Huluで「ジャミラ」を見た

「わざわざDVD借りるほどじゃないけど、ずっと見たかった円谷プロ作品の有名ドコロを、Huluで手軽に見られるから見てみた」シリーズ第2弾。

ジャミラごっこ

ガキの頃、Tシャツやトレーナーを脱ぎ着する時に途中で止めて、ジャミラのマネをよくしたものだ。昭和40年代前半生まれなら、誰しも身に覚えがあるだろう。

こういう感じ。

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@nifty:デイリーポータルZ:あなたのジャミラ見せてください!

ジャミラ近影。f:id:ToshUeno:20150402232850p:plain

初代ウルトラマンの放送は私が生まれる前に終了しているし、一般家庭にビデオが普及するずっと前だし、再放送で見た記憶もない。
なのになぜか、みんなジャミラは知っていて、そのマネをしていた。

確かなことは全く覚えていないのだが、「怪獣図鑑」みたいな書籍は当時もあったから、皆それを見て知ったのだろうか。

これは確かに名作である

ウルトラマン第23話「故郷は地球」=ジャミラが登場するエピソード。

ウルトラQ「カネゴンの繭」はずいぶん期待外れだったが、これは映像作品としてスバラシイ。

アップおよび逆光カットの多用。それによって、登場人物の”苦悩”が限られた放送時間の中で効果的に描写されている。

稀代の映像作家・実相寺昭雄さんの苦心の跡が、映像からにじみ出ているようだ。

ジャミラの出身国は?

ジャミラは、行方不明になった宇宙飛行士のナレの果てである(という設定)。その国(劇中で明言はしていない)は、行方不明であることを隠蔽した(という設定)。

”隠蔽”と聞いてまず連想する国は、ソビエト連邦だろう。本作では、「私はカモメ」と言ったとか言わなかったとかで有名なテレシコワの写真がカットインされる。

が、ジャミラが息絶えるときに掴もうとしている旗は、アメリカ国旗であった。f:id:ToshUeno:20150402231523p:plainこれは単に、ビジュアル的にわかりやすいから星条旗にしたのか、それとも、「ジャミラはアメリカに抹殺された」ということを暗に示しているのか。

おっっと・・・つい”深読み”してしまった。いかんいかん。

哀しみのジャミラ

ラストシーンの後、暗転したバックにジャミラの金切り声が哀しく響く。

ネットでの「故郷は地球」の評価を読むと、「自分を見殺しにした当事者だけに復讐すればいいのに」「逆恨みだ」などと、ジャミラを非難する向きもあるようだが、そんな単純な話でもないだろう。

ジャミラは、人類に、人間に絶望していたのだ。
そして、ジャミラのように”実力行使”はしないけれど、絶望の中で耐え忍びながら生きている人々は確かに存在する。

私には、ジャミラの気持ちがよくわかる。