「福島県浜通り地方」と聞いて今日日すぐに連想するのは、悲しいかな、「被災地」そして「避難指示区域」という言葉である。

でも会津地方出身の私にとって、ガキの頃の浜通り地方は「海に恵まれた温暖な地域」というイメージであった。そう、「California Dreamin' (夢のカリフォルニア)」の主人公が「the sky is gray」な場所でカリフォルニアに憧れたように、海からは遠く離れ、冬の間は雪に閉ざされる会津という土地で、私は浜通り地方に憧れていたのだ・・・ま、「憧れ」は言い過ぎだけど。

そんな福島県浜通り地方の「震災5年後の現状」を知るために、日帰りツーリングに行ってきた。



 

塩屋埼灯台にて

38年ぶりの訪問

塩屋埼灯台」には、小学5年生のときにいわき市で開催されたNHK合唱コンクールの福島県大会の“ついで”に来たことがある。
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私は今年、あと数ヶ月で齢(よわい) シジュウクになるので、つまり38年ぶりである。

「来たことがある」とは言え、記憶には何ひとつ残っていない。ただ、古いアルバムに「塩屋埼灯台にて」と自分でキャプションを付けた写真が1枚だけ残っていて、その写真には灯台をバックに肥満児だった私が写っているので、訪れたことだけは間違いない。

その写真をキャプチャして載せようと思ったが、この度の引越に際して、かみさんによって当該アルバムが既にダンボールの奥底に梱包されてしまったため載せられない。ハナハダ残念である。

塩屋埼灯台と美空ひばりと「みだれ髪」

昔訪れたとき(1978年)、もちろんこんなもの▼は時系列的になかったはずだが、
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そもそも、周辺の風景はこれっぽっちも記憶に残っていないので、何がどう変わったのかもよくわからなかった。

大変僭越ながら、「美空ひばり」という稀代の歌い手には何ら思い入れがなく、この「みだれ髪」という曲も一度も聞いたことがないのだが、彼女が大病から復帰した後の最初のこの作品は、ここ塩屋埼灯台を舞台にしているそうだ。
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私は、石碑に「みだれ髪」という文字を見つけて、てっきり与謝野晶子の歌集の方を連想してしまった。(ん?「みだれ髪」って塩屋埼灯台と何か関係あったっけ?)と思って石碑をよく見たら、とんだ“「みだれ髪」違い”であった。

みだれ髪 (新潮文庫)

みだれ髪 (新潮文庫)

 

このテの観光施設にありがちなシステムとして、ボタンを押せば、その「ご当地ソング」が流れるのだが、設置されたのがワリと最近だからか、ここのは驚くほど音質が良かった。
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3年前に訪ねた竜飛岬に設置されていた「津軽海峡・冬景色」の同様のシステムは、(これ、音源はカセットテープ?)と、「んなワケねえだろ」的な想像をしてしまう程にヒドイ音質だったことを思い出した。

toshueno.hatenablog.com

灯台を近くで見るために

せっかく来たので、灯台の近くまで行ってみたい。“ふもと”の看板に「石段が何段」あって「所要時間が何分」って書いてあったか忘れてしまったが(写真を撮ったつもりが撮れてなかった(恥))、その看板を見て(あ、なんだそんなもんか)と思ったことだけは確かだ。

というワケで、気楽な気分で石段をのぼる。
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ひたすら、のぼる。(思ったよりはキツいなぁ・・・)と思い始める。f:id:ToshUeno:20160416131432j:plain

気を紛らわすために眼下に広がる風景を眺める。なかなかの絶景である。
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駐車場も見下ろしてみる。いつもはおクルマの皆さんにジャマにならないよう駐車場のスミに駐めるのだが、ガラガラに空いていたので、堂々とクルマ1台分のスペースに愛車・ブルバードM109Rを駐めた (※要▼写真クリック)。
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まだまだのぼる。(全然遠いじゃん・・・)と気分が萎えてくる。
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キモチが折れかけた頃にようやく、入口らしきモノが見えてくる。
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そんなこんなでたどり着いたその建物「塩屋埼灯台MUSEUM」は、想像していたよりだいぶキレイだった。震災によって施設の一部が壊れたために復旧工事をしたそうなので、その際にこっちも“化粧なおし”したのだろう。
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灯台を見学するためには、右側の窓口で入館料200円を支払う必要がある。

小銭が160円と、あとは1万円札しかなかったので「すみません、1万円札でもいいですか?」と、“申し訳ないです度100%”な雰囲気をカモしだしながら窓口のおばちゃんに尋ねる。

おばちゃんは一瞬イヤな顔をしたが(そりゃそうだ、こんなところじゃ両替に行くのも大変だろう)、「コマいのないんですか?じゃあいいです」とのお許しを得たので、「ホンっトすみません」と言いながら1万円札を差し出す。

そして、いよいよ38年ぶりに塩屋埼灯台へ向かう。f:id:ToshUeno:20160416131912j:plainまあ誰が撮っても同じような風景だろうが、特筆すべきは、私以外には他の客が誰もいなかったことだ。真冬の平日ならともかく、4月の土曜日なのに。

白亜の灯台の内部へ

階段は103段。
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この貼り紙も写真に収めてブログに載せている人が多かった。皆考えることは同じだ。

この人▼は、いわき市出身だったっけ? 確か福岡だったよね?
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・・・というツッコミは無粋というものである。彼女がポスターでこう言い切る所以は、名作「フラガール」であることは言わずもがなである。

そんな売れっ子女優も訪れた塩屋埼灯台の内部へ、いよいよ足を踏み入れる。灯台の内部は、長大ならせん階段である。
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くるくるくるくる、ひたすら回りながらのぼる。踊場がまったくないせいか、たった103段でも異様に長く感じる。f:id:ToshUeno:20160416132149j:plain

白亜の灯台からの眺望

そしてようやく外に出ると、すばらしい絶景が目に飛び込んできた。上の石段から撮った写真より、“高度”が上がっているのがおわかりだろうか。f:id:ToshUeno:20160416132251j:plain
雄大な海に目が奪われがちだが、ひとたび陸地側に視線を移せば、海岸線に沿って造られた防潮堤が、まるで要塞のようにものものしい。

灯台を挟んで、反対側の海岸も眺める。f:id:ToshUeno:20160416132317j:plain

海側も眺める。f:id:ToshUeno:20160416132402j:plainここまで完全に貸切状態だったが、家族連れらしき騒がしい声が聞こえてくる。(あ~あ、貸切もここまでか・・・)と思ったら、父親らしき男が外に顔を出すなり
「うわ!めっちゃコワイ!!ムリムリムリ!」
と絶叫して、一歩も外に出ずに家族全員を引き連れてすぐに帰って行った。父親がそんなビビりで、子供たちにシメシが付くのだろうか?なんて心配してしまったが、まあアカの他人の家庭のことなどどうでもいい。

手すりに背を向けて寄りかかりながら、腕を伸ばして照明灯(っていう呼称でいいのかな?)も撮ってみた。上の写真はどれも、似たようなものを他の人のブログでも見られるが、この写真はなかなかないだろう。
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この写真を撮った時だけ、(この手すりがもし外れたら、後頭部から落ちて脳ミソがビチャッってなって即死だな)なんて想像して、ちょっとだけコワかった。

まあそんな死に方なら痛みを感じる前に絶命するはずなので、それはそれでいいのかもしれない。発見した人や後片付けする人はたまったモンじゃないだろうけど。

塩屋埼灯台MUSEUMでの発見

せっかく大枚200円を払ったので、「塩屋埼灯台MUSEUM」も見学する。

開けっ放しの入口から見える内部はいかにもショボそうだったが、実際に中に入ったら、やっぱりショボかった。
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ただ、この「のぼれる灯台一覧」は興味深かった。この国には約700基の大型沿岸灯台があるが、そのうち「のぼれる灯台」はわずか15基しかないそうだ。f:id:ToshUeno:20160416133320j:plain
私が訪れたことがあるのは以下の7つ。残念ながら、過半数には届かず。

  • 野島埼
  • 犬吠埼
  • 塩屋埼
  • 観音埼
  • 御前埼
  • 出雲日御碕
  • 潮岬

そのうち、上にのぼったことがあるのは、ここ「塩屋埼灯台」と「御前埼灯台」だけである。「出雲日御碕」は去年のゴールデンウィークに、「潮岬」は9月の三連休に訪れたが、いずれも混んでいたのでスルーした。 

「中に入ってのぼれる灯台は、全国でたった15箇所しかない」と聞くと、なぜか「コンプリートしたい欲」が湧くから不思議だ。ひとまず今年は、秋田県は「入道埼」にでも行ってみようか。

(つづく)