M109Rで二輪のユーザー車検に行く_2017:後篇

2017年、2代目ブルバードM109R (2008) の4回目の車検。前篇では、車検そのもののことはほとんど書かずに、ほぼ前置きだけで話を終えてしまった。

toshueno.hatenablog.com

後篇では、今回の車検で起きたあれこれについて書く。



 

2年前と変わっていた、たったひとつのこと

期待していたやさしさに触れられず、釈然としないままD棟に移動する。
f:id:ToshUeno:20170814135003j:plain
まずは書類を手に入れなければならない。書類の購入はカウンターの真ん中辺りだと記憶していたので、そこにいたおじさんに 「申請の書類くださ~い」 とフランクに頼んだ。すると彼は、
今年から無料になったので、そこの棚から自由に取ってください。継続審査ですか? じゃあ、青い印が付いているところです」
と言った。

2年前、前回の記事▼の「全体まとめ」には、「申請用紙:20円」と記録されている。

toshueno.hatenablog.com

なぜ今さら無料になったのかは定かでないが、もともとこんな紙に金を払わなければいけない方がおかしい。 区役所で住民票等をもらうのに、申請用紙にはカネ払わないでしょ?

この「申請用紙無料化」だけが、前回との明確な違いであった。その差20円。金額的にはどうでもいいが、小銭を出し入れする手間が省けたのは喜ばしいことだ。 

 

2年前の自分に教えられる

A棟に戻って書類を書こうとしたら、「書き方見本」がある方の立ち机は2人のおっさんに占領されていた。川崎の検査場の場合、立ち机は4人分のスペースがあるのだが、もう2人分の方には継続審査以外の書類の書き方見本しか掲示されていない。困った。前回も前々回も、見本を忠実にマネながら書いていたからだ。

先客のおっさんは2人とも、過去の私と同様に見本を凝視しながら書いているので、なかなか書き終わらない。
(早くどいてくんねえかな・・・おおそうだ、2年前のブログに書類の書き方書いたじゃん) 

toshueno.hatenablog.com

前回の記事が、図らずも役に立った。が、いかんせんスマホの画面ではちっちゃ過ぎて、画像を拡大するのが手間だったけれど。

 

今度は「1人乗り」でモメる

「はい、オシマイ」で終わるはずが

書類を提出して無事に受付が済んでも、まだ14時にもなっていなかったので、B棟を見学する。
f:id:ToshUeno:20170814135348j:plain
ついさっき立ち机で必死になって書類を書いていたホンダ・VFR800Fのおっさんが、ちょうど検査を終えたところだった。

この日はクルマもオートバイもパッとした車種がなくてツマんないので、M109Rに跨がってB棟に移動する。14時30分の検査開始まで、前回と同様に「記念撮影」でもして時間をツブそうと思ったのだ。
f:id:ToshUeno:20170814140846j:plain
(▲赤い屋根の建物がB棟。毎回不思議に思うのだが、施設ウラのこの広大なスペースは何のためにあるのだろうか)

B棟の左端のレーンに行くと検査員が3人立っていて、そのうちの1人(推定年齢47歳)がやる気満々で近寄ってきた。

私「すみません、14時半からで予約してるんですけど」
検査員A「ああいいです、先に確認できるところだけやっちゃって、光軸とかは14時半から見ますから」

ま、早く終わるぶんには何の問題もないので、彼の言うとおりにする。ウインカーとかブレーキランプとかクラクションとかハンドルロックとかを軽ーくチェックして、「はいオシマイ」と思ったその時。彼が車検証を見ながら、責めるような口調で話しかけてきた。

とりつくシマもない

検A「これ、『乗車定員1人』ってなってますけど、2人乗れる状態だとダメなんですよね」

私のM109Rは、前々回の「ユーザー車検初体験」のとき▼、

toshueno.hatenablog.com

タンデムシートを外してシートカウルの状態▼で持って行ったら、
f:id:ToshUeno:20100605104928j:plain
「2人乗りができる状態になっていないと『乗車定員 2人』とは認められない」
というご指摘を受け、やむなく「乗車定員 1人」に「構造変更」していたのだ。

理由は後述するが、私の場合オートバイの後ろに人間を乗せることはヒャクパーないので、「乗車定員1人」で何の問題もない。その後の4年間、それで困ったり、何か問題が起きたことは一度もなかった。だから車検証上の乗車定員も、ずっとこのままでいいと思っていた。ところが今度は、逆のこと=「2人乗れる状態なのに『1名乗車』では車検を通せない」と彼は言うのだ。

私「ええっ!? 前回はこの状態でも何も言われませんでしたよ、それに後ろに誰かを乗せることは絶対にないですし」
写真▼を見てもらえばわかるが、
f:id:ToshUeno:20150817142106j:plain
(▲2015年8月17日 川崎の検査場にて)

前回はタンデムシートだけでなく、シシーバー *1 まで付いた状態で持って行ったのだが、何も言われなかった。だから今回、何かうっすらとイヤな予感はしてシートカウルに付け替えようかとも思ったものの、
(ま、前回何も言われなかったから問題ねえだろ)
と、タカをくくってタンデムシートを付けた状態で来たのだ。

検A「いいえ、この状態では『2名乗車』に構造変更していただかないとダメです」
「とりつくシマもない」とは、まさにこのことである。

私「前々回、構造変更して結構めんどくさかったんで、それはやりたくないんですよ」
検A「じゃあ、このステップを外してもらうしかないですね」

わあったよわかりましたよ、外せばいいんでしょ外せば。

さよなら、ステップ

14時半まで、約15分間の「撮影時間」を完全にツブし、車載工具のプライヤとマイナスドライバを駆使しながら チカラ技によって、なんちゃらピンで固定されていたタンデムステップを外した▼。
f:id:ToshUeno:20170814143827j:plain
休憩を終えた検査員が戻ってきた頃にようやく外し終えたので、今回はB棟で写真を撮る余裕がまったくなくなってしまった。

タンデムシートは、シートバッグを取り付けたりキャンプ用のデカバッグを括り付けたりと、「積載スペース」として役に立っているが、タンデムステップについては、1代目M109R(2006)で約8,500km、現行の2代目M109R(2008)で約64,000km走行してきた間、一度たりとも役に立ったことはなかった。

あわれ私のM109Rのタンデムステップは、持ち主に何ひとつ貢献することなく、そのささやかな生涯を終えたのだった。

 

ユーザー車検2017・まとめ

ヘルメットをどこかに置いて検査を受けよう

今回、検査を担当してくれたメガネ+小肥りの検査員(推定年齢43歳)は、ずいぶん感じが悪かった。

検査の途中、私に向かって彼が何かを言ったのだが、全然聞き取れなかったので対応できずにいたら、やおら近くに寄ってきて
検B「け・ん・さ・ひょう!」
と怒鳴った。私がアワテて検査票を出すと、ひったくるようにしてそれを取り上げた。どうやらさっきは「検査票を出してください」と言ったらしい。

もはや老齢の域に片足を突っ込んだ私は普段から若干耳が遠いのだが、ヘルメットを被っていたコトに加えて、大排気量クルーザー・M109Rのエンジン音+排気音によって、さらに聞き取り能力が低下していたのだ。

だからって何も、怒鳴ることはないだろう。検査票をひったくることもない。後ろに受検者が何十人も待っていたならともかく、その時点で私の後ろにいたのは手慣れた様子の車検代行屋がたったひとり。クルマの方も2、3台しかいなかった。だからそんなに焦るような状況だったとも思えない。

まあレッドバロン戸塚の工場長がしっかり点検・整備してくれたお陰で、その後の検査は滞りなく済んだので別にいいのだが、後味の悪さは残った。

toshueno.hatenablog.com

そこで思った。「ヘルメットを脱げば、少しは検査員の声も聞き取りやすくなるだろう」と。

今回二輪車の検査レーンには、私のすぐ後にいたヤツとその後にもうひとり、車検代行屋と思しき手慣れた様子の男が2人いたのだが、彼等は当たり前のようにノーヘルであった。

検査場内は公道ではないのでノーヘルで全然オッケーなのはわかっている。ただ実際に私がノーヘルで検査を受けるに当たって問題になるのは、「どこにヘルメットを置いておくか」である。A棟内にコインロッカーでもあればいいのだが、無論そんな気の利いた施設ではない。

じゃあどうしようか。ヘルメットに付属している巾着袋に入れて、どこか目立たないところに置いておこうか。

ショウエイ(SHOEI) ヘルメット袋

ショウエイ(SHOEI) ヘルメット袋

 

A棟の前にある植え込み▼の、太い枝にでもぶら下げておけばいいかもしれない。
f:id:ToshUeno:20170814135742j:plain
撮ってきた写真を眺めながら、まだどうなるかもわからない、生きているかさえもわからない2年後のことを考えた。

かかった費用

今回、スズキ・ブルバードM109Rの車検にかかった費用は以下のとおり。

種別 料金 備考
自賠責保険料 11,520 前々日にレッドバロン戸塚にて更新
検査登録印紙 400  
審査証紙 1,300  
重量税印紙 3,800  
申請用紙 0 登録番号申請書第2号(今年から無料化)
  17,020  

前回の「19,160円」より2,000円以上も安くなったのは、 申請用紙の無料化・・・ではなくて、今年4月から自賠責保険料が大幅に値下がり(約15%OFF!)したことが大きい。 

news.webike.net

なぜ安くなったのかというと、

自動ブレーキなどの安全技術の普及で交通事故件数が減少し、交通事故死者数も併せて減少、保険金の支払いが減ったことで収支が改善傾向にあるため 

だそうだ。すばらしい。こうしてなんでも合理的に物事が動いて、どんどんムダなものが減っていけばいいのだが、なかなかそうウマくはいかないのがこの世の常である・・・。

なぜ住所変更ができない?

車検証の「所有者の住所」欄には、昨年4月まで住んでいた川崎市の住所が記載されている。ちょっとキモチ悪いので、4番窓口に書類一式を提出したとき「住所変更」を合わせてお願いした。ところが、カウンターの向こう側にいた担当者(無愛想+無表情)は、
④担「いまここでは住所変更はできないので、新しい車検証ができてからそれを持って1番の窓口に行ってください」
と言う。

(ふーん、めんどくせえんだなあ)と思いつつ、新しい車検証をもらった後、言われたとおりに1番窓口の担当者(小肥り+口が臭い)に提出して「住所変更したい」旨を申し出た。すると彼は、悪臭を吐き出しながら「手数料納付書」をメモ紙代わりにして説明してくれた。
①担「ここ(川崎の検査場)では住所変更はできないので、住民票とナンバープレートと印鑑を持って、都筑区にある『神奈川運輸支局』に行ってください」

なんだよそれヽ(`Д´)ノ

なんでその証明書を発行している施設で、記載事項の変更ができないのだろう。いったい何時代になれば、こんなムダな「管理体系」がなくなるのだろう。まったく以てバカバカしいので、M109Rの車検証は今後も「川崎市幸区」のままで、ナンバーも「川崎ナンバー」のままで済ませることにした。

タンデムするヤツの気が知れない

そもそも、「乗車定員1名」だろうが「2名」だろうが、どうでもいいだろうに。

上述のとおり、私はタンデムシートに人間を乗せることは絶対にない。なぜなら、タンデマーは万が一のときにどうしても反応が遅れるし、ハンドルにしっかりと掴まっているライダーと違って上半身が不安定なので、路上に投げ出されやすいからだ。路上に投げ出されれば、対向車や後続車による二次被害を受けやすいことも容易に想像が付く。

小さな子供をちょこんと(タンデムベルトなどを付けずに)タンデムシートに載せているバカ親や、自分はフルフェイスを被っているくせに後ろの女の子には防御力ゼロの半キャップを被せているゲス野郎などをちょいちょい見かけるが、そういうことを少しは考えないのだろうか、と不思議でしょうがない。

どんなにベテランだろうがどんなに運転スキルが高かろうが、運転する資格さえないヤカラがウヨウヨ走っている公道において、「100%の安全」などあり得ないからだ・・・

車検なんて早くなくなればいいのに

・・・話が逸れた。

つまり、乗っている本人が「2人乗りは絶対にしない」と言っているのだから、それでいいじゃないか、と思うのだ。なんで「2人乗りできる状態なのに『乗車定員1名』じゃダメ」なんて、杓子定規なことを言い張るのだろう。前回は何も指摘しなかったのに *2、なぜ今回は指摘したのだろう。

そしてそのイチャモンを付けた張本人は、14時半からの第4ラウンドには姿を見せなかった。「言い逃げ」である。男子たる者、自分の言ったことに最後まで責任を持って、「1名乗車しかできない状態になったこと」を確認しなければならないのではないのか。オカゲでそれを確認してもらう検査員がなかなか見当たらなくて、検査完了のハンコをもらうのが5分遅くなってしまった。

前篇の冒頭に書いたとおり、定期点検を欠かさない私にとって、車検など何の意味もない。こんなムダな検査はとっとと廃止されて、きちんとした施設で定期点検を済ませているユーザーは、例えばネット上での簡単な申請だけで「車検証」と「ステッカー」が送られてくるような、そんなシステムが早くできあがって欲しいと思う。

そして、検査場がこの国からなくなったとき、親身かつ丁寧な応対を心がけている人は無事に次の職を得て、「お役所仕事」しかしないヤカラは押し並べて職を失うような、そんな世の中であって欲しいと願う。
まあ現実は決してそうではなく「不条理だらけ」であることは、長年生きてきてじゅうじゅう承知しているけれど。

(この項おわり)

 

*1:日本ではすっかり「シーシーバー」で定着してしまっているが、英語のスペルが [sissy] なので「シーシー」と伸ばすのはおかしい

*2:まあ単に前回は、検査員が車検証をちゃんと確認してなかっただけだと思うが