ツーリング:磐梯吾妻レークライン
「空」と「湖」
磐梯吾妻スカイラインの項は書き終えたが、 今回は、同じ日(2015年11月6日)に行った「磐梯吾妻レークライン」の話。
今はどちらもタダで通れて、その境界もいまいち判然とはしないが、つい数年前までは、それぞれ「別料金」の有料道路だったのである。
現代を代表するツーリング雑誌「BikeJIN」2015年11月号では、この磐梯吾妻レークラインは
このルートはタイトなカーブはほとんどなく、ビギナーでも走りやすいのが特徴。
- BikeJIN 2015年11月号 「走れ!! ニッポンの秋」
と紹介されている。
確かに、磐梯吾妻スカイラインを通った後にこっちを通ると、ほとんど「一本道」であるように感じる・・・ま、一本道は言い過ぎだが。
いずれにしてもこの道路は、海沿いならぬ「湖沿い」につづく木々達の、四季折々の表情を愛でながら、ゆっくりと“流す”ためにある。
カーブが少ないからと言って、決してスッ飛ばしてはいけないのである。
そして、木々の切れ間に時おり顔を覗かせる湖のほとりで、エンジンを止めるといい。
湖畔の静かな景色が、「のんびり行こうよ」と語りかけてくるだろう。
秋元湖
ここ秋元湖は、磐梯吾妻レークライン最大のハイライトである。
どうしても静かな湖畔に目が行ってしまうが、空を見上げてみるのもいい。
都会では決して見ることのできない空の色と雲の形が、すっかり忘れていた「郷愁」を思い出させてくれるはずだ。
そして、自分のマシンを被写体にすることも忘れずに。
え? あ、M109Rはもういいですか、これは失礼しました。
かろうじて紅葉
磐梯吾妻スカイラインにはほとんどなかった色づいた葉を、ここレークラインではギリギリ観ることができた。
やはり、いくらか標高が低いからだろうか。
あとひと月もすれば、この道も一面の白で覆われるのだろう。それはそれで風情はあるだろうが、この国有数の豪雪地帯で育ち、雪にはさんざん苦労させられた記憶しかない私は、雪があるところには行きたくはない。
中津川渓谷で愛を語るふたり
だだっ広い駐車場にクルマがたった1台、その傍らで若い男女が愛を語り合っていた。
私の姿を見て、そそくさとクルマ(※現地ではヴィッツかと思ってたが写真をよく見たらiQだった。なかなかツウだねえ)の中に入っていったので、誰もいない大自然の中で、あんなこととかこんなこととかしようとしていたところだったのだろう。ジャマしてすみません。どうしても小便がしたかったもので。
客が皆無だからか、レストハウスも閉店ガラガラ状態。建物脇にプリウスが1台駐まっていたが、ヒトケはまったくなかった。
ちなみに、ここから少し走った地点でも、湖と、それを取り囲む山々のすばらしい景色を望むことができた。
よみがえるパラダイス
午後4時50分。もうすでに陽が落ちようとする。秋の夜は早い。
この展望ポイントには、おかしな名前が付いていた。
「三湖パラダイス」( ̄ー ̄)
なんだよ“パラダイス”って(笑)
そう言えば、ここからほど近い磐梯熱海温泉に、昔「磐光パラダイス」っていう一大レジャー施設があって、
磐光パラダイスは、キャバレー・温水プール・映画館・こどもの楽園などを一体化した、地方としては当時珍しかった大型レジャー施設と、ヌーディストクラブをはじめとした特異なショーを売り物とし週刊誌などで話題となり、テレビCMも頻繁に放送された。
ガキの頃、地元(会津坂下町)の子供会とかで頻繁に訪れていたことを、数十年ぶりに思い出した。昔日のその施設は、まさに「パラダイス」の名にふさわしい、会津という、冬は雪で閉ざされる僻地に開かれた、まさに「楽園」であった・・・
・・・ま、どんな施設だったか、あんまり覚えてないんだけど(笑)
案内板には、
なんてシレっと書いてあったが、きっと、今は亡き「磐光パラダイス」の元関係者が、この地に“パラダイス”を残そうと、関係各方面に手を回して無理矢理な名前を付けさせたのだろう(※何の根拠もない筆者の妄想です)。
そんなパラダイスにも、夜のとばりが降りようとしていた。
肌寒いノベンバー
磐梯吾妻レークラインの「終点」で、すっかり陽が落ちきった。
本当は、猪苗代湖まで脚を伸ばそうと思っていた。
(▲撮影:2010年10月8日)
5年前に来た時、レークラインの“シメ”として訪れた猪苗代湖の風景が忘れられなかったからだ。そのとき、ガキの頃に何度も訪れた会津人の「ソウル・スポット」である猪苗代湖が、強烈なノスタルジアとして残った。
が、真っ暗闇の湖を見たところで、ノスタルジアもクソもない。
というわけで、今回のツーリングの“メインイベント”はこれでおしまい。まず猪苗代磐梯高原ICを目指し、あとはひたすら、磐越道と東北道と首都高を通って、帰宅するのみである。高速道路の、その「退屈さ」だけが心配だったのだが・・・
ものすごく寒かった。まだ11月なのに。
那須高原SA手前にあった気温表示が、11℃。これがこの日に見た一番低い気温だったが(イマドキのマシンみたいに気温表示機能なんてないもんでよ)、歳をとってカラダの「体温保持機能」が衰えているのか、異常に寒く感じた。
よもや必要ないであろうと思っていたが念のため持参してきた、RSタイチの「防風インナージャケット」を着込み、それでも寒いので、長年愛用しているユニクロの「マイクロダウン(現ウルトラライトダウン)」をさらに着込んで、なんとか凌いだ。
手も冷たくなったので、RSタイチの「ウインドストッパーインナーグローブ」を装着。このペラペラなテブクロは、真冬はクソの役にも立たないが、10℃前後の気温ならじゅうぶん暖かく感じて、購入してから初めて役に立った。
2015年11月6日・磐梯吾妻ツーリングのまとめ
関東地方はずっとド晴天だったのに、福島に入った辺りから雲が増えてきて、「まぁた天気ワリいのかよ」と落胆したが、磐梯吾妻スカイラインでは、雲の隙間からときどき差し込む陽の光が、荒涼とした山の表情をかえって豊かにしてくれた。
浄土平を過ぎてからは雲も少なくなって、とても美しい景色の数々を、柔らかな秋の陽射しが照らしてくれた。
朝9時45分に出かけて、夜9時45分頃に帰宅。ちょうど12時間ほどのツーリング。例によって、トイレ/給油以外の休憩は、浄土平の観光施設と、行き1箇所・帰り2箇所のSA/PAで、それぞれレッドブル/コーヒー/ミルクセーキを飲んだだけ。
磐梯吾妻スカイライン~磐梯吾妻レークラインを走った時間はわずか3時間程で、残り9時間はただの「修行」でしかない退屈な高速道路だったが、これが私の「日帰りツーリング」なのだ。行程はどうあれ、とにかく美しい景色の数々を目にすることができて、本当に良かった。
でも、たかが10℃ぐらいであんなに寒く感じるんじゃ、また出かけるのが億劫になってしまうなあ・・・
- 走行距離=703.0km
- 平均燃費=18.6km/L
▼福島県内の走行ルートがイビツなハート型になっている点に注目。