四国・九州ツーリング2017~4日目後篇:佐伯三景

4日目後半は、この旅最大の目的地である大分県佐伯市での出来事を中心に綴る。

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最後の絶景

この日(5月1日)の最後の絶景は、四浦半島のほぼ中央に位置する展望台(四浦展望台)からの眺めである。
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四浦半島ではもっと多くの絶景を見た気がするのだが、画像として残っていたのは四浦展望台からの景色だけだった。
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後述する任務のことが気になっていたり、グネグネ道を走りきるのに集中していたとは言え、ちょっと・・・いや、オイソレとは行けない距離であることを考えると、かなりもったいない。

ところで、この国で50年近く生きてきて、「四浦(ようら)」という呼称を目にしたのは恥ずかしながらこの日が初めてである。
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(▲北西の方角にある長目半島はうっすらと、その奥の佐賀関半島はほとんど見えなかった)

ただ、私の無知はともかく、「三浦」は地名だけでなく、苗字や時計の名前や、果てはイニシエのイタリアン・スーパーカーの名前としてもメジャーであるのに対して、「四浦」のマイナーっぷりはどういうことだろう。「四(死)」が避けられるのと何か関係があるのだろうか。

さらに、これまた自分の無知をさらけ出すのだが、大分くんだりにまで「河津桜」の名所があることも知らなかった。
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でもまあ、河津桜の取り柄は「早めに開花すること」ぐらいで、観賞したときの「心に染み入る度」では、ソメイヨシノには到底かなわない。おそらく「咲き乱れる荘厳さ」と「散りゆく儚さ」を感じ取るとき、あのピンク過ぎる色彩が邪魔をするのだと思う。

 

佐伯三景

「古民家」にて

この日の最大の目的は「大分県佐伯市にあるTK君の実家を撮影して、その画像を送ることでGW期間中に休ませてくれた彼に謝意を表す」ことである・・・ま、それが本人にとってうれしいかどうかはともかく。だいぶ時間をロスしながら(道を間違えて四浦展望台の前を2回通ってしまったのだ)、完全ではないもののほぼほぼ四浦半島を廻りきったところで、時刻は14時を過ぎていた。平日休んでオートバイになど乗っている私と違って真面目に働いているであろうTK君に、午後の勤務がひと息つく15時までにはメールを送りたい。
(やべ、まにあわねえ)
ということで先を急ぐ。

佐伯駅前に到着したのが15時少し前。
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そこからほど近い、GW前にGoogleストリートビューで本人に教えてもらったTK君の実家に到着したのが15時5分頃。実家の真ん前にM109Rを停めて写真を撮り、TK君宛に画像を送った。

「古民家」と呼ぶにふさわしいTK君の実家の前で撮影したM109Rの写真は、なかなか風情があるので是非そのまま掲載したいところだが、マイナーブログとは言え不特定多数(否、少数)が目にする媒体で他人様の実家を公開するのも気が引けるので、ボカシを入れた画像にしておく。
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「さいき 海の市場(まる)」にて

誰に命じられたワケでもない、勝手に自分に課した任務を無事に果たした後は、TK君に教えてもらっていた佐伯市ナンバーワン観光スポット「さいき 海の市場○(まる)」に赴く。
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イチ地方都市よろしく閑散とした佐伯市内において、ここだけは例外的に賑わっていた・・・
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・・・と書きたかったのだが、全然そんなことはないなあ、写真を見る限りは。
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オープンショーケースもスッカラカンだし。

でもまあ現地では、あくまで個人的な感覚だが(意外に人いるなオイ)と思ったことだけは確かだ。商品が全然並んでいないのは、きっと15時30分という中途半端な時間帯のせいだろう。

せっかくこんな「市場」に来たので、何か魚介類を食べようと思ったが、フロア2階は食事処ではなく「1階で購入した商品を食べるためのスペース」で、数少ない販売されている商品も「魚まるごと一尾」とか「寿司15貫」とかで *1
(いやいや、そんなに食えねえし)
結局、何も食べずに市場を後にした。小食の孤独なおっさんライダーにとっては、あまり使い勝手のよくない施設であった。

 

「城山堂」にて

海の幸を食することはあっさりとあきらめ、今度はTK君へのおミヤゲを探す。実家の写真だけでは謝意が伝わらないだろうから、モノでそれを表そうというワケだ。

佐伯駅前には「挽茶饅頭」という看板を掲げる店があったが、自分では和菓子の類を一切クチにしないので、どうもピンと来ない。
(マンジュウじゃなあ・・・)
駅前を離れ、駅から離れたところ(いわゆる「ロードサイド」)に栄えている地域があると聞いていたので探し回ったが、それらしき一帯が見当たらない。
(まあ別に、佐伯市で買わなくてもいいか)
とあきらめて一旦は佐伯市内を離れかけたが、隣町より地元のモノの方が絶対にうれしいはずである。私も、もし誰かに故郷・会津坂下町随一(否、唯一)のミヤゲ処「太郎庵」のスイーツ(笑)を不意にもらったら、やっぱりうれしいもの(ま、そんなサプライズを提供してくれる人は私にはいないが)。そう思い直して、また佐伯駅前に戻った。

というわけで、佐伯市の名店「城山堂」である。f:id:ToshUeno:20170501160707j:plain
先日TK君に確認したところ、地元では「おいしい」と評判の店だそうだ。駅前にももう1軒「挽茶饅頭」の店があるのは上述したとおりだが、こっちに入ったのは単に「戻ってきた方角から近かったから」である。

ムサいカッコをしたおっさんが店内に入ると、30代前半と思しき男性店員が奥から出てきた。こういう店はおばちゃんが出てくるものと思っていたが、ヤローだったので若干テンションが下がる。別におばちゃんだからって上がるワケではないが、私の場合、こういうシチュエーションでもっとも話しやすい人種は「おばちゃん」なのだ。とは言え、店を変えるほどの動機ではないので、あきらめて商品を選ぶ体制に入る。

お約束どおり「オススメはなんですか」と聞くと、彼は「城山饅頭」だと言う。
(やっぱここもマンジュウなのか・・・佐伯市民はどんだけマンジュウ好きなんだよ)
別に自分が食べるワケじゃないからどうでもいいのだが、なんとなくそれはスルーして、無難に「お菓子詰め合わせセット」をチョイスした。デカいヤツ(約2,800円)とチッチゃいヤツ(約2,500円)。かみさんとTK君に、それぞれ1つずつ(この時点ではどっちにどっちを渡すとは決めてなかったのだが、会社に持っていくのに嵩張るので、チッチゃい方をTK君に渡した。ごめんなさい)。

で、問題はここからである。オートバイでのツーリングで、かつこの時点ではまだ帰る日にちを決めてなかったので、当然宅急便で送ってもらおうとしたのだが、そんな客は滅多にいないのか、売り子の彼は一向に送料が算出できない。かと言って、店の奥にいるであろう、他の従業員を呼ぼうともしない。なんなんだコイツは。

しかも、さんざん待たされてようやく「送料込の料金」をまとめて支払い、梱包された商品を受け取った後に、また宅急便の料金表を見返した彼は慌てた様子で
「すみません、やっぱりもう一度お支払いをお願いします」
そう言って、さっき受け取ったばかりのお金を私に返し、今度はお菓子と宅急便の送料を別々に請求したのだった。
(やれやれ ┐('~`;)┌ )
結局、お土産を買うのに30分近くかかってしまった(うち、商品を選ぶのに要した時間はせいぜい3分である)。

ちなみに、マンジュウの名前を確認するために「佐伯市 城山堂」で検索したら、某一流芸能人のブログがヒットした。6年前の記事だし、ガラケーでテキトーに撮ったと思しき掲載写真も随分ショボいが、そこに写し出されているのは紛れもなく私が訪れた城山堂の店内だ。

ameblo.jp

さすがは一流芸能人、従業員総出でお出迎えである。たった1人の店員が、たかが宅急便を送るのに四苦八苦してさんざん待たされた私とは大違いだ。それにしても彼女は、何の用事があって佐伯市くんだりまで行ったのだろうか(昔はともかく、6年前も現在も彼女が何をしてメシを食っているのかよく知らないので)。

 

都城に向かう

この日の宿泊先は、宮崎県都城市であった。既にキャンプ泊をする気力はまったくなくなっていたので、城山堂でおミヤゲを買った後、楽天トラベルでビジネスホテルを予約した。なぜ都城なのか。はっきりとは覚えていないが、おそらく「ただなんとなく」である。

佐伯ICから東九州自動車道に入ってひたすら南下し続け、川南PAで最初の休憩をする。時刻は18時半頃。都城はまだずっと先である。
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(あー、もっと近くのホテルにすればよかった)
長年本州に住んできて、そこからあまり出たことのない人間の悪いクセで、四国や九州を実際よりも狭く/小さく想像してしまう。が、四国も九州もそれなりに広いのだ。実際にクルマやオートバイで走ると、それが身に染みてよくわかる。

二輪車用駐車スペースはじゅうぶん広い・・・
f:id:ToshUeno:20170501183800j:plainと思いきや、ここは「上下線共用PA」なので、連休中はさぞかし満車になったことだろう。

ちなみに、今年の秋にはガソリンスタンドもオープンするそうだ。このとき、既に貧乏ランプが点滅してヒヤヒヤしながら東九州道を超燃費走行していたので、
(もっと早くオープンしといてくれよ)
と、誇らしげにオープン予定の看板を掲げたその工事現場を見て、かえって恨めしく思うのであった。

 

夜のグネグネ道はキライ

宮崎西ICで東九州道を下りる。が、まだ先は長い。ホント、なんで都城になんかしたんだろう。いつもながらの、思慮の浅いテキトーな判断を悔やみながら先を急ぐ。

国道268号を流れるクルマのペースが速く、さらにナビの指示がわかりにくくて左に曲がり損ねた。すると街灯りが消え始め、みるみる辺りが暗くなっていく。あまりに暗すぎて、次にナビが左折を指示したところでも曲がり損ねる。なにやってんだよ。

「三度目の正直」で都城方面に向けてようやく左折した先は、真っ暗闇の山道であった。▼宮崎県道42号。野尻湖付近。
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昼間なら喜々として走るグネグネ山道も、こう真っ暗だと話が別である。

色が白くなっただけで、明るさは以前と変わらずいまいちな高効率ハロゲンは、この暗闇から不安を消し去ってくれるほど頼もしくはない。

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(あー、クルマ走ってねえかなー)
こういうときに限って、ちんたら走って道を塞いで昼間ならただジャマでしかないが夜間は行き先を明るく照らす「先導車」となってくれる、前走車は現れないものだ。

半ベソと冷や汗で心の中をびっしょり濡らしながら走り続け、国道221号に出たときは心底ホッとしたのだった。
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都城ヨモヤマ

地名の知名度と高校野球

(都城って有名だけど、ただの田舎だな)
国道221号はさすがに山道ではなかったが、「街」というよりは「のどかな田舎の風景」が延々と続く。「都城」とか「津久見」とか、ガキの頃から故郷・会津とは遠く離れた九州の地名を知っていたのはなぜだろう・・・少し考えて気づいた。地名を知っているのは、高校野球の強豪校があるところなのだ。

自分が高校生になる頃には高校野球などすっかり観なくなってしまったが、それでも幼少の頃に刻まれた記憶は、低スペックの脳ミソにも深く刻まれている。そして、こうしてその場所に赴き、いくらかのカネを落としていく。

「ナイン全員が県外出身者」などと揶揄される高校野球だが、カネを遣って県外から選手をかき集めるのも何某かの意味があるというワケだ。

ビジネスホテル二連泊で想う

チェックイン予定時刻(20時00分)を大幅にオーバーしてたどり着いたのは、前日のアンビバレント・ホテルとは打って変わって、いかにも「ビジネスホテルでございます」的なビジュアルでソビえ立つ「ベッセルホテル都城」である。
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ちなみに前日の「ホテル トパーズ 大在駅前」も、ここ「ベッセルホテル都城」も、宿泊料金はまったく同じ「4,400円」であった。使い途がなくて余っていた楽天ポイントを使って、どちらも「4,000円ポッキリ」。安い。

初日の淡路島で、野宿でさえ2,000円(キャンプ場使用料+スーパー銭湯入浴料)かかったことを考えれば、安全・安心・清潔・快適なホテル泊が4,000円で済むなら、やっぱりホテルに泊まりたくなってしまう。

そんな折、おっさん御用達オートバイ雑誌「風まかせ」最新号(No.62)は、「この人の前ではナンピトも自分のことを『ロングツアラー』などとは口が裂けても言えない」ことで有名な、ツーリング界のキング・オブ・キングス=カソリさんが表紙の「キャンプ・ツーリング特集」である。
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「野営の旅で、男を磨く」・・・キャンプごときで男が磨かれるのであれば、キャンプ場は聖人君子で埋め尽くされるはずだが、実際はまるで違っている。

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例えば▲、コイツらは「二輪は車輌じゃない」とでも言い張るのだろうか?

・・・閑話休題。割り当てられた部屋は、なんと1階であった。いろいろなビジネスホテルに泊まってきたが、1階フロアに泊まったのは初めてである。
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大きめの、ほぼほぼダブルベッドと言っていいサイズのベッドは快適だったが、部屋の窓からその土地土地の景色を眺めるのをいつも楽しみにしている私にとって、「カーテンを開けると目の前が駐車場=全裸でカーテンを開けるのは御法度」という1階の部屋はいまいちだった(ただ、とある理由で翌朝は非常に便利だったのだが)。 

なぜかどうしてマクドナルド

20時50分頃、夕食を食べに外に出る。ホテルの隣というか、同じ敷地内に焼肉屋があったのだが、焼肉屋のくせに営業時間が「22時まで」。田舎の夜は早い。
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1時間でソソクサと焼肉を食べる気にもならなかったので、あえなく却下する・・・まあ今思えば、1人で黙々と食べるのだから1時間どころか30分もあればじゅうぶんなのだが、この時の気分は「1時間で焼肉はイヤ」だったのだ。
(しょうがねえからコンビニにすっか)
と思ってGoogleマップで周辺を探すものの、都城市のメインストリートと思われる国道10号のベッセルホテル都城周辺には、歩いて行ける距離にコンビニがない。念のため300メートルほど南に歩いてみたが、コンビニの看板らしきものはやっぱり見えない。

あきらめて、ホテルの隣にある「マクドナルド都城店」へ行く。
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まだ21時だというのに、店内には客がひとりもいなかった。やっぱり、田舎の夜は早い。
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それにしてもキレイな店内だ。戸塚原宿店にも見習って欲しい。

(なんでマクドやねん)
と、ヘタな関西弁でツッコミを入れながら、なんちゃらバーガーとえびフィレオ(クソまずかった)を葉っぱオンリーのサラダといっしょに食べた。
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この国有数の、海の幸に恵まれた地域に泊まりながら、晩飯がマクドナルド。私らしいと言えば、私らしい。ただ、もしまた知り合いにネタのつもりで告白しても、「もったいない!」と冷たくあしらわれるのがオチだろう。

 

4日目_走行データ

  • 走行距離=384.7km
  • 走行時間=9時間22分
  • 平均燃費=19.65km/L

(つづく)

 

*1:ホームページには「寿司バイキングではお好きなネタを一貫から購入していただけます」なんて書いてあるが、私が行った時、そのショーケースはカラっぽだった