ジャーナリスト竹田圭吾氏の賞賛記事に対するコメントが秀逸という話
竹田圭吾氏を賞賛する記事
一昨日(2015/12/20)も「Mr.サンデー」に出演されていて、昔と変わらぬ滑舌の良い元気そうな話し振りとは対照的な、痛々しいほどに痩せ細った姿を見せていた竹田圭吾氏。
昨日の話を書くにあたっていろいろニュースを検索していて、たまたま、ある記事▼を見つけた。
記事では、2015年9月27日放送の「Mr.サンデー」で自らがん患者であることを告白した竹田氏に対して、こう評している。
今回の「Mr.サンデー」でのカミングアウトは勇気のある決断であり、がん患者ならではの説得力のある訴えだった、と視聴者に受け止められている。
- ジャーナリスト竹田圭吾、がんとカツラを告白 ネットで「なんてかっこいい人だろう」「負けないで欲しい!」: J-CASTニュース
「がん患者ならではの説得力のある訴えだった」はまあわかるが、「カミングアウトは勇気のある決断」というのはよくわからない。
あれだけ痩せ細っているのだから、がん(またはそれに類する病気)を患っているのは普通の大人なら見てわかるだろう。
また、あの姿でテレビに出演するのだから、視聴者に何らかの説明するのは「責務」とまでは言わないが至極当然のことだと思うし、少なくとも賞賛するようなことではないと思う。
そして、J-CASTニュースの記事では、視聴者が賞賛している根拠として、掲示板やツイッターのコメントを引用している。
「竹田圭吾さんガンでカツラとカミングアウト、強い人だな」
「勇気あるピュアな男なんだと見直した」
「〔前略〕これまでも思ってたけど、なんてかっこいい人なんだろう」- ジャーナリスト竹田圭吾、がんとカツラを告白 ネットで「なんてかっこいい人だろう」「負けないで欲しい!」: J-CASTニュース
(「ピュアな男」ってなんだよ(笑) 「ピュア」の意味わかってんのか?)
(ああいう姿をテレビで晒すのが“カッコいい”っていう感覚はわからんなあ)
なんて思いながら何気なくコメント欄に目を通したら、一番最後に、実に秀逸なコメントが載っていた。
「なるほど、オレの違和感はこういうことだったのか!」とあまりに合点がいったので、全文を引用する。
「声なき声」を代表する秀逸なコメント
なんだかなぁ 2015/12/ 9 11:54
6人に1人は一生に1度何かしらのガンを発症する世の中だそうで、ガンを患っておられる方は意外と多くおられる訳ですが、メディアに縁の無い大半の方々は、人知れずガンと戦っております。
僕も科学療法を開始すると3週間前後でみすぼらしく脱毛しましたが、ガン治療は保険診療でも10万・20万とか高額で、鬘なんか作りませんでした。免疫療法とかやってる著名人もおられますが、お金が無ければ手が出せませんし、うらやましい。
それでいて称賛とかかっこいいとか、なんだかなぁって感じ。
抗癌剤って投与重ねると手足の痺れがずっと続くし、頭痛や吐き気、倦怠感も激しいから、竹田さんも早く快方に向かって欲しいと、心からお祈り致します。
- ジャーナリスト竹田圭吾、がんとカツラを告白 ネットで「なんてかっこいい人だろう」「負けないで欲しい!」: J-CASTニュース : コメント欄
このコメントを書いた人も「ちょっと言い過ぎたかな」と思ったのか、最後は“無難な”形でまとめているが、できればもっと本音を書いて欲しかった。
つまりこの人が言いたいのは、
- がんを始めとした難病と“闘病”することは特別なことではない
- 一般庶民は治療費を支払うだけでも大変なのだ
- 有名人というだけで闘病が賞賛されるのは、おかしな話である
ということなのだ。
誤解の無いよう念のため書いておくが、別に竹田氏を批判したいのではない。
ツイッターや掲示板に何を書くのも自由だ。
ただ、「がんと闘っている無名の庶民なんていくらでもいる」ということに気を配らずに、「有名人が闘病してる」ってだけで必要以上にチヤホヤするのは、「思慮が浅い」というか、「視野が狭い」というか・・・。
要は、「“的外れ”な賞賛記事によって、心を痛める人もいる」ということを忘れてはいけないのである。