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四国・九州ツーリング2017~4日目前篇:大分リアス式

4日目のトピックは、何と言っても大分県のリアス式海岸 *1 と、そこを忠実にトレースするグネグネ道である。

toshueno.hatenablog.com

でもそれだけでは字数が足りないので、宿泊したホテルのことや漁村で見つけた衝撃のオブジェについても書く。



 

前日のふり返りと5月1日の朝

4月30日から5月1日にかけては、 大分県・佐賀関港を出たのが21時頃ということで、安心・楽チンのビジネスホテル泊であった。

アンビバレント・ホテル

宿泊先は「天然温泉 ホテル トパーズ 大在駅前」。
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「ホテル」ってより「コーポ」って雰囲気の、「特徴のない外観が特徴」というアンビバレントウリのビジネスホテルである。

佐賀関港から最大の目的地である「TK君の実家」がある佐伯市に向かう場合、大在駅のある大分市は逆方向に位置するのだが、毎度御用達の楽天トラベルで周辺では最も評価が高かったので(・・・ま、できたばかりということで分母が小さいということもあるが)、フェリーのついでにこのホテルも予約した。

部屋は狭かったが、できたばかりということですべてが新しく、その点では気持ちは良かった。本当のウリはアンビバレントではなく「天然温泉」なワケだが、前日の観音寺市・共楽湯でのトラウマもあって、大衆浴場に入る気にはなれなかった。入浴はキレイな「ウチ風呂」でじゅうぶんである。

ただ、音漏れについてはビジネスホテルの標準レベルであった。さまざまな音が廊下や隣室から響いてくる。ま、もう音漏れについてはビジネスホテルには期待していないので気にしない。私のようなシンケイシツは、どのみち耳栓が必須なのだ。

(寒くもないし、ベッドだからよく眠れるぞ)
なぁんて期待したのに、耳栓もして騒音対策もバッチリなのに、なぜか結局4時間半ほどしか眠れなかった。どうなってんのかなぁオレの脳ミソは・・・。

あきらめのコンビニ飯

前日(4月30日)の夜は、チェックインしたのが21時30分頃ということで食事処を探す気にもなれず(というか田舎町ゆえ、そんな時間では営業している店はほとんどないだろう)、
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(▲ホテルのトイメンにあるラーメン屋は4月30日の夜もポツリと営業していたが・・・)

「コンビニ飯は食べない」というこの旅のポリシーをあっさり捨て、すぐ近くにある「セブンイレブン 大分横田1丁目」で晩飯と朝飯と飲み物を3,000円以上、大量に買い込んだ。
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(▲朝飯は、いちおう関東では売ってないっぽい「ご当地」ラーメンを選択)
レジのおにいちゃんのテンパってる様子がちょっと微笑ましかった。爆買い、どうもすみませんでした。

港から始まる旅

ホテルから佐伯市方面に戻る途中、佐賀関港を写真に収める。
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最後から二番目に船を下りたということで前日の夜は閑散としていたが、午前9時30分の佐賀関港は、船の到着を待つクルマと人で賑わっていた。

というわけで、ここから大分県・リアス式海岸の旅が始まる。

 

大分リベンジ

大分県への訪問には2つ目的がある。1つは「彼のお陰で10連休ができた」ということで、大分県佐伯市にあるTK君の実家を訪れて写真を送ること、もう1つは4年前のリベンジである。

4年前、クルマでかみさんと大分県を訪れたときも海沿いをトレースしようとしたのだが、国東半島を廻って大分空港の近くを通り過ぎた辺りで本降りの雨に見舞われたため、途中で断念して高速道路に逃げ込んだのだった。 

(▲当時はまだ東九州道が全通していなかったため、九州道を遠回りして宮崎県に抜けた)

 

佐賀関半島

冒頭にも書いたとおり、5月1日の最大のトピックは「大分県のリアス式海岸に沿って時には俯瞰で見下ろしながら、時には波を被りそうな低い位置で、グネリグネリと海沿いを走り続けたこと」である。

特に午前中に走った佐賀関半島は、まさに「絶景の宝庫」であった。

関崎(高所)

この日最初の絶景には、佐賀関半島の先っちょにある「関崎」の、さらにいちばん先っちょに近いところで出会った。
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この雄大さは、はてなブログの「ブラウザのサイズに最適化した画像」では伝わらないだろうが・・・。f:id:ToshUeno:20170501100529j:plain
しばしこの景色を独り占めしようとしていたら、程なくして所沢ナンバーの初期型トヨタ・シエンタが現れ、50代後半と思しき夫婦が嬌声をあげながら降りてきた。
(そんなボログルマで、よくこんなトコまで来たなあ)
と感心しつつ、夫婦水入らずをジャマしちゃ悪いのでソソクサとこの場を後にした。

関崎(低所)

関崎のもっとも高い場所からわずか1kmほど南下すると、今度は海抜1~2mという低い位置に道路が敷かれている。車線を引けないほど道幅が狭く、ガードレールさえない「ちょっとでもミスったら海にドボン」仕様▼。
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4年前にクルマで大分に訪れたとき、大雨のなか無理をしてこんな所に来なくて良かった。私の拙いドライビング・スキルでは、クルマごと海にダイブしていたかもしれない。

ガードレールのない豪快ポイントからさらに1kmほど進むと、車線もガードレールもちゃんとある、まさに「快走路」が続く。
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ま、写真▲の道路の先を見てもらえばわかるように、快走路はわずかの区間で、すぐに車線がなくなって道幅も狭くなるのだが。

串ケ鼻

関崎を離れてさらに南下を続けると、臼杵湾にちょこんと突き出た「串ケ鼻」という岬に至る。そこにある狭い坂道の入口で、先に進めるかどうか/行くべきかどうか逡巡していると、真横を通り過ぎた1台の軽トラが躊躇することなく坂を上っていく。
(お、軽トラが通れんのか、じゃあ行ってみっか)
と、後を付いていく。それにしても、この軽トラを駆る、リアガラス越しに見る限りは爺さんと思しき人物のドライビング・スキルはスゴい。軽トラの車幅に対して道幅の余裕は左右数センチずつしかないのに、曲がりくねったカーブもきれいにトレースしていく。後ろから見てもほぼほぼギリギリなのだから、運転席での感覚はまったく余裕がないだろう。
(まあ毎日通ってんだろうけど、それにしてもスゲえな)
と感心していると、坂の途中、道が広くなったところで軽トラが止まった。農作業をしていた別の爺さんに用事があるようだ。
(なんだ、もうショーは終わりか)
とガッカリしながら少し先でM109Rを降りて、 (この先も行けんのかなあ)とU字状にカーブした坂の上の方を見ていると、農作業をしていたおばさん▼が
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「この先、ぐるっと廻れますよ」
と親切に声をかけてくれた。
「あ、そうなんですか、ありがとうございます」
と礼を言って、おばさんのアドバイスを全面的に信用してさらに坂を上る。

そして、ここでもまた絶景に出会った。
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本当の「風光明媚」とは、こういう場所のことを言うのだろう。観光スポットを廻るだけでは、絶対に出会うことのできない風景である。

絶景に気を良くしてどんどん坂を上っていくと・・・
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(まじか・・・確かに通れることは通れるけど・・・)
上に行けば行くほど、路面は荒れまくっているのだった。

そして、おばさんの言ったとおり、確かにぐるっと廻ることはできた。ぐるっと廻って、最初に軽トラに出会った地点に戻ったのだった(笑)。

ま、思いがけない絶景を見ることができたから、それでヨシとしようか。

 

長目半島

一方で、絶景と呼べるような景色はまったくないものの、コネタに溢れた地域もあった。

「GYOSON STATION」

佐賀関半島を離れて長目半島に入る頃、猛烈な尿意に襲われる。空腹はいくらでもガマンできるが、排泄行為はムリである。だいいち、カラダに悪い。コカンに力を入れつつ、大分県臼杵市深江という地名の、いわゆる漁村を通りかかる。
(お、これはどっかにトイレあんじゃねえの)
経験上、漁村の小さな港には大概公衆便所があるのだ。漁師さんが漁船から降りた後に駆け込むのだろうか。「小」ならコッソリ海に放てばいいだろうが、大きい方はなかなかそうはいかないだろうから。

案の定、ゲートボール場?的な芝生?が植えられた広場の横を通りかかると、奥の方にトイレらしき小さな建物が見える。
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(ほぉら、やっぱりあった!)
そう得意気に語りかける。誰にって、自分自身に。たったひとりの、孤独なツーリングである。

近くの商店にM109Rを停め、広場を横断してトイレに駆け込む。
(こっち側にも入口あったじゃん・・・)
公衆便所を見つけた喜びのあまり、トイレに近い方の入口を見落としていたいつもどおりの自分のウカツさを責めながら用を足す。

スッキリして広場を横断していると、道路の向こう側に廃校と思しき建造物が見えた。
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そしてすぐに、なにやらおかしな看板が目に入る。
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「GYOSON STATION」
(あー、「ローソン」と「ギョソン」をかけてんのね・・・これ、ちゃんと許可取ってんのかな(笑))
ま、そんなものを取っているワケがない。ヤボなツッコミを入れるのはヤメておこう。「磯端会議」という意味不明なダジャレコピーも鮮烈なこの場所は、「あわびの学校」と称する、廃校を有効活用した「アワビの養殖場兼直売所」であった。

「それは距離がありましょう」

「薬師寺商店」の前に座って、前日コンビニで大量買いして飲みきれなかった生茶(500ml)を飲んでいると、ひとりの老人が通りかかった。
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「おおー川崎から乗ってきたんですか、それは距離がありましょう」
爺さんはナンバープレートを見るとそれだけ言い残して、私の返事も待たずにスタスタと通りに消えていった。
(「ありましょう」って(笑))
内心笑いながらも、その日本語の意味を理解しきれなかった。今これを書いていても判然としないのだが、「距離がありましょう」とは「距離がありますでしょう=遠いでしょう」という解釈でいいのだろうか。過去形ではなく現在形なのは、なにか意味があるのだろうか。

というかそもそも、それだけ言い残して立ち去った彼は、いったい私に何を伝えたかったのだろうか。

「だれか となりにすわって くれないかしら?」

薬師寺商店を後にすると、程なくしてバス停と思しき掘っ建て小屋が目に入った。まあ田舎町にはよくある「社会インフラ」である。が、近づくにつれてすぐに異変に気づく。
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幼児を模したと思しき人形が5体、バス停に常駐しているのだ。2体はベンチに腰をかけ、2体は両側の壁に隠れて外を窺うようにして、残りの1体はその背後に寄り添っている。

さらに、女の子のカッコをした人形の上に掲げられた吹出しの文言にまた腰を抜かした。
「だれか となりにすわって くれないかしら?」
コワイ。コワすぎる。すかさず写真付きでかみさんにLINEすると、「怪しい人形劇!?」というリアクションが返ってきた。そんなファンキーな催し物なら救いもあるが、私の見立ては「地域に子供がいないので *2、それを寂しく思った老人たちが自らを慰撫するために人形を置いたのだろう」というものだ。子供というのは、親にとってのみならず地域全体の希望であるわけだが、それを失って久しいココ深江の老人たちにとってこの人形は、一度は消えてしまった希望の光を擬似的に灯そうとする悲しい試みなのだ。

そして、「だれか となりにすわって くれないかしら?」というセリフは、バス停に居着いている女の子の心中描写なのだから、ここに集まる老人たちはきっとこの子供たちと常日頃から会話しているのだろう。セツナい。セツナすぎる。

・・・ま、そんな私の妄想はともかく、本当のところはどうなのだろうか。

誰か隣に座ろうとする老人が来たらぜひ聞いてみようと思ったが、まったく人の気配がない。ここ臼杵市深江に滞在した30分弱の間、私が目にした人間は、先の爺さんただひとりであった。

(つづく)

 

*1:今日日は「リアス海岸」と呼ぶらしいが、このブログでは長年目と耳に馴染んだ「リアス式海岸」で貫き通す

*2:「あわびの学校」も元々は小学校だろう