3年ぶりの二俣川は何も変わっちゃいなかった

突然降って湧いたような激務に日常のすべてが飲み込まれ、ブログもすっかりご無沙汰となってしまった。不思議なもので、「週に一度は必ず更新」を自分に課して常に気にしていたのに、いったん更新を滞らせてしまうとまったく気にならなくなる。

そんなふうにブログを忘れかけていた今日この頃、ようやくネタになる出来事があったので、ひさしぶりに「はてな」のアカウントを使ってみる(と書き始めてから、はや一週間が過ぎてしまった)。



 

3年ぶりの二俣川

まあネタと言っても、たかが免許証の更新である。特におもしろくはない。ただ、この国で生活していく上でこれほど面倒で、これほど無意味な作業もなかなかない。

3年前にその作業をした直後、面倒を少しでも軽減するために、全世界に向けて堅い(今思えば適切な漢字は「固」だろう)誓いを発信した。

toshueno.hatenablog.com

せめて違反者にはならないようにしようと、堅く心に誓うのであった。

免許証更新 - 遠くへ、もっと遠くへ

そして、その誓いを胸に秘めながら日々交通法規を完全に遵守し続けた・・・というのはもちろんウソで、クルマ/オートバイに乗るときは常に周囲とバックミラーに気を配った。飢えた目付きで街を徘徊する白黒ツートンの四輪車や、ブルーのウェアを身にまとい、白一色のマシンに跨がるライダーの存在を確認するためである。さらに高速道路では、地元ナンバーのトヨタ・クラウンや同・マークX、あるいは日産・スカイラインを追い越す際にはドライバーの服装に注意した。

そんな、要領のいい人ならフツーにやっているであろう「予防行動」を今さらながら実践し、目的を達成するまで残り数カ月となった2016年9月25日(日)、とんでもない落とし穴が待っていた。

toshueno.hatenablog.com

「狡猾」という言葉を見事なまでに具現化した「ネズミ捕り」という捕獲手段のことを、すっかり忘れていたのだ。

そして結局今回もまた、「違反者」の烙印を押されて免許証の更新を迎えることになってしまった。私のような愚者が「優良」の称号を掲げながら更新する方法はたったひとつしかない。「クルマやオートバイには乗らないこと」である。

 

交通行政の七不思議

さて、「561万人(男 322/女 239)」もの運転免許保有者数を擁する神奈川県に「運転免許試験場が1つしかない」のは、この国の交通行政・七不思議のひとつである。われわれ神奈川県民は「文句があるなら違反をしなければ良い」という傲岸不遜な神奈川県警の無策に業を煮やしつつ、この理不尽な不便を受け入れるしかない。

hamarepo.com

仕事がヒマだったら平日にマル一日休みを取って、PCXにでも乗ってのんびり行くのだが、残念ながら現状はブログを書くヒマもないほど忙しい。日曜日に行くことも考えたが、そこで待ち受けているであろう「大行列」を想像するにつけ、貴重な休日をそんな無意味な時間に費やす気にもなれない。

やむを得ず強引に午後休を取って(と言っても午前7時から6時間近く働いたのだ)、「上野東京ライン」という直通運転の名の下に頻繁に遅延が発生する、ほとんどの神奈川県民にとっては改悪でしかない「東海道線」と、戸塚区民には普段まったく縁の無い「相鉄線」を乗り継いで二俣川駅に向かった。

 

二俣川駅からバスに乗る

ここ数年はずっとクルマで来ていたので、二俣川駅に来たのは10年以上ぶりである。

記憶の中ではもっと古くてコキタナい駅舎だと思っていたが、いつの間にか新しくて立派で、商業ビルと一体化した駅舎になっていた・・・と思ったが、Wikipediaを見ると「1990年、北口に共同ビルが完成」とあり、私が初めて二俣川に来たのはどんなに昔でも東京都多摩市から川崎市に引っ越した2000年以降なので、単に記憶が間違っているだけなのかも知れない。まあ、記憶力が要介護度2レベルの私にはよくあることだ。

とにかく、このクソ暑い日中に10分以上歩く気にもならないのでバスで行こうとしたのだが、肝心の「北口バスロータリー」の行き方がわからない。改札からペデストリアンデッキに続いている案内板が途中で「切れて」いるのだ。

実際は、最後の案内板のすぐソバにあるエレベーターで1階に降りればいいのだが、エレベーターがあまり好きではないので階段を探した。そして、デッキで厚木街道の反対側まで行かないと、階段はないのだった。これまたWikipediaを見ると「二俣川ライフ」の中にバスロータリー直結の階段があるらしいのだが・・・そんなのわかるかよ。

すんなり行ければ改札から2分とかからないような距離を、(地上に降りてからの)信号待ちも含めて、7分ぐらいかかってようやく北口バスロータリーにたどり着く。

既に発車スタンバイ状態だったバスの運転手さんに「このバスは試験場に行きますか?」と聞くと、とても感じよく「試験場行きは1番乗り場です」と答えてくれた。二俣川なんて試験場で食っているような土地なので、すべての路線バスが試験場を通るのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

「違反者」は、そうでない人より受付時間が短い。
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「タイムリミット」は14時30分なのに、14時5分発のバスにようやく乗り込んだ。

 

入口と1階にはガラガラ感が漂っていたが

さて、違反者ヨロシク「3年」という最小スパンで訪れた神奈川県警・運転免許試験場は、以前来たときと何も変わっちゃいなかった。
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てっきりもう新庁舎に移転したと思っていたが、移転は来年 (2018年) だそうだ。ちなみに、後述する「違反者講習」の講師の談によれば、「六角橋の施設 *1 も“新”二俣川に移転する」らしい。

ってことはなんだ、今まで六角橋に行かされていた連中も大挙して二俣川に押し寄せるワケで、二俣川駅や試験場周辺の混雑がより一層ひどくなるってことじゃねえか。ったく、なんでこう県民の利便性を考えねえアホばっかなんだろうな、神奈川県警は ・・・。

ま、神奈川県警上層部のアホっぷりはさておき、前回訪れた「月曜の午前中」に比べると入口付近も1階フロアもガラガラ感が漂っていて、(お、やっぱ平日の午後に来て正解だったな)そう思った・・・2階フロアに続く階段を上りきるまでは。

 

相変わらずの動線の悪さ

2階フロアに上がると、②番窓口に長蛇の列ができていた。来た人からちゃっちゃと処理していけばいいモノを、自分たちの作業効率を優先して窓口を閉め切っていたのだろう。ったく。

②番窓口は対応に要する時間が短く、かつ2人の職員で対応していたので、あっという間に列は捌けた。ただ、相変わらずの動線の悪さにはイラだちを覚える。
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次回来るときは新庁舎に移転しているはずなので何の役にも立たないが、旧庁舎での最後の更新の記念として、更新手順を記録しておく。

①番窓口に免許証とハガキを提出して更新申請書をもらう

「免許証+ハガキ」は、窓口に行く前に用意しておきましょう。

収入印紙を買う

昔は窓側に収入印紙売り場があったような記憶があるのだが・・・私の低スペックな海馬による記憶違いかも知れない。

まあとにかく、2017年現在は②番窓口の向こう側、フロアの一番奥に印紙売り場がある。向かって左側から「印-②-①」という並びになっている。ユーザーの利便性を考えれば、①番窓口の隣に印紙売り場があった方がいいに決まっているのに、何か理由でもあるのだろうか。

②番窓口に更新申請書を提出する

すぐに処理を終える人とそうでない人がいて、直前に並んだ爺さんがちょっと時間がかかったので(なにやってんだよ・・・)なんて思ったら、私はその爺さん以上に時間がかかってしまった。後ろに並んでた人、すみません。

というのも、更新申請書の裏に「質問票」なるモノがいつの間にか追加されていて、要は「『てんかん持ち』や『アル中』ではございません!」と「自己申告」するのだが、そんなの全然知らなかったし、申請書の裏なんてまったく見てなかったので、窓口でテンパってしまった(恥)。

そんな私をアワレんだのか、それとも(さっさと書けよタコ)と思ったのか、窓口のおばちゃんは「ぜんぶ『いいえ』にチェックすればいいですから」と言っていたが、はたして、そんな「質問票」にどれほどの意味があるのだろうか。

③番の小部屋で視力を検査する

今回の更新では、ここでの待ち時間がもっとも長かった。10分ほど待たされただろうか。なぜなら、視力検査を担当する職員が、なんとたったひとりしかいなかったからだ。それゆえ私が2階フロアに上がったとき②番窓口で長蛇の列を成していた人達は、ここで延々と待たされるハメになった。

私が③番の小部屋に入る頃になってようやく、もうひとりの職員がやって来た。遅えよ。

④番窓口に更新申請書を提出する

窓口に書類を提出してしばらく待たされたのだが、この工程は何のためにあるのかよくわからなかった。写真撮影前の「最終判定」でもしていたのだろうか。何の判定かももちろんわからないが。

窓口の近くで待っている人達は列を作っているワケでもないので、書類を提出した後でどこで待てばわからず居心地が悪かったが、3分と待たずに名前を呼ばれて助かった。

⑨番の部屋で写真撮影

(今度こそはイケてる写真にしよう)と懸命に顔を作ろうとしたものの、毎度のことながら急かされたので、姿勢を正すので精一杯だった。私の前後には誰もいなかったので、もうちょっとゆっくり撮影してくれてもいいのに。いけずやわあ。

 

講習はマジメに受けましょう

世紀の大発明

館内に入ってからここまでかかった時間は、20分ちょっとである。前回も「30分もかからないぐらい」とブログに記録してあるので、ほぼほぼ同じぐらいの時間だろうか。視力検査を2人の職員で処理していれば、10分ほどで終わっていただろうに。ったく。

この後ブルーになるのは、毎度のことである。ここから2時間も、まったく意味の無い「講習」とやらを受けなければならないからだ。何がいちばんユウウツかって、「背もたれが後ろの席の机と一体化しているデスク」に座らされることである。

後ろの人が机上にペットボトルを置いただけで背中に衝撃が走るわ、座面が固くてケツが痛くなるわ、さらに前後のスペースが狭くてエコノミー症候群になるわで、私はこのデスクが大嫌いなのだが、こういった構造のデスクは、いったい誰が発明したんだろうか。「こうすれば狭いスペースに多くの人間を詰め込むことができる!オレ天才!」とでも思ったのだろうか。いや、オマエは人間工学を完全に無視した、史上最低最悪のデザイナーだよ。

MITTOMONAI

さて、2階フロアの一番奥にある「第9講習室」に入ったとき、講師の話が既に始まっていた。最終的にこの部屋に詰め込まれた人間は「80名」。その多くは「初回講習」の若者たちであった *2。若いってスバらしい。

その中に数人のジジイが散見されたが、いいトシこいてこんな場所に来なければならないのは、本当にみっともない・・・
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もちろん私も、その「みっともない」人間のひとりである。

ホシふたつです

講習の最初は、「ビデオ鑑賞」である。今回の作品は「ドライブレコーダーの証言」、製作は新生映画(株)

ホームページを確認する限り、「定価70,000円」という超高額な作品である。DMMで新作エロ動画を何本買えるだろうか。 いかんせん後方の席からはスクリーンが小さすぎて(100インチぐらい?)、「まあとりあえず映像は確認できる」程度だったが、それを差し引いてもツマラない作品だった。

タイトルどおり、「ドライブレコーダーによって記録された事故の映像を解析してその原因を考えながら、安全運転を訴える」といったストーリーなのだが、まず事故の映像がショボ過ぎてインパクトとスペクタクルに欠ける。よって、そこから導き出されるメッセージも弱々しくなってしまう。免停講習のときに見た感動の超大作「こころが大切 安全運転」の評価が★★★★だとすると、★★ぐらいだろうか。

それにしても、「ドライブレコーダーの証言」も「こころが大切 安全運転」も、メーカーは違うのに同じ70,000円なのはどういうことだろう。交通安全教育ビデオ業界では、カルテルでも結ばれているのだろうか。

ジコチューで何が悪い

ビデオ鑑賞の後は、「自分を見つめ直す」チェックリスト・・・設問に対してマルバツをつけ、マルの数によって「自己中心的」「注意力不足」などの「要素別特徴」が評価されるという超画期的なリストである。

前の席から用紙がまわってきたとき、隣の席のピンサロで働いてそうなおねえちゃんが1枚余計にくれたので、記念に持って帰ってきた。
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ちなみに私の自己評価では、「設問1.~5.=ブロックA=自己中心的」は問答無用の「すべて“”」であった。
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というか、

  • 後ろからクラクションを鳴らされても腹が立たない人
  • 渋滞時に横から割り込まれても何とも思わない人

この世の中にそんな人間がいることが、私には信じられない。

退屈な講義中のエキサイティングなワンシーン

最後の「講義」は、退屈だった。テーマは「老人」と「自転車」であった。

私はとうとう大台を超えてしまったが、まだ「老人」と呼ばれる年齢ではない。また、歩道を通れば歩行者に疎まれ、車道を走ればクルマやオートバイに邪険にされる「自転車」という乗り物の存在意義がわからないので、まかり間違ってもそれに跨がることはない。その一方、今日日「お年寄り」や「チャリンコ」に注意して運転することなど、シゴク当たり前のハナシである。つまり、タメになる話が何ひとつなかった。

ただ、ちょっとだけおもしろいシーンがあった。

講師のおっさん(推定年齢61歳)が話の途中で急に後方の席に歩み寄ってきたので(なんだ!?どうした!?)と思って見ていたら、
「あなた出て行きなさい!何回言ったらわかるんですか!『すみません』じゃない!スマホをいじるなって言ってるでしょう!」
と、ひとりのコゾーに説教をカマしたのだ。それより前、壇上で全体に向かって「スマホはしまってください」とやんわり注意したにもかかわらず、それを無視してイジり続けていたので、思わずキレてしまったのだろう。

ああいう場所で堂々とスマホをイジる精神年齢の低さには驚くばかりだが、そういうバカは放っておくのが相場だろうから、ちゃんと注意するというのはなかなかの蛮勇だと思う。感心した。おっさんエラい。

 

近くて遠い二俣川

講義が終わると、若者たちはワレ先にと1階フロアにある免許証受取窓口に向かって出て行った。私はできるだけ他人と接触したくないので、いちばん最後の方に講習室を出て、のんびりションベンをした後、ついでに顔も洗った。

廊下に出ると、人っ子一人いなくなっていた。
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ここには何度となく来ているが、人がまったくいない館内を見たのは初めてかもしれない。このガラガラ感を感じるにつけ、やはり免許証更新は平日の午後に来るのがベストだと思う。

1階に下りると、受取窓口の列は10人ほどであった。1分と待たずに受け取った免許証の写真は、やっぱり残念な仕上がりであった。ま、次回もたった3年で更新だから(泣)、ガマンするとしよう。

昨年戸塚に引っ越してきて、以前住んでいた川崎より距離的には全然近くなったはずなのに、公共交通機関を使うと横浜駅を経由しなければならず、それほどの最寄り感は感じられない。せっかく新庁舎に移転するのなら、みなとみらいの空き地にでも作ればいいのに(地価は数倍するだろうが)。ホント、なんであんなヘンピな場所にあるんだろうか・・・なんて、戸塚区民が言えた義理ではないのだが。

 

*1:神奈川県警察交通安全センター=通称『六角橋』」とは、免停を喰らった私のようなアホが、免停期間を短縮してもらうのと引換にマル一日軟禁される施設のことである。

*2:「受講票」とは別の白い紙を持っているから、ひと目でわかる