「レベル5」になって地方の在り方を思う~Googleローカルガイド
ブログの更新は完全に放棄して、過去の写真をせっせせっせとGoogleマップ/ローカルガイドにアップロードし続けた結果、一昨日 (2016年8月22日) ようやく「レベル5」に到達した。
- ほぼツーリングの写真で日本地図を埋める (※北海道・沖縄は除く)
- 有名観光地はほとんどナシ
- 「名も無き道の名も無き場所」の、近くにある施設を利用する
- 地方は寂れるばかりで、せっかくの写真がアップできない
- 「髪結い」は強し
- 図らずも地方の在り方を思う
ほぼツーリングの写真で日本地図を埋める (※北海道・沖縄は除く)
「“裏ワザ”使って、○日でレベル5になりました」なんてブログで吹聴してるヤカラもいるが、それじゃおもしろくも何ともない(前回の記事を書いた時点では参考にしようと思ったけど)。
ま、考え方は人それぞれだし、ルール違反ではないのだから好きにすりゃいいんだけど、「自分で行ったこともない場所の情報をチマチマ修正してポイントをゲットする」なんてセコいマネは、私はヨシとしない。
というわけで、神奈川県および東京都内の生活圏はともかく、それ以外の地域はほぼほぼクルマ/オートバイで行ったところの写真だけを直近のものからアップし続け *1、私がロングツーリングを標榜し始めた2012年までで、これだけの地域を「マーカー」で埋めることができた。
どんなことにも上には上がいるので、こんなエラそうに書くと鼻で笑われるだろうが、「チャリンコで日本一周してます」なんて時間と体力が有り余ってる学生でもなければ、「ライブ活動で全国を飛び回ってます」なんて売れっ子バンドマンでもない、基本的には土日祝日と年末年始しか休みのない、吹けば飛ぶよな中小企業のシガないサラリーマンのおっさんが、(約4年に渡ってとは言え) これだけの場所に行けば、ブログでちょっと自慢するぐらいは許してもらえるだろう。
ところで、見出しにも書いたとおり、北海道と沖縄には行っていない。
どうせ北海道か沖縄に行くなら、クルマかオートバイで行きたいし、行けるところまでは自走したい。無論それには、ある程度の長い休みが必要となる。
残念ながらそんなに長く休めるほど、恵まれた職場環境にはない。私が北海道と沖縄にツーリングに行ける日は、今後はたして訪れるだろうか。
有名観光地はほとんどナシ
これだけあちこちに行っておきながら、有名ドコロの観光地はほとんどない。
「鳥取砂丘」「長崎平和公園 (およびその周辺施設)」「トヨタ博物館」「Honda Collection Hall」、あと「スズキ歴史館」ぐらいだろうか。「スズキ歴史館」が“有名”かどうかはビミョーだが。
ほとんどが、サービスエリア/パーキングエリア (ただし人とクルマがわんさか集まるメジャーなSAはほとんどナシ)、道の駅。あとはビジネスホテル。ホテルの近くにあった駅。テントを張ったキャンプ場。たまたま通りかかった、意味不明な観光施設。その他モロモロ。
ツーリングにおいて、私がもっとも愛する「名も無き道の、名も無き場所」は、Googleローカルガイドには登録できない。登録申請したところで、しばらくシカトされた後に「適用されません」と却下されてしまう。
「名も無き道の名も無き場所」の、近くにある施設を利用する
とは言え、近くに写真がアップできる施設があれば、それを利用する“テ”もある。
その場所そのものを写した写真じゃなくても、「そこから見える景色」という解釈である。そんなことがGoogleローカルガイド的に認められているかどうかは知らないが。
例:(株)栄進工業(鳥取県東伯郡湯梨浜町)
鳥取県道259号をのんびり流しているとき、建物のスキマから一瞬だけ海が見えたので、Uターンしてオープンな敷地に勝手に入った (すみません)。
そして、目に飛び込んできた意外な絶景に感動して、この場所でしばらく海を眺めていたのだ。
ここの絶景は、ぜひGoogleマップに載せたかった (※さすがに自分のオートバイ中心の写真は気が引けるので、海だけを写したパノラマ写真をアップしたが)。
とは言うものの、「名も無き道」を通りかかってタマタマ見つけた「名も無き場所」なので、そのままではアップできない。
Googleマップで撮影ポイントの近くを見ると、「(株)栄進工業」という会社があって、既にGoogleマップに登録済だった。現地で撮りまくった手持ちの写真を見ると、奇跡的に(笑)その会社の社屋(?)を写した写真がある。よし、これを利用しよう。そして、「この会社から見える景色」として、絶景の写真もアップしてやろう。
というわけで、登録したのがこの写真▼である。Googleマップ上の「マーカー」は撮影ポイントより少しズレた位置にあるので、はたしてこの建物が「(株)栄進工業」のものかは定かでないが、ま、細かいことはいいだろう。
そんなことより、ここで撮った写真を見ていると、あのときの“気持ちよさ”が2年近く経った今でも甦ってくる。こんなところで働ける人たちが、心底うらやましいと思う。
地方は寂れるばかりで、せっかくの写真がアップできない
3~4年前の写真をアップしようとすると *2、既に「閉業」となっている店が結構ある。
例1:カフェ・ド・らんぷ(石川県珠洲市)
たとえば、4年前 (2012年) の9月末から10月にかけて、個人的に能登半島で最高評価を与えている「珠洲ビーチホテル *3」に連泊したとき、かみさんがネットで探して昼飯を食べに行った「カフェ・ド・らんぷ」。
イルカの「壁画」が印象的な、落ち着いた雰囲気のレストランであった。
料理もおいしかったし、私が行った当日は「結婚式の二次会で夕方から貸切」だったりで結構繁盛している様子だったのだが、Googleマップからは既に「マーカー」が消えてしまっている (※「カフェ・ド・らんぷ」は、「ラポルトすず」の斜向かいに位置していた)。
(あら?まだ登録されてねえのかな?)と思って登録しようとしたら、「閉業」として地図上は削除済の情報が出てきた。
かまわずに写真はアップしたが、こういう作業には一抹の虚しさと寂しさが漂う。
例2:らーめん・中華 一龍(山形県鶴岡市)
これまた、かみさんと2012年9月にクルマで行った山形のラーメン屋は、
いつの間にか「auショップ」になっていた。
よくよく見ると、建物自体は変わっていないことに気づく (屋根の形と、屋根裏に設けられた換気口の位置が同じである)。
ラーメン屋から「ケータイ屋」へ。こういうのは、「居抜き出店」とは言わないのだろうか。
「髪結い」は強し
そんな、寂れていく一方のわが国の地方だが、どっこい生きている店ももちろんある。
例:ポニーテール(石川県鳳珠郡能登町)
この写真は4年前、「能登半島一周」をテーマにして毎週のように奥能登をオートバイでツーリングしていた時期に撮影したものである。
海と港と漁船以外には何もない小さな漁村で、普通の民家に控えめな看板を掲げただけのその美容院は、ひっそりと佇んでいた。「『ポニーテール』って(笑)」と独りごちながら、シャッターを切った。
Googleマップでその場所を検索すると、誰かによって「ポニーテール」は既に登録されていて、あくまでGoogleマップ上の情報ではあるが、まだ営業を続けているようだ。
やはり、どんな地域でも「髪結い」には一定の需要があり、派手な装飾は控えて地元に溶け込むような店舗づくりを心がければ、地味ながらもこうして営業を続けていける、ということだろうか。
図らずも地方の在り方を思う
「地方創生」なんてのは単なる“お題目”に過ぎず、4年後の東京オリンピックに向けて、東京 (とその周辺) ばかりがますます富み栄え、地方は寂れていく一方である。
本来は静かな観光地が、無粋な中国人の集団で騒がしくなるのは願い下げだが、それでも、誰も寄り付かなくなるほどに廃れるよりはマシだろう。そもそも、廃れたあげくに周辺からガソリンスタンドがなくなれば、オイソレとツーリングにも行けなくなってしまう。
私の心配などは単なるイチ趣味の範囲内で、切実でも何でもないが、似たような思いを地方の人々がしているからこその、昨今の「田中角栄ブーム」なのだろう。
ただただ特典目当てで始めたGoogleローカルガイドだったが、こうして自分で訪れた場所の変化を目の当たりにして、「地方の在り方」を考えるきっかけになった。
人口が加速度的に減っていくこの国において、地方はどう在るべきか。
そのヒントは、能登町にある「ポニーテール」が、教えてくれているように思う。
*1:電車で行った場所は出張で行った「宇都宮駅」「西焼津駅」と、大阪にある「金本さんの店」だけ
*2:「そんな前の写真をアップするなよ」というご批判は、真摯に受け止めた上でスルーさせていただきます
*3:ま、能登ではココにしか泊まったことないんだけど