さよなら、スカイラインクーペ:後篇
クルマの売却は何かと面倒である。愛車・スカイラインクーペを売却するにあたり、良さげなサービスを見つけたのだが・・・。
自分で出向くのもイヤ、自宅に来られるのもイヤ
ディーラーはケチくさい
クルマを買い換えるとき、いちばんいいのはディーラーで売却することだ。なんでかって、新旧のクルマの乗り換えがその場でできるから。つまり、乗り換えのタイムラグがほぼゼロになるわけだ。
だが悲しいかな、ディーラーってところは納得のいく金額でなかなか買い取ってくれない。3年ほど前に「日産リーフお試しレンタル」をお願いしたとき、まいど御用達の神奈川日産・川崎元木店がハジキ出したスカイラインクーペの査定額は驚愕の「53.8万円」であった・・・50万って(笑)
3年前でさえそんなに安かったのだから、10年落ちの今年(2018年)では、50万円にさえ達しないのは目に見えている。だから、ディーラーでの売却はハナからあきらめていた。
「持込あんしん査定」を知る
ディーラーがダメでも、世の中には買取業者がクサるほどある。インターネットという便利な社会インフラが定着して久しいが、ネットでできるのは“前段階”だけで、実際の査定や交渉や契約は、言うまでもなく業者に会う必要がある。
2008年に前車・マツダスピードアクセラを売却したときは、
- ネットで一括査定
- 各買取業者に査定を依頼
- 各買取業者が拙宅に訪問 (査定、交渉)
- 決定した業者と拙宅で契約
というカタチを取ったのだが、これがまためんどくさい。4つの業者が訪問してくれたのだが、その時間を調整したり、いちいち出迎えたり、同じ話を何回もしたりするのがとにかく面倒だった。とは言え、自分で業者に出向くのはもっとめんどくさい。
(なんかいい方法ねえかなあ)と思いながらあれこれ検索していると、「持込あんしん査定」というサービスがヒットした。carview!とオートバックスがコラボしているようだ。その内容を詳しく見てみると、
- オートバックスにクルマを持ち込む
- オートバックスの担当者がクルマを査定
- オートバックスが査定結果を業者専用のオークションサイト(?)に公開
- 名乗りを上げた業者の中から王様気分で買取店を選択
という、「自分で出向くのもイヤ、自宅に来られるのもイヤ」というワガママな私にぴったりのサービスのようだ。
「持込あんしん査定」は出来レース
ずいぶん待たされはしたが
早速Webで事前申込をして、2018年1月13日(土) 、まいど御用達のオートバックス環4泉店に向かった。なんせもう9カ月も前の出来事(笑)なので記憶も定かではないのだが、今でもよく覚えているのは
- 受付担当のおにいちゃんがやたらと元気だったこと
- やたらと待たされたこと(1時間半以上)
である。
ずいぶん待たされはしたが、オートバックス環4泉店のイイところは、待合スペースが広いことだ▼。
かつ、この日はそれほど混んでなかったので、ソファにひとり座ってゆったりと新聞を読むことができ・・・ただ、ソファの横にマガジンラックがあって、入れ替わり立ち替わり雑誌を取りに(または置きに)来るヤツらが少しうっとうしかった。
大手は不参加なの?
オートバックスの査定金額は、査定終了後にその場で教えてくれる。予想していたよりはかなり高い金額だった(※下図参照)。
さて、他の業者・・・ガリバーとかカーセブンとかカーチスとかビッグモーターとかは、はたしていくらぐらいを提示してくれるのだろうか?そんな期待を抱きつつ「入札結果」のページを見ると・・・
な、なんだコレ!?
いわゆる大手=名前を知っている業者は、オートバックスだけ。あとは、聞いたことのないところばかり。
「持込あんしん査定」ではない、ただの「買取カービュー」のサイトに「査定提携200社以上!安心の全国買取ネットワーク」としてバナーが並べられている大手の業者・・・ガリバーややカーセブンやカーチスやビッグモーターは、カゲもカタチもない。これって、スカイラインクーペが不人気車だから?
さにあらず。このみんカラの記事▼では、
トヨタ・ハリアー(2代目)といういかにも一般ウケの良さそうなSUVを査定しているが、私と同様にオートバックス以外は見たことも聞いたこともない業者ばかりである。
オートバックスの術中にハマる
プロ野球選手のトライアウトよろしく48時間は連絡を待ったが、オートバックスと4つの無名業者以外は、結局どこも名乗りを上げなかった。
はたして、「持込あんしん査定」に大手の買取業者が参加しているのか、参加はしているけどスカイラインクーペなんて不人気車はスルーされたのか、本当のところはわからない。受付のおにいちゃんに聞いてみようとも考えたが、実態を知らないか、仮に知っていたとしても内情を明かすようなことはしないだろう。
大手の業者がどのぐらいで査定してくれるか知りたくて、拙宅から程近いビッグモーターに行ってみようとも思ったが、 店舗が渋滞デフォルトの国道1号に面していて面倒だし、査定金額にも特に不満はないし、受付のおにいちゃんの感じも良かったので、あえてオートバックスの術中にハマることにした。
さよなら、スカイラインクーペ
音楽の趣味を知られるのは恥ずかしい
2018年1月20日(土)、売買契約の日。約束の午前11時・・・からは少し遅れて、オートバックス環4泉店の窓口に向かう。なぜなら、カーナビの「Music Box」を初期化するのをすっかり忘れていたからだ。
店に向かっている途中で気づいて、
(やべ、松田聖子はまだしも、桜田淳子は見られたらちょっと恥ずかしい)
(菊池桃子はまだしも、ラ・ムーはかなり恥ずかしい)
と思って信号待ちの時にアワてて処理を開始したのだが、これがいっこうに終わらない。スカイラインクーペのHDD容量なんて、たかだか30GBかそこらなので *1 すぐに終わるだろう、と思ったのだが、OSがクソなのだろう、15分以上経過してもまったく終わる気配がないので、あきらめた。
この▲ファウンテンブルーにブラックのホイール(キズモノ)を履いたスカイラインクーペが、その後どうなったのかはわからないが、もしあのまま誰かの手に渡って、その誰かがMusic Boxの中に残っていた曲を聴くことを想像すると・・・。
そう言えば、びっちり上限 *2 まで曲をツッコんだコンパクトフラッシュ *3 も、挿しっぱなしのまま忘れてしまった。コンパクトフラッシュなんて今日ビ使い途がないからどうでもいいが、中に入っていた曲を聴かれるのは、ちょっと恥ずかしい。近藤真彦とか山口百恵とか郷ひろみとか、キャンディーズとか。
ま、誰が何と言おうが、「暑中お見舞い申し上げます *4」は稀代の名曲だけどな。
あっけない別れ
査定にはやたらと時間がかかったが、売却の手続きはあっという間だった。待ち時間も含めて、30分もかからなかった。拍子抜けだ。離婚までの話し合いはグダグダとめんどくさいが、いざ決まってしまえば、手続き自体は“紙”を出すだけであっけなく終わる。あれと同じである。
「代車も借りられますよ」と受付のおにいちゃんは言ってくれたが、断った。この時点ではまだ次のクルマも契約していなかったし、かみさんには免許がなく友達と呼べる者がひとりもいない私は、代車を借りても返すときはどのみち徒歩かバスで帰らなければいけないからだ。
というわけで歩いてオートバックス環4泉店を後にするとき、10年の長きに渡って愛し続けたスカイラインクーペの美しいエクステリアをしばらく眺めた。
「スカイラインクーペは何だか寂しげに見えた」などと書くつもりはない。愛車を「君づけ」で呼ぶブログをときどき見かけるが、そのテのセンスにはムシズが走る。それでも、クルマやオートバイはただの“機械”ではない。時間と行動を共にする“相棒”なのだ。
さよなら、スカイラインクーペ。いっしょに走ったいくつもの道のりを、これからも折につけ思い出すことだろう。
(この項おわり)