「Honda Collection Hall」に行ってきた:二輪市販車篇(6):伝説とか思い出とか
ダラダラと書き続けてはや1ヶ月。「Honda Collection Hall 訪問記」も、「二輪市販車篇」をようやく書き終える。
今までは各回ごとにテーマを決めて、それに合致するマシンを掲載したのだが、「二輪市販車篇」の最後は、これまで載せられなかったマシンを一挙 (ってほど多くないけど) 掲載する。
伝説のライバル ~ RZとVT
当のホンダ自身が、「伝説のライバル」と称してこの2台を展示していた。
“伝説”って(笑)・・・とツッコミたくもなるが、そんな大仰な言葉を遣いたくなるほど、“バカ売れ”した2台だったのだ。
ヤマハ RZ250 (1980)
ヤマハ公式サイトに明記された情報ではなく、某個人のブログに掲載されていたモノなのであくまで“参考情報”だが、この「RZ250」は発売初年度に14,700台を売り上げたそうだ。
じゃあ最近の同クラス二輪車はどのぐらい売り上げているのかというと、こちら▼のサイトによれば、
第1位 YZF-R25 (-Since2015-) 販売台数 7,680台
だそうだ・・・結構売れてるのね。
「最近の二輪車販売台数はこんなに少ないのに!」と書こうと思ったのにアテが外れてしまったが、ホントかなこれ?
250ccのオートバイなんて、普段全然注意して見ていないので実感としてもわからないが・・・というか、そもそも去年 (2015年) はほとんどツーリングに行ってなくてオートバイ自体をあまり見ていないので、エラそうなことは言えない。
売れてるんでしょう、きっと。
そして何より、250ccクラスにもいまだに精力的に商品を投入しているヤマハは、ホントにエラい。
ホンダ VT250R (1982)
じゃあ、この「『VT250R』はどれだけ売れたのか?」というと、
こちらはホンダによる当時のプレスリリースがちゃんとあった。
◎VT250シリーズの販売実績
- 発売後34ヶ月の短期間で、軽二輪(126cc超250cc以下)クラスでは、日本で初めて販売累計10万台を達成 (昭和60年3月・本田技研工業調べ)。
- 二輪製品ニュース 1985年3月28日「ホンダ・VT250シリーズの販売累計10万台達成記念~特別仕様車2タイプを発売」
「3年弱で、シリーズ累計10万台」確かにこれはスゴい数字だ。ホンダも、この過ぎ去りし栄光の日々が懐かしくて仕方ないのだろう。だから自ら“伝説”なんて大仰な言葉を遣ってしまうのだろう。
それなのにそれなのに、250ccクラスの主力車種であるはずの現行「CBR250R」は、なぜ単気筒なんだろうか?入門機だからって手を抜いているから、ヤマハの後塵を拝する事態に陥っている *1 のではないのか?どうしたホンダ?
ま、見た目だけは、スッゴい“レーシー(笑)”なマシンに見えるけど。
懐かしの教習車 ~ CBX400F
ホンダ CBX400F (1981)
名車のホマレ高い「CBX400F」も、私にとってはただの「教習車」である。
今を去ること28年前、武蔵境駅と東小金井駅の中間にある「尾久自動車学校」で「中型二輪免許」を取得した私であるが、その当時の教習車がこのCBX400Fであった。“ヨンヒャク”とは言え、原チャリにしか乗ったことのない若者にとって、初めての二輪車は取り回しに難儀した。
あるとき教官から「バイクを押して集合!」の号令がかかったのだが、思うようにこの「CB400F」を動かすことができず、モタモタしていたら「早くしろ!」と怒鳴られた。教習生を“お客様”として親切丁寧に扱う現代の教習所では考えられないだろうが、当時の教習所はどこもそんな感じだったのだ(たぶん)。
もちろん、血気盛んな私は「うるせえ!」と言い返したのだが、当然のごとく教官の怒りを買って、その時間は「ハンコ」がもらえなかった。 「CBX400F」を見ると、その頃のセツない日々が甦るのである。
スズキとカワサキ ~ ガンマとZ
ヤマハは様々なジャンルに渡って計5台のマシンが展示されていたが、スズキとカワサキは“時代を変えた”マシンが各1台ずつ展示されていた。
スズキ RG250Γ (1983)
販売台数と言えば、こちらも負けていない。(おそらく) 初年度の販売台数が約30,000台。レーサーレプリカブームの火付け役としての偉大な功績に、ホンダも敬意を表しての展示だろう。
「公道=サーキット」と錯覚してしまうオチャメな人間達を生み出したのも事実だが、アルミ製角フレームを始めとして、このマシンをキッカケとして花開いた技術が数多いことも、また事実である。
カワサキ Z400FX (1979)
“漢”カワサキからの唯一のエントリーは、「Z400FX」。 ほぼ直線でデザインされた外装類がシブイ。そして意外にデカい。
とは言え、「RG250Γ」に比べるとトピックがなさ過ぎて、(ナンでコレが選ばれたんだろう?)と現地で思う人も多いだろう。カワサキから1台選ぶなら、やっぱり「750RS (Z2)」とか「GPZ900R」とかじゃないかな?
原チャリ3選
原チャリも大量に展示されていたが、当然そのすべてを掲載することはできない。よってここでは、私の独断と偏見で選んだ3台を厳選して掲載する。
ホンダ ビート (1983)
四輪の方ではなくて、二輪の「ビート」。
(「ビート」って、そう言えばこっちが先だったなあ)と現地で久しぶりに思い出したので、ただそれだけの理由で選出。(これ、リトラクタブルヘッドライト?)と一瞬思ったがそんなはずはなくて、フロント先端のエアインテークみたいなところにヘッドライトが配置されている。
ちなみに、「世界初・水冷50cc2サイクル」だそうだ。
ホンダ ストリーム (1981)
ピザ屋さんでおなじみ“スリーター”の元祖、「ストリーム」。中学生の頃、近所の自転車屋に実車が展示されているのを目にして、(なんか未来っぽい(笑)乗り物だなあ)と思ったことをよく覚えている。ま、ただそれだけなんだけど。
そう言えばこっちも、最近まで四輪があった。
ホンダ タクト フルマーク (1987)
“トリ”を飾るのは、4代目タクト=通称「メットインタクト」である。今やすっかりナイスミドル(死語)の代表格・佐藤浩市氏がまだ全然若い頃に出演していたCMを覚えている人も多いだろう。
なぜこんな原チャリが“トリ”かというと、私が人生で最初に乗った「エンジン付きの乗り物」だからである。
19歳の頃に工事現場でバイトするようになって、「毎日違う現場に行くのに便利だから」と、まだ発売されたばかりのコイツを買った・・・正確に言うと、おふくろさんに買ってもらった(恥)。スネッかじりですみません。
そんなワケで9割方単なる移動手段として使用していた「タクト」だったが、あるとき、つきあい始めた女の子に突然別れを告げられ、「なんでだよ!?」と直接会って問い詰めてやろうと思って夜中にコイツに跨がり、当時住んでいた三鷹から彼女が住んでいた国立まで行こうとしたことがあった。
でも途中でアホらしくなって引き返した。
「女心と秋の空」とはよく言ったもので、追いスガったところで自分が虚しくなるだけ・・・(原チャリとは言え)風にまかせて走り続けるうち、そんなふうに思えたからだ。今思えばそれが、「オートバイに跨がれば、イヤなことなどすべて吹き飛んでしまう」最初の経験だった。
そんな「タクト」にまつわるいろいろな出来事も、あまつさえコイツに乗っていたことさえすっかり忘れていたのだが、ココで実車を見て一気に思い出が蘇った。「青春」なんてものは私にはなかったと思っていたが、カケラほどのそれは、こんな私にもあったのだ。
それを思い出させてくれた「Honda Collection Hall」関係者の皆様に感謝の思いを込めつつ、この項を終わりにしようと思う。
(この項おわり)
*1:上述の販売台数ランキングでは 1位「YZF-R25」に対して、「CBR250R」は第9位(1,459台)