風まかせ_佐藤信哉さんの「喜怒哀楽」

風まかせ

「風まかせ」というバイク雑誌がある。

おっさんバイク乗りなら知っている人も多いだろうが、一般的には全く知られていないであろう雑誌である。
相変わらず改善の兆しすらないFujisanReaderにイラつきつつ、今月もiPadで読んでいる。

 

喜怒哀楽

巻頭に「喜怒哀楽」という連載がある。

4人のライターさんが、”喜”・”怒”・”哀”・”楽”にまつわるエピソードをひとつずつ披露する、という連載コラムである。

柏秀樹さんの話は、いつも唸らされる。

中部博さんの話は、時に切なすぎる。

大久保力の話は、「生きた戦後史」だ。

 

佐藤信哉さんのコラム

そんな中で、私が毎号楽しみにしているのは 佐藤信哉さんの話である。
けっこう昔からバイク業界でご活躍されていたらしいが、恥ずかしながら数年前までその存在を知らなかった。

決して”品のいい”文体ではないのだが(失礼)、ある号では笑えるし、ある号では泣ける。
「河原のう○こ」の話(No.45:2014年8月号)は、「キッタねえなあ」と思いつつも、失笑した。
「フーパー(飼い犬)」の話(No.41:2013年12月号)では、同じく愛犬を失った者として、号泣してしまった。

 

今月号(No.49:2015年4月号)の話は、「バイクをイジってると近所の爺さんに話し掛けられて・・・」というお話。

私もバイクを磨いたりしている時に、何度か通りがかりの爺さんに「オレも昔は乗ってたんだけどよ~」みたいな話を延々とされたことがある。バイク乗りなら、結構誰にでもあるんじゃないだろうか。

そんなよくある話を、爺さんとの会話のリアルな再現で”ほろり”とさせつつ、「バイク乗りとして生き続けるために」という話に、キレイにまとめてある。

いつまでも、クソ重たいマシンに乗り続けられるワケじゃない。
老いてなお長く乗り続けるために、マシンと、「バイクに乗る」という行為と、どう向き合えばいいのか。

 

もし、「まだ知らない」「読んだことがない」おっさんバイク乗りの方には、ぜひ読んで欲しいと思う。
今度あなたがバイクに跨がる時、ちょっとした気持ちの変化をもたらすかもしれない。