三島由起夫先生の遺作本の値段に驚き、三島事件当時の世相をふり返る(1)

昔テレビっこ、今ただのおっさん

このブログでは「テレビは見なくなった」なんて書きながらも、昭和40~50年代、絵に描いたような「テレビっこ」としてスクスクと育った私であるので、完全にはテレビを捨てきれないのである。

そんな私が録画しているバラエティ番組のひとつが「櫻井有吉アブナイ夜会」である。
先日6月11日放送分は、神保町を職場としている私には非常に楽しめる内容であった。

当代きっての人気作家・又吉直樹氏と慶應文学部出身の二枚目役者・小出恵介氏が、神保町にある数多の古本屋で「せどり」をする、というロケ企画。

まあ私の場合、会社が神保町に移転してから2年以上経つが、未だに古本屋には一度も入ったことはないのだが(笑)。

 

「アカシヤ書店」でアマい夢を見る

つい先日(※放送日の前々日)、このブログで「アカシヤ書店」について書いたばかりだった。

ただ、「店の前を通ると『アカシアの雨がやむとき』を連想する」というだけで、出勤時も退勤時も店は閉まっており、店内に入ったことはおろか、店が開いているところを見たことさえほとんどないのだが。f:id:ToshUeno:20150615185434j:plain
▲今日はひさしぶりに早く帰れたので店構えを撮ってみた(撮ってみただけ)

「櫻井有吉アブナイ夜会」では、「アカシヤ書店」にも「せどり」に訪れるシーンが放送された。この店はメインストリートである靖国通り沿いではなく、1本路地を入った、しかも周囲に古本屋がまったくない一帯にポツンとあるので、「ちゃんと調べてるなあ」と感心した次第である。

そして、「これをキッカケに、何かの間違いでオレのブログもアクセス数増えるかなあ」なんて妄想してみたが、現実はそんなにアマくはなく、まったく何の変化も起きないのであった(笑)。

 

三島先生の遺作の値段に驚く

三島由紀夫先生の遺作と言えば「豊饒の海・四部作」であるが、「櫻井有吉アブナイ夜会」でのロケによると、その値段がなんと45万円!!

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まじか! アワテて、おふくろさんの遺品を押入(家が狭いので本棚なんて気の利いたモノはないもんでよ)から取り出し、初版かどうか確認してみた。

ジャジャーンf:id:ToshUeno:20150615213805j:plain

この本も、昨日”二次利用”した「アサヒグラフ:1960年6月緊急増刊」同様、まったく管理する人がいなくなった実家から”救済”してきた、おふくろさんの遺品である。

おふろさんの”遺品”は・・・

・・・残念ながら、初版でないどころか、「三十刷」目だった・・・。f:id:ToshUeno:20150615231706j:plain

がっかり。

Wikipediaによると、「豊饒の海」四部作の発行日はそれぞれ以下のとおり。

  1. 1969年1月5日:春の雪
  2. 1969年2月25日:奔馬
  3. 1970年7月10日:暁の寺
  4. 1971年2月25日:天人五衰

上の写真のとおり、第一巻「春の雪」は「昭和46年2月」の版であり、第四巻の「天人五衰」は初版本だったので、おそらく三島先生が前年の11月25日に自死した後、まとめて予約購入したものだろう。おふくろさんも、ただのニワカ三島ファンだったってことか(笑)。

でも当時、そういう人は多かったのだ。
それほど、「昭和45年11月25日」という一日は、当時の日本人に衝撃を与えたのである。

(つづく)