ブルバードM109Rにグリップヒーターを付けてヘッドライトを白くした:前篇

愛車・ブルバードM109Rにグリップヒーターを付けた。イヤケが差すほど長い冬もいい加減終わりが見えてきてはいるが、そんな時季に大枚はたいてグリップヒーターを付けたのにはワケがある。



 

もちろん自分ではやらない

このテのタイトルの記事だと、「苦労して自分で取り付けました~ (エッヘン)」的な内容が一般的だが、私の場合はもちろん自分では付けない。そもそもそんなスキルがないし、プアなスキルを補うほどのガッツもない。ムリをして時間をムダにするくらいなら、何か他のことに時間を使った方がいい・・・ま、どのみちたいしたことはしないんだけど。

私が自分でできる“限界”は、ナンカイ謹製パワーサプライ「電源くん」を取り付ける程度である。

電装系の修理からタイヤ交換に至るまで、すべて自分でこなすツワモノからすれば「ヘソ茶」レベルだろうが、この「電源くん」をヘッドライトケースの裏に取り付けるのでさえ▼、
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(▲2010年9月29日 今は亡きINFOBAR2で撮影)

ヒューズはどれが適しているのか迷ったり、クソ重いタンクを取り外して持ち上げたり、私にはヒト苦労であった。

今回のグリップヒーター取付では、聞くところによると「スロットルコーンを削ったり」する必要があったそうなので、そうなるともう、(「スロットルコーン」ってなんスか?)レベルの知識しかない私にはお手上げである。もし自分でやろうとしていたら、おそらく一日では終わらなかっただろう。

 

それは店長の何気ない一言から始まった

「あのバイク (=私のM109R) はグリップヒーターとか付いてるんですか?」

先日、レッドバロン戸塚に6カ月点検に行った際、同店の店長に唐突に話しかけられた。

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「付いてないです・・・付けたいんですけどね」そう答えると、「付いてると全然違いますよー、あったかいですよー」と店長が言う。うん、それは知ってる。通勤専用マシン=ヤマハ・NMAXには購入時にワイズギアのグリップヒーターを付けていて、その温かさに毎朝毎晩助けられているからだ (ま、乗車時間は約10分だけど)。

ただ、NMAXは長年の御用達であるレッドバロンを裏切り、「拙宅の近所である」という理由だけで、本業よりもYouTuberとしての作業にご執心のバイク屋「YSP横浜戸塚」で購入してしまったので、「ボク、グリップヒーター未経験なんです」的なテイで「そうでしょうねえ、あったかいんでしょうねえ」と答えた。

ここでひとつ違和感があった。

レッドバロンというバイク屋は、パーツの販売・取付には消極的だと思っていたからだ。実際、M109Rを購入したレッドバロン川崎幸店で「ETCを取り付けて欲しい」とお願いしたときは、「そういうのはウチよりも、バイク用品店で付けてもらった方がいいですよ」と、ニベもなく断られた。だからしかたなくETCは、今は亡き「ライコランド新山下店」で大枚5万円も払って取り付けてもらったのだ。

レッドバロンはすべて直営店だそうだが、店舗によって営業方針が異なるのだろうか。戸塚の店長は、その昔川崎幸店にも在籍していたこともある若者だが、実に良く動く。「テキパキ」を画に描いたような人物で、見ていて気持ちがいい。これは私の勝手な想像だが、川崎幸店の「ダメなところ」を省みて、店長自らパーツの販売・取付を積極的に行っているのだろう。すばらしい。

もともと、グリップヒーターは付けたかったのだ。でも、自分では付けられそうもないし、かと言ってバイク用品屋に行くのもめんどくさかった。パンフレットを持ち出してきて、「グリップヒーター、どうします?」と聞く店長に食い気味に答えた。

「付けます付けます、ちょー付けたいです」

 

グリップ・ビフォア&アフター

グリップヒーター取付前

私は、M109R純正のこのグリップが結構気に入っていた。しょせんスズキ (および関連部品メーカー) 謹製なので質感の高さ等は望むべくもないが、シンプルでブッといところが好きだったのだ。
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このグリップエンド (そこにピントを合わせたつもりが全然失敗だった(恥)) のプラスチッキーなメッキパーツのチープさも含めて、このグリップはM109Rというマシンの性格を象徴している。
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「ブッとくてシンプルでデザイン性に富むが、絶望的にチープ」それが、ブルバードM109Rというマシンである。

グリップヒーターを取り付けるということは、当然、このシンボリックな純正グリップを取り外すということである。中古で購入してから約6年半、約6万km。その強大な鼓動を、掌越しに私に伝えてくれたチープ・グリップは、静かにその役目を終えた。

グリップヒーター取付後

新たに取り付けてもらったグリップヒーターは、「スリムになっても熱いやつ!!」のキャッチコピーもアツい、キジマの「GH07」。グリップの根元に温度レベル切替スイッチが埋め込まれているタイプである。
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(画像出典:株式会社 キジマ)


ハナから期待はしていなかったが、ハッキリ言って見た目はダサい。少なくともこのデザインは、M109Rのキャラクターにはまったく合っていない。f:id:ToshUeno:20170312161139j:plain特に右側は、根元から“ピョロ~ン”と飛び出ているケーブルが「後付け汎用品」であることを物語っていてセツない。

左側の根元、朱矢印▼で示しているのがパワー切換スイッチである。
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確かにハンドルから手を離さなくても操作ができるのは秀逸だが、▲見てのとおりその延長線上にウインカー・スイッチがあるため、大柄なウインター・グローブだと勢い余って右にウインカーを出してしまう。

この位置にスイッチを配置したのは、「指の先まで神経を集中させて運転しなさい」という、キジマのアツいメッセージに他ならない。

 

カラフルなインジケーター

キジマ グリップヒーター GH07」は、スイッチを押すことによって5段階に温度レベルを切り替えることができる。そのレベルを示すインジケーターが、カラフルでなかなか楽しい。

ブルー:出力20%

ブルーはその色のイメージどおり、ちっとも温かくない。でも、色は一番キレイ。つまり、この設定はただの“飾り”・・・「アオなんて飾りです」である。
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グリーン:出力40%

グリーンも冬場でウインター・グローブをしている分には、その温度を感じることはできない。ただし「まったく温かくない」ってこともない。例えば、夏場で雨に降られたときなど、「寒いってほどじゃないけど、ちょっとヌクもりが欲しいなあ」なんて時には役に立つかもしれない。
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イエロー:出力60%

ここから暖色系になるわけだが、その色が示すとおり、「暖房器具」として使い物になるのはこのレベルから。
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オレンジ:出力80%

オレンジは写真がない。いちおう撮影はしたのだが、色調的に赤との区別がほとんど付かないし、ひとつだけ構図がおかしかったので割愛する (すみません)。

寒さがピークの時季、実用に足るのはここからだろう。後述のとおりレッドはバッテリーへの負荷が心配なので、このオレンジがいちばん出番が多くなりそうである。 

レッド:出力100%

レッドはバリバリに温かい。まさに“熱いやつ”である。ただ、レッドバロン戸塚の工場長がこんなアドバイスをしてくれた。
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「CB1100に乗ってるウチの若いコが、ずっと赤のまんまで走ってたらバッテリー上がっちゃったんですよ。だから赤は最初だけにして、温まったら温度下げた方がいいと思います」

高速道路でパンクするのも大概困るが、 

toshueno.hatenablog.com

バッテリー上がりもそりゃ困る。とにかく、走れなくなるのは困る。

ガキの頃、バッテリーがヘタったVFR400Zをよく押しガケしたもんだが、ヨワイ49、車重400kg超のクソ重たいM109Rを押しがけするガッツは、もう私にはない。温かさにカマけて温度調節を怠り、バッテリーが上がってJAFさんを呼ぶ。JAFさんのご到着を待っている間は、当然寒さに打ち震えなければならない。そんな悲劇だけは、絶対に避けなければならない。

キジマのキャッチコピーはこう続く。

「スリムになっても熱いやつ!!でも、レッド・オンリーには気をつけろ!!」

(つづく)