SWITCHインタビュー 達人達「園子温×永井豪」
先日(2015年7月11日(土))、NHK教育テレビ*1で、私が尊敬する永井豪先生と園子温監督の対談が放送された。
個人的には「対談モノ」っていうのは映像でも文字媒体でもあまり好きではないのだが、私は「永井豪記念館」を見学するためにわざわざ石川県輪島市くんだりまで行くほどの「永井豪好き」であるので、この対談はじっくり観ることができた。
園子温監督が永井豪先生を尊敬しているのは世代的に当然として、永井豪先生も園子温監督に一目置いているのが話の端々から伝わってきて、観ていて気持ちがいいし、何より、ひとつひとつのエピソードがおもしろい。
作品をイメージするとき、まず映画みたいな、フィルムが動いているように映像で見えちゃうんですよ、サーッて見えて。それを今度紙に写すときに、コマ割り、そのシーンをコマ割りするにはどうすればいいかなと。作品は動いてる映像がそのまま見えちゃうんです。〔中略〕
頭ん中はやっぱり・・・映画になってるというか、絵が見えてるんです。
- 永井豪
やはり天才というのは、どこかが、何かが違う。
園子温監督も、最近バラエティ番組等で何回か見かけた様子から「ただのイロモノ監督」かと思っていたが(すみません)、決してそんなことはなく、若い頃から様々な表現活動を行う一方で、地道にコツコツと映画を撮り続けている方だった。
天才と地道。どちらもすばらしい。好きなことを自分の人生の糧とし、さらに人々に感動を与えている。
見逃した方は、こちら▼の記事でも対談の一端が垣間見える。
ま、当該番組には「再放送枠」もあるので、そのうちまた放送されるだろう(ネット上には違法アップロードの動画もたくさんあるけど)。
冷たい熱帯魚
永井豪先生が対談で「おもしろかった」とおっしゃっていたので、Huluで園子温監督「冷たい熱帯魚」を見てみた。
一言で言って、「見なくてもいい映画」であった。あくまで、個人的な感想だが、これを「おもしろい」と思う人はちょっと・・・それを言ったら永井豪先生もヤバいんじゃないかと思うのだが、「デビルマン」等に描かれた世界観(笑)は、相通ずるものがあるのかもしれない。
Wikipediaによると、この映画は「ホラー」なのだが、ホラー映画というと、首がピョーーーンって飛んだりとかの荒唐無稽なヤツ(そういうのは「スプラッター」っていうのか?)しか、過去に見たことがなかった。これだけ”リアル”なホラー映画は見たことがない。
でんでん(殺人鬼「村田幸雄」役)は、快演と言えば快演なのだが、「セリフまわし」があまり好きではなかった。
私の場合、どうもこの人はピン芸人だった頃のイメージが未だに抜けない。
吹越満(主人公「社本信行」役)は良かった。ちょっとした表情でじゅうぶん感情が伝わってくるこの役者は、この映画にはぴったりだろう。ただ、Wikipediaに
もし再編集することが可能なら、でんでん演じる男が吹越満演じる男に刺殺され、黒沢あすかが笑っているくだりでエンドロール、という形にしたい
とあるように、上記以降の主人公が豹変してからのシーンの数々は蛇足だと思った。
黒沢あすか(村田の妻役)、神楽坂恵(社本の妻役)、梶原ひかり(社本の娘役)の女優3人も、正直に言って芝居もいまいちだったし、女優としての魅力にも欠けていた。まあいずれの役も、引き受けてくれる女優さんはなかなかいないだろうから(ひとりは監督の嫁だし)、仕方ないのかな、といったところだろうか。
ただ、「SWITCHインタビュー」で園子温監督が「低予算なので10日間で撮影した」と言っていたが、そこだけはスゴいと思った。あれだけの内○を用意するだけでかなりの手間がかかりそうなのに。さすがは「制作会社=日活」だけのことはある。昭和30年代に映画を粗製乱造した頃の「短期間で撮り上げる」ノウハウがあるのだろう(関係ないか(笑))。
いずれにしても、「人間の狂気を描いた」にしては”グロい”表現ばかりが目立ってしまって、あの表現を狂気というのであれば、全然”的外れ”だと思うのだが。
こういう映画が評価されるってのは、ちょっとよくわからんわ・・・
*1:いまは「Eテレ」って言うの?正式名称は「NHK教育テレビジョン」でいいの?「Eテレ」はただの”愛称”か・・・