「スズキ歴史館」に行ってきた:お勉強篇(2)
生産ゾーン
開発ゾーンが終わってフロアの反対側に行くと、生産ゾーンに入る。
ここスズキ歴史館は「自動車が企画されてから実車が完成するまで」を、狭い博物館内で見事に再現しているのだ。出典:https://www.suzuki-rekishikan.jp/facility/
ロボットラボ(産業用ロボット)
生産ゾーンの最初に登場。”主役級”を先頭に持ってくる演出がココロ憎い。
そしてなんと! ボタンを3つ押すだけでロボットが動き出す!
- 「ドアを取る」ボタン
- 「ドアを置く」ボタン
- 「スタート」ボタン
たったこれだけ!「これでツカミはオッケー、子供たちのハートをガッチリワシづかみ!」ってなところだろうか。
ただ、ロボットの動きが速すぎ+ドアを左から右に動かすだけで「あっ」という間に終わっちゃうので、3回ぐらいやらないと(笑) この展示物の”楽しさ”が伝わってこない。
「実際の工場ではこのスピードなんですよ」ってな感じでリアリティを追求した結果なんだろうが、もう少しスピードを落とした方が見学者には伝わりやすいのでは?
・・・賛否両論はあるだろうが、少なくとも私はそう思った。
ジミヘン(地味篇)
産業用ロボットで子供たちのハートをワシづかみした直後に、このような地味な工程を持ってくる辺りが、さすがはスズキである。
鋳造
最初にこのデカいパネルを見たときは驚いた。「こんなものまで展示するんだ・・・」と。
「金型」とか、
「インゴット」とか、「砂型(中子)」とか・・・そして、「鋳造直後」のパーツと、さらに「機械加工後」のパーツが並べてある。すばらしい。ただ、「どうせ誰も見ねえだろ」と言わんばかりにフロアの一番奥のわかりにくい場所に展示されていたのは残念である。私が見ていたときにこの場所に来た若い男女の4人組は、まるで気にも留めずにスルーしていった。
鍛造・機械加工
前段で「私は地味な工程もちゃんと注目してますよ」的なことを書きつつ、「鍛造」および「機械加工」のコーナーはスーツ姿の先客(※後述)がいたので、彼等が写らないように写真だけ撮って後回しにしたら、そのまま忘れてスルーしてしまった。エラそーなこと書いといて、ただの「なんちゃって機械好き」だった(恥)。
あー、いま写真見てて、ドライブプレートとかもっとちゃんと見ときゃ良かったなー・・・オレのバカ。
樹脂成形
ここでも、置いてあるのはやっぱり四輪のパーツのみ。
M109Rのプラスチッキーなフロントフェンダーでも置いてくれりゃあいいのに。二輪に冷てえなあ、スズキは・・・
スズキ歴史館一口メモ④
”模擬”工場篇
ここからは「実物大で再現した組立ラインのモデル展示*1」の紹介。見学できる自動車工場は数あれど、「一般客が自由に写真撮影できる自動車工場(的なもの)」はおそらく日本ではココだけだろう。
エンジン組付け
エンジンを車台に組み付ける様子が再現されている。ま、ただ「エンジンを置いている台が前方に動きながら上に上がる」ってだけなんだけど。ヨコに置いてある人間の形をした黒い物体は、当然ピクリとも動かない。この物体が多少でも動けば、より”リアル感”が出るのだが。
シート取付け
「従来はリフトで持ち上げて車体の上方を移動させていたシートを、車体と車体の間をタイミングを見計らって移動させることで効率化・省力化をはかった」というもの。
スズキのクルマにどれだけレカロのシートが採用されているのかは疑問だが、まあその辺はご愛嬌ということで。
問題は、この装置が「ガコンッ!」とけっこうな爆音を発すること。反対側の開発ゾーンにいると「なんだなんだ?」とけっこうビビる。
ドアの取付
これは特に”動き”がなかった。映像による説明のみ。以上。
こんな感じで、実際動くのは「エンジン組付け」と「シート取付け(というか移動)」だけなのだが、博物館内に工場のラインを再現しようという”心意気”だけでも、私はスゴいと思う。さすが、スズキ。
スズキ歴史館一口メモ⑤
「世界へ」と「遠州」コーナー
2Fフロアの半分は広大なスペースをムダに使って(笑)・・・
世界(主にインド)の工場とか、
生産拠点がある各国のカルチャーとか、
浜松市を中心とした遠州地方の歴史やカルチャーを紹介している。正直、興味が惹かれる内容ではなかったので、以下で簡単に紹介。
遠州カルチャージオラマ
唯一おもしろかったのはこれらのジオラマ。
▼超巨大ウナギ(笑)。こええよ。他に「巨大みかん」もあったのだが、写真がピンボケだったので掲載は自粛。
▼浜松まつり。
同じく▼浜松まつり。こっちは原寸大。ここでも人間の形をした黒い物体が登場。
別にスズキがジェット機を作っているわけじゃなくて、「航空自衛隊発祥の地」という「だからなに?」なアピール展示。フライトシミュレーターがあったが、先客がいたのでスルーした。「早く会社に戻って仕事しなよ」とか思ったが・・・
未来のスズキの社員様へ
彼等は面接に来ていたのだった。「ウチに来るなら会社のことをよく勉強してってね」って意味でこんなところに面談室を置いているのだろう。
どうりで、「平日なのにスーツ姿の若者がたくさんいるなあ」と思ったわけだ。
そして、この2Fフロア半分の展示がスカスカ(かつ地元の人間以外は興味がなさそうな遠州カルチャー等の展示)なのは、面接するのに見物客が周りにたくさんいたらジャマだからだろうか。
いずれにしても、スズキ株式会社に入社される若い皆さんには、二輪事業がなくならないように、どうか足元を支えて欲しい。そして、M109Rのようなすばらしいマシンを、いつか開発して欲しいものである。
(つづく)