冬はチョイノリ、老いに抗う

今年は、「短時間でもいいから、できるだけオートバイに乗ろう」と正月七日に決めた。ネタにならなくてもいい。写真を1枚も撮れなくてもいい。オートバイとガソリン代さえあれば、そこに「気持ち」を加えるだけで、いつでも走り出せるのだから。



 

おっさんライダーと真冬のツーリング

わが国有数の豪雪地帯・会津で生まれ育ったくせに寒さが苦手な私の場合、冬は特に出不精になる。そりゃ家の中で過ごす方がラクだし、新聞だって隅から隅まで読みたいし、読まずに積んであるだけ *1 の本や雑誌、録画しただけで観ていないテレビ番組もたくさんある。

そもそもオートバイなんて、乗りたくなければ乗らなきゃいいだけの話だ・・・が、得てしてオートバイ乗りは、そうして老け込んでいく。横着している間に、ライダーとして必要な判断力やバランス感覚は確実に衰える。やがて体力もなくなり、オートバイを押して歩くことさえできなくなってしまう。

私は、「生きている限りはオートバイに跨がっていたい」と願う者である。おっさん/じいさん御用達バイク雑誌「風まかせ」には、人生の先輩達が生き生きとオートバイに跨がる様子が毎号掲載されている。

www.crete.co.jp

中には、70歳を過ぎているにもかかわらず、H-D (※非スポスタ系) のようなクソ重いマシンに乗り続けているツワモノもいらっしゃる。すばらしい。私も、どうかそうありたいと思う。

「オートバイに乗り続けること」・・・それは、まるで夜の海のように漆黒の闇で覆われた私の未来に唯一輝く、「希望の光」なのだ。だから、大好きだった酒もやめた。もちろんそれだけが理由ではないが、「オートバイに乗り続けるために、オレは酒をやめた」そう言えるだけで、なんかカッコいいじゃん・・・と、自分では思っている。

とは言え、どうしたって冬は寒い。

昨年、不用意に一発免停を喰らったばっかりに電熱系を揃える金銭的余裕がなくなってしまったので、今年も相変わらず自分の体温だけが「熱源」なのだが、今シーズンの冬は服装をマイナーチェンジしたことで、例年より多少は“マシ”になった。

 

2017年・冬の防寒

今シーズンは、上着を「革ジャン→ダウンジャケット」に変更し、さらにインナーウェアを強化した。

エディ・バウアー ~ ダウンジャケット

駅までテクテク歩いていた昨年までと違って、今年は極寒の中、125ccスクーターで駅まで行っている。丈が短いジャケットでは、脚が寒くてしょうがない。だから今年は、「ロング丈のダウンコート」を長年御用達の「エディ・バウアー」で買った。

www.eddiebauer.jp

よって、昨年通勤用に買ったばかりのダウンジャケット (当然、エディ・バウアー謹製) の使い途がなくなってしまったため、これをツーリング用に “配置換え” した。「冬のオートバイ乗りの正装は革ジャンである」という長年のポリシーを、あっさり捨てたわけだ。

とっくの昔に気づいてたことだが、やっぱり革ジャンよりダウンジャケットの方が数段暖かい。人間、時にはポリシーを捨てることも必要である。

EVENRIVER~ Heat Body

「イーブンリバー」・・・まったく聞いたことのないメーカーだが、知る人ぞ知る(?)「作業着専門メーカー」である。

evenriver.co.jp

「Heat Body」は、このメーカー謹製の「裏起毛インナーウェア」だ。
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(画像出典:ワークウェア イーブンリバー|ヒートボディー シリーズ)

戸塚区民御用達ホームセンター「ロイヤルホームセンター (通称「ロイホ」) 戸塚深谷店」で豪華POP付きで大々的に販売されていたモノを、(おっ、これツーリング用に良いんじゃねえの)と思って衝動買いした。上下合わせて、7,000円ぐらいだっただろうか。

値段的にさほど期待はしていなかったのだが、意外に着心地はいいし、カラダにぴったりフィットして動きやすいし、そして何より暖かい。コイツは、この冬最大のヒットである。

ありがとうロイホ。ありがとうEVENRIVER。ありがとう、12月のオレの衝動。

 

2017年・冬のテーマ

多少マシになったとは言え、しょせんは「マイナーチェンジ」である。電熱系をくまなく全身に取り入れた「フルモデルチェンジ」でないと、ご老体に冬季・長時間ツーリングはキツい。

そんなわけで、拙宅の近場・・・例えば「じゃない方」の横浜とか、藤沢を始めとした湘南地域とか、横須賀を中心とした三浦半島とかを毎週1~3時間程度走っている・・・1時間って(笑)。

たいしていい景色があるわけじゃない。楽しいグネグネ道があるわけでもない。「やっと快走路を見つけた!」と思ったら、一瞬で渋滞の幹線道路にぶち当たる。そんな悪条件下でのプチプチ・ツーリングを有意義なものにするために、3つのテーマを決めた。

音を楽しむ

スズキ謹製のパフォーマンス・クルーザー「ブルバード M109R」は、「Vツイン・サウンド・マシン」である。普段は爆音マフラーで周囲に迷惑をかけ、車検のときだけノーマルのマフラーに戻すような “さもしい” マネをしなくても、“素” のままでじゅうぶんいい音を聞かせてくれる。

ただ移動のためだけにハンドルを握るサンドラの皆さんと同化して市街地をのんびり流せざるを得ない場合でも、決してスリ抜けなどせず、その時々の速度域に合わせて「いちばんいい音」が聞こえてくるようにギアを落とす。

アラを探せばいくらでも出てくるM109Rではあるが、そのサウンドを耳にすると、どんな欠点も許すことができるのである。

写真を練習する

大枚をはたいて買ったPanasonicの高級コンデジ「DMC-LX9」は、コンデジのくせに滋味豊かな写真をモノにすることができる・・・ただし当然、「使いこなせば」というエクスキューズが付く。

これからも出くわすであろう絶景 (©BikeJIN) は、その機能を余すところなく活かして画像に落とし込みたいが、すっかり「バカチョン」に慣れきってしまった私の場合、来たるべきツーリング・シーズンに向けて、今のうちから練習をする必要がある。

というわけでプチプチ・ツーリングのついでに被写体を探して近場をうろついているのだが、中途半端に都会で中途半端に田舎なこの辺りでは、なかなかいい被写体に巡り会えない。

しかたないので、とあるヒトケのない倉庫前で、来年はとうとう「10年落ち」というセツない節目を迎えてしまう「2008年式・ブルバード M109R」を撮影した。f:id:ToshUeno:20170122145733j:plain
うーん・・・背景をボカしたつもりだったんだが・・・おかしいなあ・・・。

老化に抗う

身長176cmの私にとって、メリケンサイズの大男向けに最適化されたM109Rは “ツルシ”のままでは若干ハンドルが遠い。なので、できるだけ肩に負担をかけないようにやや前傾気味にして、「腹」に力を入れて上半身をしっかり支える必要がある。

ここでフツーのライダーなら、ハンドルライザーを取り付けるなりしてハンドルを手前に持ってくるのだろうが、マシンを自分のカラダに合わせるのは、私はヨシとしない。マシンに負けた気がするからだ *2

今年はとうとう50歳。「人間五十年夢幻の如くなり」なんて言われた時代もあったように、私に残された時間はとても少ない。いつまでも若いと思っているのは自分だけで、確実に肉体は衰えている。

「マシンをねじ伏せる」心意気でM109Rに跨がり続けることが、老化に抗うことにもなる。そんなふうに考えれば、例え1時間のプチプチ・ツーリングでも有意義なものになると思うのだ。

 

*1:最近「紙の本」はほとんど買わないので、物理的に積んでいるわけではない

*2:単に「カスタムする金がない」という理由もある