Panasonic「Gorilla CN-G500D」をオートバイで使ってみた:後篇
というわけで、就寝時間に迫られて(おっさんになるとムリがきかないもんで・・・)ブッた切った前回に引き続き、Panasonic 「Gorilla CN-G500D」についての感想を書く。
前使用機種「CN-MC02L」より良くなった点 (つづき)
本体サイズ・重さ
画面サイズの拡大に伴い、本体サイズのタテヨコは当然大きくなったが、厚さは逆に5mmほど薄くなった。
- CN-MC02L=117.8 mm × 81.0 mm × 23.0 mm・235 g
- CN-G500D=129 mm × 86 mm × 17.8 mm・200 g
私の場合、オートバイからナビ本体を外したら、ギチギチに中味が詰まったタンクバッグのサイドポケットに入れるので、わずか5mm薄くなっただけでも「収納しやすさ」が違ってくる。
さらにうれしいのは、30g以上軽くなったことだ。CN-MC02Lは無用な“ズッシリ感”があったのだが、CN-G500Dではそれがなくなった。キャンプツーリングのときは、重さ4kg以上もある安物テントを始めとした大荷物を担いでいるので、荷物全体で考えるとたかだか35g軽くなったからって「焼け石に水」なのだが、
- 軽くなる=(クレードルから)外れにくくなる
と思うのだ。いや、物理とか全然ワカンナイから自信を持って断言はできないのだが、あながち間違ってはいないでしょ?
画面輝度
「価格.com」のCN-G500Dのレビューには、「晴天時の明るい時には画面が反射してほとんど見えない」なんて書込があるが、そんなことはない。
(▲ピーカン(死語)に恵まれた男鹿半島にて。私が写り込んではいるが、それでも画面は全然見える)
まあナニゴトにも個人差はあるので、そのレビューを書いた人にはそう見えたんだろうが、CN-MC02Lよりも輝度が上がって、格段に見やすくなった。私はヨワイ49の老眼街道バク進中で、かつかなり濃いめの偏光サングラスをかけているが、晴天時でもちゃんと地図が読み取れる。
CN-MC02Lのときは、晴天時はほとんど読み取れなかったので、ハナから見るのをあきらめていた。
検索速度
ルート検索の速度も、格段に速くなった。例えば、
- 青森県西津軽郡深浦町から横浜市戸塚区まで一気に帰る
とルート検索をして、さらに
- 探索条件を変更して再検索する
なんて場合、長距離だとより一層多くのパラメータが検索条件に加わるからだろう、CN-MC02Lでは結果が表示されるまでに1分以上(!)かかることもあった。
それがCN-G500Dでは、今のところどんな検索でも数秒でレスポンスが返ってくる。まったくのストレスフリー。この差は大きい。
クレードルへの取付
CN-G500Dは本体にミゾが切ってあって (▼写真赤枠)、それをナビ取付ステーのレールに通してから、クレードルに固定する。
上述の「軽さ」と相まって、道路の段差等でモロに衝撃を受けるオートバイであっても、まず外れることはなくなった (先日の秋田ツーリングでも、一度も外れなかった)。
CN-MC02Lは「本体下部とクレードルの小さな凹凸を合わせてから、上部をバネ付きのフックで押さえる」形式だったので、まあしょっちゅう外れた。だからカラビナ付きのコードが必須だったのだが、CN-G500Dはまず必要ないだろう (ただ心配性なので、いちおうは付けているけど)。
「みちなり」表示
地味ながらも気が利いていると思ったのが、「みちなり」表示だ。
先日の秋田ツーリングで確認した限りでは、どうやら
- ルート案内中、10km以上に渡って右左折がない場合
に、この表示がされるようだ。
確かに、はるか彼方にある右左折ポイントを示されても役に立たないし、かと言って何も表示されないと、「ちゃんとルート案内してくれてるのか」不安になる時もある。
これは開発陣の方々による「小さな親切」だが、なかなか役に立つ機能だと思う。文字が「道なり」じゃなくて「全部ひらがな」ってのも、かわいくてイイ。
期待外れだった点
ものすごく期待していただけに、心底ガッカリした機能が1つだけある。おそらく修理(あるいはファームウェアのアップデート)が必要なレベルかと思うが、考え方を変えることにした。
走行ルートログ (NMEA形式)
長年待ち焦がれたNMEA形式だったが・・・
だいぶ前にこのブログで書いたとおり、走行ルートログを記録するには、KML形式よりも「NMEA形式」の方が優れている。
「どこを通ったか」だけではなく、「どこを何年何月何日何時何分何秒に通ったか」まで記録されるからだ。
CN-MC02Lは「どこを通ったか」しか記録されないKML形式しかサポートされておらず、それが最大の不満だったのだが *1、CN-G500Dでは、待望のNMEA形式が追加された。
だから今年7月の「高速道路パンク事件」のときは、CN-G500D購入後初のツーリングということで、期待に胸を膨らませて(笑)NMEA形式でログを録った。
その結果がこれ▼だ。
このときは環八のクソ渋滞にイヤケが差して、用賀I.C.から首都高に逃れたのだが (結局、首都高も渋滞してたんだけど(笑) )、その走行ルートログが、まあモノの見事にズレている。ざっと距離を計測した限りでは、300~400mはズレている。
たかがPNDに走行ルートを完璧にトレースしたログを期待しているわけではないが、さすがにこれでは使い物にならない。中味のことはまったく知らないので推測に過ぎないが、おそらく、NMEA形式でログを記録するプログラムがバグっていると思われる。
というわけでNMEA形式は早々にあきらめ、先日の秋田ツーリングでは、おとなしくKML形式でログを録った。プログラムが“枯れて”いるからだろう、KML形式では何の問題もなくログが録れた。
Googleマップ様の“方針”に素直に従う
以前、SONY謹製PND「nav-u」でログを録っていたときは、NMEA形式で録って、稀代のルートログ活用ソフト「轍」に取り込んでいた。ただ当時はブログは書いておらず、完全に1人で悦に入って楽しんでいた。
現在はこうしてブログを書いて、世間様に公開している。そしてルートログは、あくまでブログに埋め込むことを目的としている。「ブログ>ルートログ」なのだ。
「轍」は非常に優れたソフトウェアだが、ブログとの親和性はあまり高くない。その点では、Googleマップ (マイマップ) の方が一枚ウワテだ *2。そしてGoogleマップは、KML形式にしか対応していない。
この程度のことで修理に出すのも面倒なので、NMEA形式が使い物にならない件はファームウェアのアップデートで改善されることを期待して、当面はKML形式でガマンすることにした。
まとめ
「防水機能がないこと」「メーカーがオートバイでの使用を禁じていること」 を除けば(まあその2つがものすごく重要なのだが)、CN-G500Dはオートバイ用ナビとしてかなり優秀であることが、先日の秋田ツーリングでよくわかった。
あとは、今後何度もM109Rの振動に揺さぶられ、風に吹かれ雨に打たれて、動作に支障をきたすかどうかが問題なのだが、“なんとなく”大丈夫なんじゃないかなあという気はしている・・・例によって、何も根拠はないが。
ところでPanasonicは、なぜこのPNDを「サイクルゴリラ」として製品化しなかったのだろう。防水機能を持たせるには、
- ジャック類にカバーを付け、
- 電源ボタンをゴムで覆い、
- ワンセグのアンテナを本体に内蔵し、
- 内部に防水用のパッキンを施す
だけなのに・・・って、結構な手間か。まあその手間を惜しんでまで、コストを抑える必要があったのだろうか。「(現時点での) サイクルゴリラ最終機種『CN-MC02L』がよほど売れなくて採算が取れなかったから、サイクルゴリラには見切りを付けた」とか、そんなこところかもしれない。
いまどきは何でもかんでもスマホで賄おうとする人が多いことが、PNDが売れない一因であることは間違いないが、完全なる「PND派」である私には不思議でしょうがない。だってスマホをナビ代わりにしたら、スマホとして使用するためにいちいち外さなきゃいけないわけで、めんどくさくないのかな?それに万が一外れて落として、スマホが使えなくなったらどうするんだろう?見てクレも、なんか貧乏クサくない?
スマホのナビアプリがPNDより優れている点はただひとつ、「地図が常に最新であること」だけで(まあその1点だけでかなり大きなアドバンテージだが)、あとはすべてにおいて、PNDの方が優っていると思う。ただ悲しいかな、ガジェット界においては「餅は餅屋」「蛇の道は蛇」という概念が廃れつつある昨今、私は圧倒的なマイノリティなのだろう。
Wikipediaの「主なPNDメーカー」の製品をざっと見てみたが、オートバイ用として使用するには大きすぎたり、既に生産を中止しているメーカーがあったりと、やはり今後も期待できるメーカーは、Panasonic(元々は三洋電機)ぐらいしか見当たらない。メーカー自身が推奨していない・・・というか「禁止」しているとは言え、オートバイ用としても使用できる(ただしあくまで自己責任で)CN-G500Dを発売してくれたことに、まずは感謝したいと思う。
(この項おわり)