松川浦

松川浦はガキの頃、確か小学校2年から5年の間だったか、毎年親父にクルマで連れてもらっていた。

家族全員で、お盆の頃に。

 

まだ、家族が幸せだった頃の(親父とお袋はケンカばかりしてたけど)、せつない思い出だ。

親父も、お袋も、もうこの世にはいない。兄貴・姉貴と連絡を取ることも、ほとんどない。だから、その頃の思い出は、せつないのだ。

 

松川浦港か相馬港かは全然覚えていないが、早朝に全員で港に行った時、オレが転んでTシャツを泥だらけにしたことがあった。

オレは末っ子で、言うまでもなく一番ガキだったので、家族のマスコット的な存在だった。

だからその時も、泥だらけのオレを見て家族の皆が笑い合った、そんなほのぼのとした・・・ではなく、せつない思い出がある。

早朝に漁港に行き、旅館に戻って朝飯を食べ、それから夕方まで海水浴に出かける・・・というのが定番の過ごし方だったと思う。

 

その松川浦港は、あの震災で破壊され尽くしたのか、当時を思い起こさせるようなものは何も残っていなかった。

港は再建中だったが、そもそもどの辺りが港だったのか、オレにはよくわからなかった。

 

三十数年前のことなので、ハナから港の風景なんて覚えていないのだが。

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もし、あの震災がなければ、変わらずに広がっていたであろう風景が、遠い記憶を呼び起こしてくれたのだろうか。