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免停講習に行ってきた (後篇)

神奈川県警の停止処分者講習 (免停講習) についての後篇は、講習を受けるまでの手続きと、講習の内容および感想について書く。

toshueno.hatenablog.com



 

こうして“処分”が下される

予定の午前8時30分より10分ほど早く、受付が始まった。まず、(前回と同じ写真で恐縮だが) この写真▼の中央に見える「行政処分執行室」という大仰な名前が書かれた鉄の扉が開き、中に入るように促される。
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扉の向こうは結構広い。フロア手前には書類を書くための立ち机が置いてあり、いちばん奥に3つに分かれた窓口がある。左側が窓口「A」で右側が「B」、中央が「短期処分者講習受講申込」の窓口だ。

上の写真▲右側のフローチャートにもあるとおり、私は「本日以外呼出の方」なので「A」で受付したのだが、「B」には長蛇の列ができていたのに対して、「A」の方は私の後ろに1人しか並ばなかった。早く受付すれば、早く帰れる *1。少しでも早く帰りたい人は、指定された受付日を外して行った方が、少しだけ幸せになれるかもしれない。

窓口では「行政処分呼出通知書」を提出し、いっしょに免許証も取り上げられる。そこで初めて「運転免許停止処分」となるわけだ。この時、事情聴取をされたり、異議申し立てができたりするわけではない。ただ「通知書に記載された以外に、違反や事故がないか」とだけ尋ねられる。

 

“更生”への道を開くには

「行政処分呼出通知書」はすぐに返され、さらに「短期処分者講習を受講するか否か」尋ねられる。「受講する」と言うと、「受講申請書 *2」が渡されるので、それに個人情報を記載して、中央の窓口に提出する。

ちなみに、“受講料”は驚愕の12,600円である。講習には、講師として警察OBと思われる方々が4人も登場されるので、その方々に相応の報酬を与えるためには、それぐらいの金額を徴収する必要があるのだろう。

本館に移動して、1階にある2番窓口▼に提出すると「講習整理券」が渡される。f:id:ToshUeno:20161104122749j:plain
以上が、「運転免許停止処分」と「停止処分者講習」の手続きである。

 

講習を受けるのも、また試練である

昭和の建造物ヨロシク、やたらと急で、かつ段差の大きい階段を上って3階に移動する。f:id:ToshUeno:20161104122921j:plain私の場合、階段は1段飛ばしで上り下りするのがデフォルトなのだが、この階段はちょっと骨が折れた。これもまた、「処分者」に与えられる試練のひとつなのだろう。

モノトーンでまとめられた廊下は、沈んだ気分をより一層落ち込ませる効果がある。
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この写真▲をかみさんにLINEしたら、「刑務所みたい」というコメントが返ってきた。刑務所にはまずこんな窓はないだろうが *3、無機質で寂寥としたこの眺めを何かに例えると、そういう表現になるのかも知れない。

3階の一番奥に、「M」と呼ばれる教室はあった。
f:id:ToshUeno:20161104122847j:plain「A」と「B」は受付で使っているからここで使えないのはわかるが、なぜいきなり「M」なのだろう。確認していないが、「C~L」に相当する施設が2階にあるのだろうか。それとも、「MENTEIの“M”」なのだろうか。

あるいは、5時間近くここに座らされるというのに、ご覧のとおりのパイプイス・・・つまり、文字どおり「Masochistの“M”」を表しているのだろうか。冗談でも何でもなく、本当にケツが痛くて仕方なかった。現代人のオシリはゼイタクなのだ。

さらに、ケツが痛いのもツラかったが、とにかく「寒かった」。昼休みには周辺を散歩したのだが、外はまさに小春日和でポカポカ陽気だったのにもかかわらず、建物の中は見た目同様に寒々としていた。講師様がおっしゃるには、「ここは警察の施設なので、暖房を使用できる時期が決まっている」のだそうだ。「省エネ」と言えば聞こえはいいが、つまり、融通が利かな・・・いや、私は「処分者」なのだった。どんな仕打ちも、甘んじて受け容れなければならないのである。

 

「ルールとマナー」は知ってるはずなのに

この日の受講生・・・つまり、私と同じ「処分者」は36人。
朝イチでは「38人」と発表されたが、いつのまにか2人減っていた。講師は、各時限毎に別々のジイさん・・・もとい、警察OBと思われる方々がご登壇された。 こいつら・・・もとい、この方々の老後を支えるために、私のナケナシの12,600円は遣われるのだ。そう思うと、ネズミ捕りになんか引っ掛かってしまった自分の愚かさが恨めしくなる。

講習そのものは、「ルールとマナー」という何のヒネりもないタイトルの小冊子を中心に展開された。フツーに運転免許を取り、フツーに運転して、フツーに報道に接していれば、どれもこれも「知っていて当然」の内容である。真新しい知識はただのひとつもなかった。ただ、知識があるからといって、ネズミ捕りに引っ掛からないわけではないのが悩ましいところだ。

 

定価70,000円のビデオは、さすがにためになった

ビデオは、かの有名な「斉藤プロダクション」制作の「交通警察24時」的な内容のものが“上映”された。タイトルは「こころが大切 安全運転」。
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ホームページに明記された定価は、驚愕の70,000円 (税抜)。こんなところにも、警察と斉藤プロダクションの癒着構造が見て取れる。まあそんなズブズブはともかく、この作品のメイン・テーマは「他者配慮」である。

   長年交通問題を研究している矢橋昇先生は半世紀も無事故無違反。〔中略〕

「道路はみんなのもの」他の人と快適に、安全に分かち合う気持ち(他者配慮)を忘れないことが事故防止には欠かせないと語ります。

- 詳細「こころが大切 安全運転」

交通事故で息子・雄大君 (当時9歳) を亡くした、布川美佐子さんの話が深く心に染みた。さらに、エンディング間際には若くして交通事故で命を落とした子供達・若者達の写真が1枚1枚映し出され、突如として奪われた、前途あったはずのそれぞれの人生を思って不意に泣きそうになってしまった。

そう言えば先日も、ボケ老人のボケた運転によって、かわいらしい7歳の少年の命が奪われたばかりだ。クルマという鉄の塊の前では、人の命は脆く儚い。私もこれからは、どんなに見通しが良い幹線道路でも、どんなに後ろのクルマに煽られようとも、どんなに自車の後ろに「大名行列」ができようとも、40km/hというママチャリでも出せるようなスピードで、のんびり走ろうと思う。

 

唯一の“お楽しみ”はシミュレータだったが・・・

シミュレータ室全景▼・・・と書きたいところだが、フロアの半分も写ってなかった。スマホの電源を切っていたのでONにしてからなかなか起ち上がらず、時間がなくなってアワてて撮ったとは言え、あまりにヘタクソで萎える。
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「停止中無免許一発取消し!」の標語が笑える。わかったっつーの。

シミュレータ▼。ハンドルがデカくて笑ってしまった。
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40台近くズラッと並んだシミュレータはなかなか壮観だが、筐体そのものは建物と同様に「昭和」である (そこまで古くはないか)。

操作そのものは、実際の運転を全然シミュレートしていないので、非常に難しい。おそらく、PS4/PS3にハンドルコントローラをくっつけて「グランツーリスモ」シリーズでもやった方が、全然まともなシミュレータになるだろう *4

私は当然「マニュアル」で操作したのだが (ペダルはもともと3ペダルで、上の写真に見えるシフトレバーのカバーを“パカッ”と開けるとHパターンの溝が切ってある)、スターターの音しか聞こえないのでエンジンがかかってるのか、かかってないのか全然わからない *5

そもそも、クラッチは全然関係ない。絶対にエンストしないし、停止状態から走り出すときも、ただアクセルを踏めばいいだけである。シフトレバーも、発進時にニュートラルからローに入れる以外は操作する必要がない。ツマんね。

さらに、速度調節がものすごく難しい。「40km/hで走行してください」とかって指示が出るのだが、ちょっと踏むとグングンスピードが上がるくせに、アクセルをちょっと戻すだけでガクンと落ちる。どんだけエンブレ効いてんだよ。
加えて、ボンネットの前方が画面に映るのだが、右側しか映らないため、ちゃんと車線の真ん中を走ってるかどうかがわからない (でもこの点はさすがに評価対象じゃないっぽい)。

そんなこんなで「実車の運転の方がよほどカンタンじゃないか」と思えるほどのシロモノだったが、なんとか「A判定」を勝ち取ることができた。「右折中の減速が不十分」「急ブレーキを踏んだ」とやらで、-2点だったけど。悔しい。今度やるときは・・・って、もう二度とあんな所には行きたくないが。

ちなみに、オートバイのシミュレータはこんな感じ▼。
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手前の原付のパーツをまんま流用したと思われる筐体はかなりフンイキが出ているが、奥に見える「オートバイ然とした木馬」みたいなのはちょっと笑える。もしオートバイでパクられた場合は、こちらに跨がることができるのだろうか。
クルマの方があまりにショボかったので、(こっちの方が良かったな)と思うのであった。

 

テストは「連帯責任」?

講習のいちばん最後に「考査 (テスト)」が行われ、その成績によって免停日数が「1・5・10・30日」と変わる。

www.police.pref.kanagawa.jp

設問に対しては「正/誤」の二択で回答する。フツーの常識と知能があれば、成績は「優」、つまり「免停日数=1日」になるような問題しか出ない。よってここでの目標は「1番最初に終えて最初に教室を出ること」であった。

最後の40問目を読み始めたとき、ひとりの若者が最初に席を立った。なかなか優秀なヤツだ。トップになれなかったのは悔しいが、2番目に教室を出た。時計を確認するのをうっかり忘れてしまったが、5分ぐらいで終えたはずだ。

なぜなら、いちばん最後に残ったおねえちゃんがテストを終えたのが、15時18分だったから。全員がテストを終えるまで教室の外で待たなければいけないのだが、ずいぶん待たされたから。

最後に「今日一日は運転しません」という誓約書を書かせられて (しつこい!)、免許証を返してもらえる。私はいちばん最初に受付を終えたので、いちばん最初に帰ることができた。教室を出たのは、15時30分。

大半の人が10分程でテストを終えていた。慎重過ぎる性格なのか、あるいは知識と常識がないのか、はたまた・・・ま、いいか。理由はわからないが、異様に遅い数人の人がいなければ、15時20分頃には帰れるだろう。

(この項おわり)

 

*1:ま、早いっつっても数分だけど

*2:正式名称は忘れました

*3:ろくでもない人生を送ってきた私ではあるが、さすがに刑務所にブチ込まれたことはない

*4:PS4版のグランツーリスモはまだ発売されてないのね

*5:もう既に耳が遠いので、聞こえないのは私だけかも知れない