オートバイに乗り続けるために(3)

高田純次先生曰く

バカだから自分でも忘れてしまうのでもう一度書いておくが、この記事の主旨は「『これまでオートバイとどのようにつき合ってきたのか』ふり返り、『今後どうつき合っていくか』を考える」ということである。ただ昔をふり返るだけでは意味がない。

私の尊敬する稀代のコメディアン(ご本人は「マジシャンにしといてくれ」と言ってたが(笑))高田純次先生が、昨日放送された「情熱大陸」で

 

トシをとってやっちゃいけないことは、「説教」と「昔話」と「自慢話」。だいたい年寄りはこの3つなんです。

毎日放送「情熱大陸」 2015年7月5日放送分

とおっしゃっていた。

長年生きてきてただひとつの教訓も得ておらず、自慢することも何ひとつない私なので、「説教」や「自慢話」をする心配はないのだが、「昔話」だけは油断するとついしてしまう。

というわけで、以下、「ただの昔話」にならないように注意しながら書いてみよう(ま、そもそもカテゴリを「昔話」としてるんだけど(笑))。

 

再びオートバイが無かった頃 (2007年12月~2010年5月)

この期間は、当時勤めていた会社がツブれかけたのでソッコー逃げ出してプータローになったり(2008年8~10月)、おふくろさんが亡くなったり(2009年12月)、そもそも転職して新しい職場や仕事に慣れる必要もあったりと、ほとんどはオートバイどころではなかった。クルマ(スカイラインクーペ)を買ったばかりで、それで満足していたということもある。

私は2ケツはしない主義なので、「かみさんと乗れないオートバイはいらない、クルマがあればいい」なんて思ってたが、結局、この約2年半の間にふたりでクルマで遠出したのは2回だけだった(笑)。

 

おっさん、2度目のリターンライダーになる (2010年5月)

オートバイがあろうとなかろうと、「かみさんと二人で遠出することはめったにない」ことに気づき、さらに2010年に入った頃だったか、会社の同僚(ひとまわり以上年下)が二輪の免許を取ってオートバイの話ばかりするので、感化されてまた乗りたくなってきた。

「オートバイに」というより、「M109Rに」。

そう思い始めるといてもたってもいられず、わりと近所のレッドバロン川崎幸店に在庫を探しに行った。

「2008年式」「走行距離=10,000kmちょっと」という程度の良いヤツがあり、実車を見た後、後先考えずにその場で即契約してしまった。もちろん、フルローンで(笑)。いや、10万ぐらいは払ったかな? ま、アホであることにあまり変わりはない。

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こうして、2010年5月下旬、百数十万円の借金上乗せとともに、晴れて2度目のM109Rオーナーとなった。

 

2010年のツーリング

2010年も、「ロングツーリング」と呼べるほどの遠出はしていない。せいぜい伊豆半島一周とか、房総半島2/3周とか(房総半島はデカいので1日では一周できない)。「磐梯吾妻スカイライン」「志賀草津高原ルート」などの、”ツーリングの定番”道路にも行ってみた。

既に伊豆半島一周ぐらいなら「遠い」って感覚はなくなって、「楽勝で日帰り」って感覚になった。まあこの年は、今みたいに月イチとかじゃなくて、ほぼ毎週乗っており、「M109Rに乗れることが楽しくて仕方なかった」、ある意味一番幸せだった頃だったかも知れない。

ひとつよく覚えているのは、テキトーに群馬に行ってテキトーな道に入ったら「カッパピア(高崎フェアリーランド)」っていう群馬県民には有名らしい遊園地の廃墟があって、その風景がすごくおもしろかったこと(※廃墟好きなので)。

この写真▼の左側にその風景が広がっていた(いい写真がなかったのでM109Rでお茶を濁す)。f:id:ToshUeno:20100627134253j:plain

そしてさらにテキトーに走ったら富岡市に向かっていて、「富岡と言えば『富岡製糸場』じゃんね」なんて独りごちながら現地にたどり着いたら、当時はまだ「富岡製糸場を世界遺産に!」なんて垂れ幕が町中に掛かってた(良かったね、めでたく世界遺産に登録されて)。

まあ何を言いたいかというと、「何も計画せずにテキトーに走っても楽しいことがある(こともある)のがツーリング」ってことに気づいた、最初の経験だったのである。

まだツーリング初心者だったので、この年は会社の同僚ふたりと、2回ツーリングに行った。
f:id:ToshUeno:20100808131224j:plainでも2回目で既に「ああ、やっぱりオレは誰かといっしょに走るのは無理だわ」と悟り、それ以来、複数でツーリングに行ったことは一度も無い(笑)。

 

2011年のツーリング

この年は「311」があったので、春先は全く乗っていない。震災直後はそもそもガソリンが買えなかったし、多少供給が落ち着いてからも、「東北の方じゃ大変だってのに、貴重なガソリン使ってノンキにツーリングってのもなあ・・・」って思いもあったし。

5月下旬に入ってからかな、ツーリングを再開したのは。

実家(会津)に墓参りに行った後、「新潟を日本海沿岸まで抜けて海沿いをしばらく流してから帰る」っていう墓参りの定番コースを開拓(大げさ)したのもこの頃。f:id:ToshUeno:20110717140009j:plain
もう「日帰りで800km」ぐらいなら全然苦にならなくなっていた。

この年はとにかく伊豆に行きまくった(ほとんどが「伊豆半島海沿い一周」コース)。「311」前の2月から、7~9月のハイシーズン、秋、クリスマスイブ、大晦日まで、写真を確認したら10回以上行っていた(笑)。

ただ海沿いの国道/県道を走るのではなく、脇道に逸れるといろいろな発見がある、ということに気づいたのだ。寂れた漁村、小さな入り江、不気味なトンネル、猿山(これは立派な観光地だけど)、などなど・・・

この写真▼はこの年のクリスマスイブ、長井崎にて。自分では好きな写真のひとつ。f:id:ToshUeno:20111224164123j:plain

 

2010~2011年まとめ

2度目のリターン後の約1年半は、M109Rに乗ることがただうれしくて、頻繁にそのシートに跨がっていた。結果として、そのハイパワーに自分のカラダが馴染んできている感覚が増した時期でもあった。

この頃の新鮮なキモチ(照)はもう取り戻せないけれど、もしオートバイを降りたくなる時が来たら、この頃行った道の数々を、もう一度走ってみるのもいいかもしれない。

自分では忘れてしまった何かが、その道の向こうに見えるかも知れないからだ。

(つづく)

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