紀元節・宮ヶ瀬ダムツーリング
もう2日も前のことになってしまったが、紀元節の祝祭日 (2016年2月11日) に宮ヶ瀬ダムに行ってきた。
この記事の主旨とは外れるが、あえて「紀元節」と書く理由に少しだけ触れておきたい。「紀元節」という古式ゆかしい名称を「建国記念“の”日」などという曖昧模糊な名称に置き換えてしまった史実には、この国の欺瞞が溢れている。
十把一絡げに戦前の日本文化を否定してしまった愚挙の象徴として、個人的に「建国記念の日」という名称を頑なに否定するものである。閑話休題。
ちなみに、「紀元節」と「宮ヶ瀬ダム」はまったく関係ない。
「寒いから遠くまで行きたくなかっただけ」の話。
- 宮ヶ瀬湖
- ダムが見たい
- あいかわ公園
- WELCOME 宮ヶ瀬ダム
- 宮ヶ瀬ダム近景
- おっさんがひとり、「インクライン」に乗る
- 宮ヶ瀬ダムの上にのぼって
- おっさんがひとり、「愛ちゃん号」に乗る
- 放流は冬期間はお休み
宮ヶ瀬湖
宮ヶ瀬湖は、神奈川県北西部に広がる丹沢山地にある人口湖 (ダム湖) である。
・・・ということを、神奈川県に住み始めてもう16年近く経つのに初めて知った(恥)。
もっとキレイに湖を見渡せるポイントはあったのだが、そこは神奈川県の一大観光スポット。結構な交通量があったので、オートバイとは言え、路肩に停めるのは憚られた。
ここは、「虹の大橋」を渡りきった先 *1 にある駐車スペース。
厚木方面から行くとここから先に観光施設があるので、このスペースに停めるクルマはほとんどなかった。みなさん、ちゃんと下調べして来ているのだろう。
私はいつもどおり行き当たりばったりで来たので、この場所がどの辺かもよくわかっていないのであった。
ダムが見たい
道なりに先に進むと、田舎には似つかわしくないほどにヒトで賑わっている一帯があった。「ヒトが多いところはスルーする」のは私のツーリングの基本であるので、当然横目で見て通り過ぎたのだが、今こうして走行ログと地図で確認すると、そこは「鳥居原エリア」と呼ばれる一帯であった。
さらに湖に沿って走り続けると、途中でダムが見えた。
(あ、ダムだ!・・・もっと近くで見てえなあ)
というわけで、道端からダムが見えるポイントを探したが、走れば走るほどダムは遠ざかるのだった。
あいかわ公園
宮ヶ瀬湖から遠ざかったあげくに愛川町まで抜けてしまった後、どうしてもダムが見たくなり、「ツーリングの基本」を無視して「ヒトが多い場所」にUターンした。
そこは、「神奈川県立あいかわ公園」。駐車場はミニバンで埋め尽くされていた。
まあ今日日は、どこに行っても同じような光景だが。
二輪車の駐車料金は、わずか100円。わずか100円とは言え、私のツーリングのもうひとつの基本として「有料の駐車場には行かない」というポリシー(笑)もあるのだが、そんな取るに足らないポリシーよりも、ダムが見たい気持ちが勝った。
ちなみに、これ▲は駐車場に戻ったときに入口側から撮った写真。
愛車・M109Rを駐めた時は奥におっさんの二人連れがいてダベっていたので、遠慮したのだ。こんな車長の長い、デカいオートバイを駐車場入口の近くに駐めるほど、私は周囲に配慮のできない人間ではない(なんの言い訳だよ(笑))。
WELCOME 宮ヶ瀬ダム
あいかわ公園の駐車場から宮ヶ瀬ダムまでは、約800m。
駐車場の少し先にあった看板には、「徒歩15~20分」と書いてあった。私は毎朝毎晩、拙宅と新川崎駅の間の片道約2.1kmを22分で歩いている。
(どんだけ歩くの遅えんだよ)と思ったが、ここに来る人の大半は子供連れで来ているので、それを踏まえた「見込み時間」なのだろう。ここにひとりで来ていたおっさんは、私が見た限り、私だけであった。
というわけで、あいかわ公園の駐車場から約8分歩いてたどり着いた、宮ヶ瀬ダム。
途中に、ダム建設時に採取された岩を模したオブジェがあった。
その中では、「ダム建設の経緯」と、現在のダム管理の様子とイベント情報が紹介されていた。ダム建設には付き物だが、ここ宮ヶ瀬ダムでも住み慣れた土地を追われ、故郷を奪われた人々がいるのである。私は諸般の事情により実家に寄り付くことはないが、毎年墓参りに行くたびに実家を遠目で見て、変わりがないことを確かめている。もし、実家そのものが無くなってしまったら、どれほど寂しい想いをすることだろう。心の拠り所である故郷を失うということは、どれだけ悲しいことだろう。
そんな人々の暮らしと郷愁を踏みにじって建造された巨大なダムが、アーチ橋の向こう側に見えた。
ダムに比べれば“脇役”に違いはないのだが、このアーチ橋の美しさもなかなかのものだ。
そんなんしてたら、橋の向こう側からロードトレイン「愛ちゃん号」がやって来た。
このときはこれっぽっちも乗ろうとは思わなかったが、帰りはこれに乗ってあいかわ公園に戻ることになる。
宮ヶ瀬ダム近景
どーーーん
どどどどーーーーん
ダムの“ふもと”では、小さな女の子が、母親と祖父母だろうか、揃ってピースマークを掲げる3人にカメラを向けていたのを筆頭に、それぞれの家族がそれぞれの時間を過ごしていた。
なんて平和な、なんてほのぼのとした空間なのだろう。
ひたすら孤独に走り続け、観光スポットにはほとんど寄り付かない私のツーリングでは、なかなかお目にかかれない光景である。
おっさんがひとり、「インクライン」に乗る
そんな“ほのぼの空間”に感化されたのか、どうしてもダムの上の風景が見たくなって、よせばいいのに「インクライン」とやらに乗ってみた。私がチケットを買ったときは売り場には誰もいなかったのだが、ワラワラと家族連れがやって来て、狭い室内があっという間にほぼ満席になってしまった。
賑やかな家族連れに囲まれてムサいおっさんがひとり、肩身の狭い思いをして発車までの待ち時間約8分、乗車時間約4分をひたすら耐えた。
皆さんに気を遣って最後尾に座った。文字どおり、「上り (=ダムに向かう方)」は後ろ向きに斜面を上って行くのだが、この写真▼のとおり最後尾の席からは前方の景色はあまり見えない。
でも、喜々として風景を眺める子供達を押しのけてワレ先に景色を見るほど厚顔無恥ではないので、“頂上”に到着して家族連れの皆さんがいなくなった後にようやく写真を撮った。
そんな「宮ヶ瀬ダム・インクライン」の料金は、往復300円。
(どうせ景色が見えないなら、タダで乗れて待ち時間も少ないエレベーターの方が良かった)とも思ったが、ダムならではの乗り物に乗るのも、“旅”の醍醐味である。
宮ヶ瀬ダムの上にのぼって
さて、宮ヶ瀬ダムの上にのぼると・・・
「神奈川県人口の90%に上水道を供給している」らしい、“ザ・水ガメ”宮ヶ瀬湖を間近で見られたり、
ダムの上から真下を見て(ここから堕ちたら、どんだけ転がりまくったあげく、どんだけボロボロになって死ぬのだろう)と想像してビビりまくったり、
遠く、あいかわ公園の方を眺めたりして、なかなか楽しめた。
そして、周辺の山々に囲まれた碧く静かな湖面が、えも言われぬほどに美しかったのが、何よりも印象的であった。
帰宅して、この記事を書くに当たって初めて、この湖が人の手によるものだと知ったのだが、そう考えるとよけいに感慨深いものがある。
おっさんがひとり、「愛ちゃん号」に乗る
インクラインの「下り」に乗って“地上”に戻ると、ロードトレイン「愛ちゃん号」が発車のときを待っていた。
で、よせばいいのに、これまた乗ってみた。
冬場はソックスの上にさらに「ウインドストッパーホットソックス」を履いていて、ブーツがキツキツなので、あまり歩きたくないのである。
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乗車料金は、片道200円。周囲の家族連れに注目を浴びるのが少しコッパズかしいが、ディーゼルエンジンと思われる排気ガスのニオイを周囲にまき散らしながらユッタリと走る「愛ちゃん号」は、なかなかに快適であった。
放流は冬期間はお休み
ダムを眺めている間、(そう言えば、放流ってしねえのかなあ)とずっと思っていたのだが、「愛ちゃん号」の座席に「宮ヶ瀬ダム観光放流」の案内があった。残念ながら、12月~3月の間はお休みらしい。
気が向いたら、今度はかみさんとクルマで来よう。
眩しすぎるほどに幸せオーラを振りまく多くの家族連れに囲まれながら、「宮ヶ瀬ダム周辺は、少なくともおっさんがひとり、オートバイで来るような場所ではない」ということを、痛いほど感じた冬の午後であった。
- 走行距離=167.8km
- 平均燃費=16.1km/L
*1:厚木方面から宮ヶ瀬湖に行った場合