次期「スカイライン クーペ(仮)」をチェックする



 

次期「INFINITI Q60」あらわる

「いよいよ」と言うべきか、「とうとう」と言うべきか。

先日開催された「デトロイト・モーターショー - NAIAS (North American International Auto Show) / DETROIT」で、次期「INFINITI Q60」がワールド・プレミアされた。既に「Infiniti USA」のサイトでは、THE ALL-NEW 2017 INFINITI Q60と題してトップに表示され、その登場が堂々と喧伝されている。

www.infinitiusa.com

「まだか、まだか」と待ち焦がれてもいたし、その一方で、「どうかまだ出ないで欲しい」という思いもあった。なぜなら、新型が出てしまうと、当然のことながら自分の所有するスカイライン クーペ (CKV36)が旧型になってしまうからだ。

クルマやオートバイのオーナーなら、このキモチはわかってもらえるのではないだろうか。「新型が出たらすぐに買い換えるから別にいいよ」そんな経済的余裕がある人なら、何の問題ないだろうが・・・。

 

次期「INFINITI Q60」のデザインをチェックする

まずは個人的な主観に基づき、現行「スカイライン クーペ」と比較しながら、次期「INFINITI Q60」のデザインを見ていく。

なお、現行「スカイライン クーペ」の画像は拙者ならぬ拙を撮影したもので、次期「INFINITI Q60」の画像はいずれも「Infiniti Online Newsroom」のQ60特集ページから拝借した。

infinitinews.com

フロントクォーター・ビュー

現行「スカイライン クーペ」
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次期「INFINITI Q60」
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現行型と比べると、フロント前方部がやや肉厚になったというか、押し出しが強くなった印象を受ける。

フロント・ビュー

現行「スカイライン クーペ」
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次期「INFINITI Q60」
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現行型のバンパー部周辺の、凹凸の少ないツルンとした感じが好きだったのだが、次期型はかなり抑揚がついて、より表情豊かになっている。

ヘッドライトは、現行「スカイライン(セダン)INFINITI Q50」よりさらに目付きが悪くなり、イマドキ流行りのお作法に則って、ライト周りを囲むようにポジションランプとしてのLEDが配される。

そしてフロントグリルがインフィニティ・フォルムになり、これもまたイマドキの流行りなのだろうが、サイズがかなり拡大された。次期型の3リッターはツインターボなので、その吸気系のための拡大ならやむを得ないが、トヨタ的な思想に基づく拡大なら日産よ、おまえもかであり、とても嘆かわしい。

サイド・ビュー

現行「スカイライン クーペ」
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フロントが左側を向いた (つまり左サイドの) 写真は、なぜか1枚もなかった。

 次期「INFINITI Q60」
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全体的なフォルムは、新旧ともにクーペの「王道」を行くものなので大きな違いはないが、ショルダー部分にクッキリと刻まれたキャラクターラインや、Cピラーにメッキ付きで描かれるインフィニティ・ラインが新型の特徴である。また、フロントフェンダー後方にスリット・ダクトが設けられ、そこもメッキで加飾されている。

メッキと言えば、インフィニティ・ラインだけでなくウィンドウグラフィック全体がメッキで描かれているのも現行型との大きな違いかと思うが、なんでもかんでもメッキで加飾するのは、個人的にはあまり好きではない。

リアクォーター・ビュー

現行「スカイライン クーペ」
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次期「INFINITI Q60」
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マフラーエンド横に蛇腹状のパーツが見えるが、どうやらここもダクトになっているっぽい。また、その上にあるのはリアフォグだろうか、それともただのリフレクターだろうか。

いずれにしても、現行型の素っ気ないデザインに比べると、リアバンパー周辺の意匠がかなり凝っているのがわかる。

リア・ビュー

現行「スカイライン クーペ」
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次期「INFINITI Q60」
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上では 「素っ気ない」と書いたが、フロントフェンダーと同様、リアフェンダーのツルンかつストンという感じが、やはり私は好きなのである。

逆に現行型テールランプカバーの大仰なカタチは、デザイン上で唯一キライな部分だったが、イマドキ流行りの薄いデザインに改められた。ちなみにこのテールランプカバーのデザインは、彼我の国では2009年に発売された *1INFINITI Q60 Convertible」では、タテに若干小さい控え目なカタチに改められている。

www.infinitiusa.com

そして、もはや日産には「◎テール」へのコダワリはないようだ。そう、既に2世代も前から、このクルマの出自は「スカイライン」ではないのだから。

 

次期「INFINITI Q60」のスペックをチェックする

「3リッター・ツインターボ」のスペック

どうやら3リッター・ツインターボには、「ノーマル・バージョン」と「ハイパフォーマンス・バージョン」の2つが用意されるらしい。

こちら▼が、ノーマル・バージョン。

ボディサイズ 全長 4,683 × 全幅 1,850 × 全高1,385 mm
ホイールベース 2,850 mm
エンジン 2,997 cc V型6気筒 直噴DOHCツインターボ
最高出力 224 kW(304 ps)/ 6,400 rpm
最大トルク 400 Nm/ 1,600-5,200 rpm
トランスミッション 7段AT

そしてこちら▼が、ハイパフォーマンス・バージョン。

ボディサイズ 全長 4,683 × 全幅 1,850 × 全高1,385 mm
ホイールベース 2,850 mm
エンジン 2,997 cc V型6気筒 直噴DOHCツインターボ
最高出力 298 kW(405 ps)/ 6,400 rpm
最大トルク 475 Nm/ 1,600-5,200 rpm
トランスミッション 7段AT

特例である「GT-R」を除けば、ハイパフォーマンス・バージョンは日本車としてはややオーバースペックな感があるので、仮に次期「スカイラインクーペ」が日本に導入されるとしても、ハイパフォーマンス・バージョンの方は見送られるだろう。

「2リッター・ターボ」のスペック

3リッターに比べると、4気筒・2リッターの方はだいぶ大人しめなスペックである。

ボディサイズ 全長 4,683 × 全幅 1,850 × 全高1,385 mm
ホイールベース 2,850 mm
エンジン 1,991 cc 直列4気筒 直噴DOHCターボ
最高出力 155 kW(211 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク 350 Nm/ 1,500 rpm
トランスミッション 7段AT

ただ、全然フツーな最高出力(馬力)はともかく、「350Nm=35.69kgf・m」という最大トルクは、天下のイタリアンスポーツカー「アルファロメオ 4C」とまったく同じ数値である。ま、アルファの方は「1.7リッター(1,742cc)」だけど。しかもアルファは「241ps」だけど。

このエンジンは現行の「スカイライン 200GT-t」に積まれているダイムラー製のものだと思うが、スペックではアルファのエンジンに見劣りする。

やはり、「ランエボ」を捨て去った三菱自動車の技術供与が必要かもしれない。

トランスミッションについて

トランスミッションは、現在発表されている限りでは「7段AT」のみが用意されるようだ。

このクラスのATは今や8段以上が当たり前、ホンダに至っては10段(!)のATを開発中なので、

business.nikkeibp.co.jp

「7段」というのはいささか寂しい気もするが、個人的にはオートマ車にはまったく興味がないので、別に何段でもいい。それよりも「やはりもうマニュアル車は出ないのか」という落胆の方が大きい。

私は「左脚が動く限りは、3ペダルのMTに乗り続けたい」と思っている者なので、「ATしか用意されていない」のであれば、もし日産ディーラーの営業さんに勧められたときに断る口実にはなる(資金もロクにないくせに「マニュアルが出るなら絶対に買います」と大見得を切っているので)。

・・・まあいずれにしても、「『次期INFINITI Q60≒同スカイライン クーペ』が、日本で発売されれば」の話ではある。

 

次期「スカイライン クーペ」はそもそも発売されるのか?

「“次期”スカイライン クーペ」とは言うけれど

各種自動車関連サイトには、「次期INFINITI Q60」のことを「次期スカイライン クーペとして登場予定の」なんて枕詞付きで紹介しているところが散見されるが、

response.jp

gqjapan.jp

これらの記事は、日産にを取った上で書かれているのだろうか。それとも、「『INFINITI Q60』の新型が出れば、それは『スカイライン クーペ』として国内販売されるのが既定路線である」という根拠のない予測に基づいて書かれているのだろうか。

おそらく、後者だろう。2016年1月26日時点では、日産から何のアナウンスもないばかりか、「日本には導入されない」というウワサも根強くあるからだ。

 

次期「スカイライン クーペ」が望み薄な理由

ウワサにただ翻弄されているワケではなく、次期「INFINITI Q60」の諸元を見て改めて、次期「スカイライン クーペが登場する=INFINITI Q60が日本に導入される」可能性は低いと思わざるを得ない。以下にその理由を述べる。 

ブランド力の無さ

現行「スカイライン(セダン)INFINITI Q50」も、発売から既に2年近くが経過し、路上でそれなりに見かけるようになってきた。

私個人の感覚では、トヨタ「クラウン」の「見かける頻度」には足元にも及ばないものの、メルセデスベンツ「Cクラス」には・・・いや、Cクラスの方が確実に多く見かける。クルマに500万円以上出すなら、ほとんどの日本人は「メルセデス」を選ぶ。しょせん「INFINITIブランド」なんて、この国ではセダンでさえその程度なのだ。

ましてや、クーペである。「実用性を犠牲にした贅沢なクルマ」つまり、よりブランド力が重視されるジャンルなのである。

予想される高価格

「スカイライン(セダン)」でさえ、500万円台のプライスタグが付けられているので、

www2.nissan.co.jp

もしクーペが日本で発売されれば、軽く600万円・・・いや、「3リッター・ツインターボ」である点や、「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング(DAS)」等の各種先進装備が奢られることを考えると、700万円も超えてくるかもしれない。

そうなると、この国のコガネ持ち達には、ますます見向きもされないだろう。日産のクルマに700万円を出すなら、ドイツ御三家やポルシェ(の廉価車種)に目が向いてしまうのが、われわれ日本人である。

そして、日産はどういう答えを出すのか

そんな「自社の立ち位置」や「日本人の思考」など、日産のセールス部門は百も承知だろう。だからこの国では、危険を冒してまでINFINITIブランドを起ち上げようとはしないのである。

儲けを度外視して、ブランドの“イメージリーダーとして、次期「スカイライン クーペ」を発売するのか。
そんな無駄金は遣わずに、あくまでメインターゲットである北米にリソースを集中させるのか。

私の予想は後者だ。

新しい日産のクーペをこの目で見られないのは非常に残念だが、冒頭に書いたとおり、自分の所有する現行「スカイライン クーペ」が永遠に旧型にならないのであれば、それはそれでいいことかもしれない。

はたして、現行クーペが「最後のスカイライン クーペ」になってしまうのか。
その答えは、年内にも日産が出してくれるだろう。

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*1:クーペ以上に販売台数が見込めそうにない日本では、当然未発売である