雪国で暮らす苦労に思いを馳せて
私は雪国に生まれ育った。
雪かたし
実家の不文律=「男は身体が成長したら“雪かたし *1”をすべし」に従って、小学校高学年から“雪かたし”をほぼひとりでやっていた。なぜなら、親父は単身赴任中で、兄貴は部活等で帰宅が遅かったからだ。
実家は金持ちでも何でもなかったが、江戸~農地解放直前まで地主だった名残で、庭だけはやたら広かった。
だから、「門から玄関までの通り道を作る」だけでゆうに2~3時間はかかり、たまに親父が帰ってくる時「クルマが入れるように車庫の前を片付ける」ために、+2時間はかかった。
理不尽
“雪かたし”を担わされるまでは、「雪=遊び道具」であり、大好きだったが、それを担わされて以降は、大嫌いになった。
「なんで、こんなことやんなきゃいけねえんだよ」と。
だってあなた、15~16時に学校から帰ってきて、20~21時まで延々と”肉体労働(当然無賃)”するんだよ?
ロマンチック(笑)
雪は生活に支障を来す、面倒な存在だ。
そして、時には命を落とすこともある、コワイものだ。
だから、不特定多数が目にするメディアで、「雪はキレイ」とか「雪が降るとロマンチックだよね」とかのライトな言葉を見聞きすると、「雪国の人達の苦労も何も知らねえで、お気楽でいいな」と思う。
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この記事みたいに。
綺麗だな~。こういう景色が楽しめるのも雪道ドライブの楽しみの1つ
じゃねえっつの。
この記事を書いた「NAO」って人は、雪国出身らしい。
雪国出身者なら、“物書き”であるなら、そこで暮らす人々の生活に思いを馳せて、一文だけでも、その苦労を文中に表現すべきだと思うのだが。
雪のない冬の有難み
でもちゃんと記事を読んだら、雪中ドライブの様子を詳細にレポートしているし、なにより、冬の「千里浜なぎさドライブウェイ」の状況に関する記述は興味深かった(※能登好きなので)。
こういう人は、雪での苦労が「苦」にならず、楽しみに「昇華」できるんだろう。
私は、そんなふうにはなれなかった。
雪には、もはや「苦」の思い出しかない。
今は関東南部(川崎)に住んで、「雪のない冬」の有難みを噛みしめている。
だからお天道様、どうかこんなの▼は本当に勘弁してください。
(2014/02/08に撮影)
*1:日本のほとんどの地域では「雪かき」と言うが、会津では「雪かたし(=雪を片付ける)」と言い、会津の超豪雪地帯では「雪ほり(=片付けるのはあきらめて玄関周りの雪を”掘って”家に入る)」と言う