2017年立春・伊豆半島ぐるり一周の旅
2017年2月4日(土)、伊豆半島沿岸部の天気予報は終日「晴れ」、風速は「1~2m/s」。まさに「立春」を絵に描いたような予報であった。せっかくの土曜日、朝はゆっくり寝ていたいし、帰りの冷え込みや渋滞は気がかりだが、ひさしぶりに伊豆半島を一周してこようか・・・。
オートバイ乗りの名が廃る
伊豆に行こうと思い立ったのは、前日の2月3日。
私の伊豆半島ツーリングのメイン・ステージは南伊豆~西伊豆なので、天気予報もtenki.jpの「ピンポイント天気」で、文字どおり南伊豆町・西伊豆町をチェックする。
2月4日の天気予報は、南伊豆町・西伊豆町ともに「晴れ」、最高気温は10℃以上。
半島の先端よろしく、強風の日が多い南伊豆町も、終日「風速1~2m/s」。2月の天気としては、これ以上ないという好条件である。帰路の東名道上り線での寒さや、好天ゆえ間違いなく発生するであろう渋滞は心配だが、近所のチョイノリも飽きてきたし、こんな好条件の日を逃すなんて「オートバイ乗りの名がスタる」ってもんだ。
いまさら伊豆をどう書くか
寒さや渋滞に加えてもうひとつの問題は、「何度も記事にしている伊豆をいまさらどう書くか」である。
2月ということで、路面凍結の恐れがある内陸は走りたくないので (ま、そもそも伊豆半島内陸部には数回しか行ったことがないのだが)、走行ルートはどうしても沿岸部になる。伊豆半島沿岸部の絶景 (©BikeJIN) ポイントは、過去の記事で概ね書いてきた。観光スポットやお食事処には当然のごとく今回も行っていないので、ソッチ系のネタも書けない。
さて、どうしようか・・・。
まる一日悩んだが、悩んだところでいいアイデアが浮かぶわけでもなく、結局、また過去記事と同じ場所で撮った写真を掲載し、この日に感じたことを書くことにした。
伊豆の風景をM109R (2008) とともに
「愛車」 というのはよく言ったもので、こう長く所有していると何か愛情のようなものが芽生えてくる。例えば自分のポルシェをブログで「ポルポル君」と呼ぶような(苦笑)、クルマやオートバイを擬人化する趣味は私にはないのだが、2つの車輪で走るこのクソ重たい乗り物を愛していることだけは確かだ。
なので、新車を買ったばかりならともかく、中古で買ってからもうマル7年が経とうというのに、こうして写真に収めるというのは少し恥ずかしい気もするのだが、やはりどうしてもカメラを向けたくなってしまう。
これを「愛」と呼ばずして、何を「愛」と呼べばいいのだろうか。
汐吹公園
戸塚に引っ越してから、伊豆に来るのは初めてである。
拙宅近くのガソリンスタンドを午前8時55分に出て、この写真▼のタイムスタンプが同10時52分なので、この最初の「トイレ休憩ポイント」まで、2時間を切ったことになる。
川崎に住んでいた頃は、どうがんばってもここまで2時間を切ることはなかったが、この日は新湘南バイパスでも西湘バイパスでも追越車線を一度も走ることなく、のんびり走ってきたにもかかわらず、である。
事程左様に、伊豆は近くなった。まあ逆に、当然都内から東側/北側は遠くなって、そもそも生活の多くを占める通勤時間も長くなったのだが、何かひとつでも“救い”があるのはいいことだ。
ちなみに写真のとおり、ここの二輪車用駐車スペースはオートバイになど興味のない人たちが設計・施工したのだろう、道路側に向かって上り傾斜になっているので、M109Rのようにバックギアのない超重量車を駐めるときは、バックで入れると良い。
合言葉は、「シオフキでバック」・・・特に他意はない。
弓ヶ浜海水浴場
汐吹公園は駐車場から数分歩かないと「珍景」ポイントに辿り着けないので、私は一度も潮を吹く様子を見たことがない。
それに対してここ弓ヶ浜は、海水浴場に沿って道路が通っているので、エンジンを止めれば、すぐに静かな海を堪能することができる。
ただしこの道路は、田舎のワリには結構クルマが通るので注意が必要である。
ちなみに、ここにも少しわかりにくい場所にトイレがある (※小さな看板はある)。古くさくて汚い建物はそのまんまだったが、便器は新しくなっていた。
写真のタイムスタンプを見ると、汐吹公園から1時間40分しか経っていないのにもうモヨオしていた。最近トイレが近くなって困っている。そろそろ「ハルンケア」が必要かもしれない。
井田海水浴場
西伊豆沿岸をひたすら走り続けて、ここ沼津市井田にたどり着いたのは午後3時半頃。この日は、新湘南バイパスを皮切りに、最後の長井崎まで本当に富士山がよく見えた。
西伊豆には数々の富士山ビュースポットが点在しているが、「恋人岬」や「旅人岬」など、コッパズかしい名前が付いたそれらは大概クルマと人で賑わっている。「人が集まっている場所には近づくべからず」が私のツーリングの“掟”であるので、どんなに富士山がキレイに見えても、私がそこでエンジンを止めることはない。
静岡県道17号から脇道に入ったこの海水浴場 *1 は、クルマも人も少ない、貴重な“穴場”なのだ。
ちなみに、すぐ近くに一面の菜の花畑があるのだが、何かイベントでもやっているのだろう、この場所にしては結構人がいたのでスルーした。
長井崎
伊豆半島ツーリングのシメは、ここ長井崎のてっぺんに上り、この位置にM109Rを停めて富士山を眺める。それが、私のルーティンである。
急な坂を上ってわざわざこんな場所に来るのは、すぐ真横にある長井崎中学校の生徒または関係者か、ミカン畑で農作業する爺さん婆さんぐらいだったが、この日は袖ケ浦ナンバーの白いホンダ・オデッセイに乗った男女4人組を始めとして、数組の若者たちのグループが確認された。
もちろん会話したわけではないので本当のことはわからないが、おそらく、例のあのゲームだろう。混雑しているホームで急に立ち止まって人の流れをせき止めたり、クルマを運転しながらプレイして何の罪もないをひき殺したりしなければ別に問題はないのだが、「ヒトケの無い」ところがこの場所を気に入っている理由のひとつでもあるので、個人的に複雑ではある。
井田の河津桜に春を予感するが・・・
一昨年の2月15日の記事でも、沼津市井田の河津桜について書いた。
河津桜のメッカは言うまでもなく河津町だが、そこには群衆が大挙して押し寄せる。そもそも首都圏からアクセスしやすく、熱海・伊東を筆頭に観光地も多い東伊豆一帯は、人もクルマも多すぎる。私にとっての東伊豆は、「伊豆半島沿岸コンプリートのために、ガマンして通り過ぎる場所」に過ぎない。「東伊豆グループ」に属する河津町も、当然スルー対象である。
ここ井田の河津桜は、河津川沿いの壮観とは比べるべくもないショボさだが、私にはこれでじゅうぶんである。何より、人もクルマもほとんど通らないのがうれしいのだ。
今年は一昨年より11日早くこの場所に来たわけだが、ほとんど開花していなかった2015年に比べて、
(▲2015年2月15日撮影)
2017年は開花が早く、かなりの空間がピンク色に染まっていた。
これで何部咲きだろうか。七分咲きぐらいだろうか。
正直に言うと、花にはほとんど興味はないのだが、心から冬が嫌いな私としては、「春の訪れ=冬の終わり」を予感させてくれるこのテの植物は、少しだけ愛おしいと思う。
ただ、まだ安心はできない。まだまだ寒い日は続く。
2017年2月10日の横浜市戸塚区の予想最低気温は「0℃」である。0℃だと、通勤専用車=ヤマハ・NMAXに装備したグリップヒーターも、まるで役に立たない。
ホントもう、冬は1カ月ぐらいで終わっていいよ・・・。
2017年2月4日・伊豆半島ツーリングまとめ
最後に、他にこの日感じたことなど。
「何人たりともオレの前は走らせねえ」な人たち
この日は天候が良かったということで、2月にしてはオートバイ乗りが多く見られた。気になったのは、シャカリキになって、意地でも前に出ようとするヤカラ達だ。
- おぼつかない感じでタンデムしていたホンダ・NCの直前に (まあ確かにトロかったけど)、無理矢理割り込んだ白青のBMW・F。
- 高価そうな革ジャンを身にまとい、それが汚れるのも厭わずに観光バスの排気ガスをモロに浴びながら、すぐ後ろに“ビタ付け”していたトップ+パニアケースフル装備のBMW・GS。
- 鈍重なくせに、信号待ちの時に反対車線を通ってまで車列の先頭に出て、何度も私の前に出ようとした土浦ナンバーのH-D。車線が白破線になったらココゾとばかりに反対車線に出て、クルマの列に割り込みながら (ウインカー出せばいいってもんじゃねえだろ) 消えていった・・・。
公道はレース場ではない。
「他人より先を走りたい」誰にでもそんな時期はあると思うが、もういいトシこいたおっさんなんだから (GS以外のふたりは顔が見えた)、せめて周りに後ろ指を指されないような走り方をして欲しいものだ・・・と、これは自分自身に対する戒めでもある。
▼「BikeJIn 2017年3月号」には、そんな「カッコワルい走り方」の数々が挙げられている
老化に屈するか、それとも抗うか
「老化に抗う」ことが現在の私のテーマであるので、また先日と同じようなことを書くが、
この日も「体力の衰え」を痛切に感じた。
西伊豆の沿岸部は起伏豊かなグネグネ道が延々と続くのだが、クソ重たくてホイールベースが長いM109Rをそんな道でスムーズに走らせるのは、なかなか骨が折れる作業である。
もうかれこれ20回近く西伊豆は走っていて、一時期は「だいぶスムーズに走れるようになったなあ」なんて思ったこともあったのだが、この日はてんでダメだった。どうにも、M109Rを“操っている”感覚にまったくならなかったのだ。おまけに、デフォルトで凝っている肩・首だけでなく、背中まで痛くなってくる始末・・・。
このまま老化に屈して、M109Rを降りるのか。それとも、あくまでM109Rのような超重量車にこだわり続けるのか。安楽な道に逃げるか、苦しい愛を貫き通すか・・・。
今後はそのせめぎ合いの中で、「愛車」に跨がることになるのだろう。
走行ルートログ
(▲真鶴あたりまでGPSログがOFFになっているのに気づかなかった(恥))