会津墓参りツーリング:2016年4月9日:前篇
というワケで、ここ数年は春の恒例となっている「会津墓参りツーリング」である。
気温が上がって“ご老体”にムリなく遠出できるようになってからの最初のロング・ツーリング先は、「会津への墓参り」と決めているのである・・・ま、決めたのは今年からだけど。
ロング・ツーリングの定義を考える
ところで、これまで極個人的に *1「『ロング・ツーリング』とは、1日あたり700km以上のツーリングを指す」と定義してきた。
500km/日じゃそれほど“遠出感”がないし、1,000km/日ではちょっとキツい。なので間を取って「700km」と規定したのだ。ま、間を取ったらホントは「750km」なんだが *2、やっぱキリが良い方がキモチいいので「700km」に落ち着いた。
・・・そんな、他人にとってはどうでもいい極個人的な定義について書いたのは、「ちょっとその定義は違うんじゃないか?」「『距離』よりも『時間』で規定した方がいいんじゃないか?」と、去年ぐらいから思い始めたからだ。
当たり前のことだが、高速道路をバビュンとトバせば、短い時間で長い距離を移動することができる。下道をトコトコ移動すれば、時間のワリに距離は伸びない。自分で勝手に決めた定義にコダワるあまり、(うーん、長い時間走ったワリに、距離が伸びなかったなあ)という“ガッカリ感”を解消するためにも、定義を変える必要がある。
つまり、「ロング “ディスタンス” ・ツーリング」ではなく、「ロング “タイム”・ツーリング」というワケだ。
では何時間以上走れば、「ロングタイム・ツーリング」と定義するか。
稀代のツーリング雑誌「BikeJIN」のコラム「FreeTalking」内で、かの高橋名人が「ゲームは1日1時間!バイクは1日10時間!」といつも書いていたので、ここは「1日10時間以上」ということにしておこう。
私はいわゆる「ファミコン世代」ではないので高橋名人には何の思い入れもないが、何度もオートバイを降りている私と違って、彼は生粋のオートバイ乗りだそうなので、その言葉には説得力がある。ま、彼の愛車である現行GLなら、1日16時間以上乗っても疲れないとは思うが。
「みちのくひとり旅」の出発点
いつもどおり「白河中央スマートI.C.」で東北道を下り、そしてまたいつもどおり、和以美(株)白河営業所の駐車場で勝手に休憩・・・しようと思ったら、営業所正面入口の真ん前は何やら“大”工事中だった。
仕方ないので、駐車場の端っこにオートバイを駐めて、と・・・。
いや別に、歩行者なんてほぼ皆無だから *3 歩道に駐めりゃいいんだけど、なんかもう和以美(株)白河営業所さんに駐めないと、「みちのくひとり旅」が始まった気がしないのだ。というわけで、今回も勝手に駐めさせていただきました、すみません。
トイメンにある民家の脇では、見事な桜の木が満開の時を迎えていた。
これはぜんぜん期待していなかったことなのだが、この後あちこちで、満開(またはその一歩手前)の桜を拝めることになる。
春の訪れを象徴する桜の木とは対照的に、遠くにそびえる磐梯山は、まだところどころに雪をまとっていた。
磐梯山はこうして、田圃越しにその姿を眺めるのが、会津人の正しい“お作法”である。
「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」詳説(笑)
トイレ休憩以外の用事は特になかったのだが、ブログのネタとして「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」に寄ってみた。去年 (2015年) 訪れた時は、メインの建物には一歩も入らなかったので。
Wikipediaによれば、ここは「2つの自治体が共同で道の駅を整備したのは全国初の例」だそうだ。確かに、数々の道の駅でトイレ休憩してきた私も *4、2つの自治体名が連なっているところは見たことがない。
それにしても会津坂下町出身者としていまいちナットクできないのは、「湯川」が先に来ている名称である。「どんぐりの背比べ」とは言え、自治体の規模的にも会津坂下町が圧倒しているはずなのに。 これはおそらく、「(施設が湯川村にあることから) もともと湯川村が道の駅開設を計画したが、単独では運営ができないので会津坂下町に協力をお願いした」、といった経緯があったと推察される。残念ながらそれを証明するサイトは見つけられなかったので、あくまで私の“想像”だが。
ちなみに運営会社は「(株)湯川会津坂下」というそのまんまの名前の会社で、そこの神田武宜代表取締役(兼 道の駅駅長)は湯川村の出身だそうだ。
この▲記事を書いた会津大学短期大学部の皆さんには、どうせなら道の駅開設に至る経緯にも触れて欲しかった。
人のひろば
メインの建物に入ると、3つのスペースに区切られているのがわかる。中央のスペースは「人のひろば」と呼んでいるそうだ。 ここにもイスとテーブルが設置されていて、下の写真にも写っている「12ヶ月のジェラート」のアイスクリームなどを食べる客が多数陣取って結構ジャマだった。ここにイスとテーブルは要らないと思う。
そんな買い食いしている客のすぐマヨコに立って(その付近だけ人の流れがないので)撮った写真▼。
あいづ物産館
「人のひろば」の右側は、道の駅スタンダードな「土産物屋」になっている。「ミヤゲを買うのは帰路に着いてから」というのが長年のポリシーだし、会津坂下町名産である馬刺しも売っていたが馬刺しを買う店も既に決まっているので、写真を1枚撮っただけで即撤収。 ちなみにこの写真▼の奥がレストランになっているが、食事する場所も決めていたので見向きもしなかった。
まいどのことだが、ブログを書く段階になってようやく失敗に気づき、自分の愚かさを責める。「なぜ写真だけでも撮らなかったのか」と。
農産物マーケット
「人のひろば」の左側が、「農産物直売所」になっている。「ミヤゲ物屋しかないと地元の人はすぐに来なくなるが、安くて高品質の野菜があれば地元の人もリピーターになってくれる」という、いまや道の駅繁栄の「セオリー」とも言うべき戦略に基づく施設である。セオリーを忠実に守っているお陰か、開業1年半経ってもご覧のとおり▼の賑わいぶりであった。
この大根は、なぜか「千葉産」を大々的にアピールしていた。(なんで千葉?)と思って調べたら、大根の都道府県別収穫量では、千葉県は北海道に次いで2位だそうだ(※2012年)。まったく知らなかった(恥)。
この葉玉ねぎは、ナットクの会津坂下産。とてもおいしそうに見えたので、思わず買いそうになってしまった。もしクルマで来ていたら、迷わず買っていただろう。
私は普段スーパーマーケットには行かないので、値段が高いのか安いのかはまったくわからないが、他にもおいしそうな野菜がたくさん売られていた。
二輪駐車場の差別的な扱い
身障者等用駐車スペースおよび急速充電器付駐車スペースにはリッパな屋根が付いているのに・・・
二輪用駐車スペースは▼屋根無しで、しかもメインの建物からは離れた位置に設置されている。この差別的な扱いはどうなんだろう。
神田武宜駅長、今からでも遅くありません。二輪用駐車スペースにも屋根を!・・・って、一銭もカネを落としていない私が言えた義理じゃないけど。
自然を愛でながら亡き母を想う
「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」の東側には、遠く磐梯山を望むことができる。田圃越しではないので“お作法”には反するが、磐梯山は磐梯山である。
磐梯山を見てから「回れ右」すると、すぐ近くに阿賀川が流れている。(写真には写っていないが)キレイに整備された芝生の上では、ひとりの少年が母親と思しき女性とサッカーの練習をしていた。
この河原は病弱だった幼少の頃、病院の帰りに亡き母とふたりで散策に来た、思い出の場所である。昔は芝生なんて“高級”なものはなく、何の整備もされていないただの河原だったが、ここに来るたびに、母とふたりきりで過ごしたわずかな時間を思い出して切なくなる。
あの少年も私と同じように、河原で母親と過ごした時間を心に刻んで生きていくのだろう。
そんな不毛な物思いに耽るおっさんの傍らで、菜の花が一株だけ風に揺れていた。
神田駅長のブログによると、この写真の右側1km程先に、菜の花畑が広がっているそうだ。
うーん・・・事前に知っていれば見に行ったのに。
台ノ宮公園の桜と古木
ブログでの“ウケ”を狙って道の駅に寄ってみたが、本来は「人とカネを集めるための施設」には興味がないのである。磐梯山と阿賀川の河原以外には、当然のことながら思い出も何もないし (道の駅がある一帯は、昔は一面の田圃であった)。
というワケで、会津坂下町に昔からある「会津坂下町最初の“都市”公園(笑)」である「台ノ宮公園」に今年も訪れた。
昨年春の「会津墓参りツーリング」の記事で、「桜はハザクラになっていた」と書いたものの、
(はたして、あの木々はホントに桜だったのか?)と自分の記憶に自信がなくなったので、去年より2週間以上早い今年は「台ノ宮公園の木々は桜なのか?」を確認したかったのである。
で、珍しく私の記憶は正しかった。
木によっては満開に近いものもあったが、いちばんの見頃は来週の週末(4月16、17日)あたりだろうか。
そして台ノ宮公園と言えば、両脇を桜の木々に囲まれた、ケヤキの大木である。
中央のいちばん細いのが「若旦那」、左の方が「家主」、右の最も太い大木が「長老」って感じだろうか。
国道49号から一本離れた道(福島県道33号 *5)を少し入ったこの古い公園には、今回もまた、昔と変わらない静かな時間が流れていた。
脳内に流れたBGMは、柳ジョージ&レイニーウッド「『祭ばやしが聞こえる』のテーマ」である。
お盆の時期には、この静かな田舎の公園が「盆踊り会場」と化すのだ。
17歳の夏、この公園の片隅で私をフった同い年の“少女”は、今頃、どこで何をしているのだろうか。
(つづく)