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ヤマハ・コミュニケーションプラザに行ってきた:その1

オートバイ 博物館

「心が疲れたときは、クルマ/オートバイの博物館に行くべし」

過去の私による教訓に基づき、ヤマハ発動機(株)の博物館である「コミュニケーションプラザ」に行ってきた。



 

「あなたが思ってるより、ずーっと遠くまで行けるのよ」

スズキ歴史館」には昨年6月、「Honda Collection Hall」には今年2月に行った。それぞれコンセプトは違うが、どちらもすばらしい企業ミュージアムだった。とても楽しく、心底癒やされた。125ccスクーターとは言え、現在ヤマハ発動機(株) (以下「ヤマハ」) 謹製二輪車のオーナーでもあるので、次はやっぱりヤマハだろう。

というわけで、去る2016年12月2日(金)、静岡県磐田市にある「ヤマハ コミュニケーションプラザ」に向かった。もちろん、ヤマハNMAX・・・ヨワイ49、約220km離れた場所に125ccスクーターで下道を使って行くほど、素っ頓狂な若さはないので、日産のカタログ落ちスペシャルティ=スカイラインクーペで。

平日の東名道は交通量も少なく、思いどおりのペースで走ることができる。すっきりと晴れ渡った冬の空の向こう側には、富士山がとてもきれいに見えた。
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(▲2016年12月2日、富士川サービスエリア下りからの眺め)

カーオーディオから、松田聖子の「SWEET MEMORIES」が流れてきた。数年前、80年代の10枚すべてをコンプリート・ダビングした「青春歌年鑑」の中に収録された曲である。

   あの頃は若過ぎて

   悪戯に傷つけあった二人

この曲を歌っていた頃、松田聖子はハタチそこそこだったはずだ。(「あの頃は若過ぎて」って(笑) いったい何歳のときの話だよ)と、ひとりツッコミを入れたが、「曲中の主人公は30代後半」と考えれば違和感はない (この詞を書いた松本隆先生は当時30代である)。

   過ぎ去った優しさも今は

   甘い記憶 Sweet Memories

そして当時、私は高1のクソガキ兼童貞だったので歌詞には全然ピンと来ず、「CMで流れるオーソドックスなバラードのひとつ」としか思ってなかったが、この日耳にした「SWEET MEMORIES」は、そのメロディも歌詞も、妙に心に染みたのだった。(「過ぎ去った優しさも今は甘い記憶」か・・・)

眼前に美しく輝く富士山と、心に染みる懐かしい音楽。その中を、静かに走り続けるクーペ。たまには、クルマで移動するのも悪くない・・・ ・・・そんなことを考えていたら、ふと思い出したことがある。

現在絶賛放送中のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の中で、石田ゆり子は愛車・日産ジュークのハンドルを握りながら、クルマを持とうとしないイマドキの30代である大谷亮平に向かってこうつぶやく。

   でもね、あなたが思ってるより、ずーっと遠くまで行けるのよ

彼女は、単に距離のことを言ったのではない。「空間的」にだけでなく「精神的」にも、クルマやオートバイは、私達を遠いところに連れて行ってくれるのだ。

 

ヤマハ発動機・コミュニケーションプラザとは

ヤマハのコミュニケーションプラザは、ただの博物館ではない。

ホームページでも、

   コミュニケーションプラザは、その過去、現在、そして未来を解き明かすスペース。「コミュニケーション」をキーワードに、ヤマハ発動機の製品を愛するお客さまをはじめ、お取引先の方々、ヤマハ発動機グループの社員と情報交換、交流することで、ともにスキルを高め合うことをコンセプトにしています。

Communication Plaza とは

と謳っているとおり、「ヤマハ発動機の社員・客・取引先がコミュニケートすることで共にスキルを高め合う」ための施設なのである。いったい何のスキルを高めればいいのかは不明だが。(コミュニケーションスキル?そりゃ大きなお世話だわ)

確かに、展示されていたオートバイは必要最小限で (個人的にあまり興味のないレース用マシンは一般車に比して多めに置いてあった)、その代わりというか何というか、平日だって言うのに・・・というかむしろ平日ゆえ、1階ロビーを始めとしてヤマハ社員 (ロゴ入りジャンパーを着ているのですぐわかる) や取引先の方々と思しき人間がたくさんいらっしゃって、その人間達が写り込まないように写真を撮るのが大変だった。

私はヤマハのオートバイが見たいのであって、人間が見たいわけではない。こんな所で、アカの他人とコミュニケーションを取りたいわけでもない。

コンセプトどおりの施設ではあるが、Honda Collection Hallのように「もうオナカいっぱいです、カンベンしてください」って程にオートバイを見たかった私にとっては、少々ガッカリな施設だった。

 

クリスマスツリーなんかいらない

1階ロビー中央には、吹き抜けを突き抜けて聳え立つ、巨大なクリスマスツリーが飾られていた。ここはヤマハの博物館ではなく、「みんながコミュニケートするための施設」なのだから、時季的にごく自然なことだとは思う。f:id:ToshUeno:20161202114253j:plain ただ、ヤマハのオートバイを見るためにここを訪れた人は、誰もがこう思うだろう。
(ツリーなんかいらねえから、このスペースにバイク並べろや)と。

え?思わない?ふーん・・・。ま、少なくとも私はそう思った。

 

超高級車2台

デカいツリーに守られるように、1階ロビーの奥に「昭和」と「平成」それぞれのスーパーカーが展示されていた。「トヨタ2000GT」にヤマハが技術協力をしているのはあまりにも有名なのですぐに合点がいったが、「レクサスLFA」にもヤマハの息がかかっているとは、恥ずかしながら知らなかった。

トヨタ 2000GT (1967)

このテの施設に展示されるのは、大体ホワイト系ってのが相場なのだが、珍しいキャメル系の色だった *1f:id:ToshUeno:20161202114858j:plain一度だけ街中で見かけたトヨタ2000GTは、悲しくなるほど小さかったのだが (全幅が1600mmしかないのだから当然だ)、デザインが優れているからだろう、こういう場所で見ると、とても大きく立派に見える (ま、この話は3年前のヨタ博の記事にも書いたような気がするが)。

そして、リア周りの柔らかなラインにウットリとするのも、この稀代の名車を目にしたときの常である。f:id:ToshUeno:20161202115124j:plainCADも産業用ロボットもない時代、手書きの設計図とハンドメイドでこの美しいボディを造り上げた先人達は、本当に偉大だと思う。

レクサス LFA (2011)

そして、ご存知LFA。スーパーカーに違いはないのだろうが、真横に置いてあるトヨタ2000GTの圧倒的に美しいデザインと比べると、何の面白味もない凡庸なデザインに萎えてしまう。
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特にこのヘッドライトの「直角三角形」は、もうちょっと何とかならなかったのだろうか。

フロント側はツマラないデザインだが、FRらしいボリュームに溢れ、FRなのにエアインテークがあるリア周りは、迫力があって好きである。f:id:ToshUeno:20161202115318j:plain
デザインはともかく、室内サウンド開発にはヤマハ(株)、つまり「楽器を作ってる方のヤマハ」も協力しているそうだ。現地のプレートには、こんな洒落たことが書いてあった。

   エンジンは楽器、車体はライブハウス。そしてドライバーは自らエンジンを奏でる演“走”者。

そして、LFAのエンジン。右側シリンダーブロックに貼られたシルバーのプレートには、ヤマハのロゴと共に「Assembled by 太田 淳」と刻まれている。
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こうしてエンジン単体で置いてあると割と目立つが、いざボンネット内に収められたとき、はたしてこのプレートは見えるのだろうか。

 

二輪車製品(現行)

いくら技術協力をしたと言っても、上述の2台のクルマはあくまでトヨタの製品である。そもそも、ヤマハは四輪メーカーではない。そう言えば一時期、「ヨーロッパで四輪に参入する」なんて話はあったが、その後どうなったのだろうか。

toyokeizai.net

そんな「二輪業界・永遠のナンバー2」ヤマハの現行車の中で、気になったものをざっと挙げる。まずは、1階ロビー一番手前のメインステージに展示されていた、欧米向けの2台から。

YZF-R1M (2016)

「ヤマハのR1」はもちろん知っていたが、スーパースポーツというジャンルに興味のない私は「M」の付いたこのマシンの存在は知らなかった。なんと、プレストコーポレーションの参考価格では税込300万円超え(!)だそうだ。
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マシンの成り立ちもデザインもスペックも、すべてが「スピードを出すこと」1点に絞られているこのテのマシンを、公道上で、しかも法定速度で走らせるのは相当にストレスが溜まると思うし、そんなマシンに300万も払うなんて、と思うのだが・・・あ、誰も法定速度なんて守ってないのか。取締りと事故には気をつけましょう。お互いに。

MT-10 (2016)

カウルがないぶん、R1Mに比べればおとなしく見えるが、じゅうぶん戦闘的である。いわゆる「ストリートファイター」ってヤツか。
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しかしまあ以前からずっと思ってるけど、なんだよ「ストリートファイター」って(笑)。いったい何とファイトするって言うんだろう。 

FJR1300-A (2016)

自称ロングツアラーの私が、現行のヤマハ車の中でもっとも興味のある1台。以前はヤマハのツアラーなんて完全にアウトオブ眼中(死語)だったが、9月頃だったか、NMAXを買ったYSP横浜戸塚で実車を見てガゼン興味が湧いた。
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クラッチレバーがない「AS」ではなくて、コンベンショナルな「A」なら、税込150万円台というツアラーの中ではかなりリーズナブルな点も、重要なポイントである。

国内向けには「シルバーとグレー」という地味系2色しかないのが残念でしかたないが、欧米向けには、こんなきれいなブルー系が用意されている。ズルい。f:id:ToshUeno:20161202120453j:plainどうせ買うならこの色がいい。もちろん、逆輸入版は150万円台じゃ買えないだろうけど *2。 

MAXシリーズ

愛車でもある125ccスクーターの決定版・NMAXは当然展示されていると思ったが、「MAXシリーズ」というプレートが置かれたコーナーには、欧州向けの「XMAX」と、
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シリーズの“長兄”である「TMAX」しかなかった。残念。
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・・・と思ったら、フロアのいちばん隅っこに「BLUE CORE」の技術を紹介するコーナーがあって、NMAXのものと思われるエンジンと足回りが展示されていた。f:id:ToshUeno:20161202115857j:plain
明記されてはいなかったが、マフラーやラジエーターのカタチからしてNMAXのもので間違いないだろう・・・てなことを、「コミュニケーションプラザ」よろしく、ヤマハのジャンパーを着た人をとっ捕まえて尋ねたりしたら、「ええ、これはNMAXのものですよ」と、こんなおっさんにもやさしく教えてくれるのだろうか。

(つづく)

 

*1:Wikipediaによると、ここにあったのは「3台しか生産されなかったゴールド塗装車のうちの1台」だそうだ。キャメルじゃないんだ(笑) でも、どうヒイキ目に見ても「ゴールド」には見えなかったなぁ・・・

*2:ちなみにプレストコーポレーションの現行ラインナップに、FJRは見当たらない