雨の日に雨の曲を聴いて遠い日の恋を思う

今週のお題「雨の日が楽しくなる方法」

私はオートバイ乗りのハシクレであるので(もう既に1ヶ月以上乗ってないので、まさに”ハシクレ”である)、雨は大キライである。タイヤは滑るし、服は濡れるし、視界は悪くなるし、なにひとついいことがない。

また、毎日せっせと電車やバスや徒歩で会社に通う平日も、服や靴が濡れるし、電車やバスの中で濡れた傘を押し付けられるし、道を歩けば傘差し運転のチャリンコに突撃されそうになるし、なにひとついいことがない。

「雨の日でも楽しくなるたったひとつの方法(笑)」と言えば、「雨の情景」を歌った曲を聴いて、その世界に浸ることぐらいだろうか。以前、このブログで「聴きたい音楽がなくなった」などと書いた私ではあるが、雨の日はしんみりと曲の世界に浸りつつ、遠い日の恋を思うこともある。

 

眠れない夜と 雨の日には

忘れかけてた 愛がよみがえる

- 「眠れぬ夜」 小田和正

まさにこんな感じで。

「雨」を歌った曲が多いのは、その暗く単調な風景によって沈鬱な気持ちになる代わりに、恋愛の心象風景を鮮やかに映し出すからだろうか。f:id:ToshUeno:20131011054004j:plainなんつって。恋愛なんて、もう十数年もしてないんだけど。

「雨」と言えばこの曲

まあそういうワケで、JASRACに怒られない程度に歌詞の一部引用しながら、「『雨』と言えばこの曲」をいくつか挙げてみよう。なお、わかりやすいようにタイトルに「雨」が入っている曲に限定する。

雨の物語/イルカ

「雨」を歌った曲はクサるほどあるが、私が最初に思いつくのはこの曲なのである。
雨の情景をストレートに歌ったサビの歌詞はあまりに陳腐なのだが(すみません)、

 

化粧する君の その背中がとても

小さく見えて しかたないから

-「雨の物語」伊勢正三 

雨がまったく関係ないこの冒頭の歌詞は、恋が終わる頃の心情を暗に表現していてとても切ない。

昔、多摩センターのキャバクラに毎晩のように通っていた頃、若くもなくキレイでもないその店のチーママが突然この曲を歌って、その時だけはやけに魅力的に見えたことをよく覚えている。この曲は男性一人称の歌詞だが、どこか幸薄そうな、少し人生に疲れた女性が歌うと妙にハマるのである(もちろんある程度の歌唱力があるのが前提だが)。

九月の雨/太田裕美

いま9月じゃないのが、はなはだ残念だが。作詞:松本隆・作曲・筒美京平という両大巨匠による70年代アイドル歌謡の金字塔である。

 

九月の雨は冷たくて
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九月の雨の静けさが

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九月の雨は優しくて

-「九月の雨」松本隆 ※歌詞はサビ部分の抜粋

九月の雨のさまざまな情景を眺めながら、失恋の痛みを癒やしていく女性の心情の変遷を描写している。冷たい雨が心を静かに落ち着かせ、やがて優しく包んでくれる。私はしょっちゅう気が立っている50代目前の更年期オヤジだが、この曲を聴くとやさしい気持ちになれるのだ。 

雨だれ/太田裕美

太田裕美さんでもう一曲。この曲も「九月の雨」と同じ両巨匠による作品である。

YouTubeに(たぶん「MUSIC FAIR」で昔放送されたヤツだと思うが)太田裕美さんと八神純子さんがトイメンでグランドピアノを弾きながら「雨だれ」と「思い出は美しすぎて」を交互にデュエットする映像がアップされている。

著作権ウンヌンがめんどくさいのでここには載せないが、「削除」と「再投稿」の攻防を繰り返しながら今日(2015/06/09)現在でまだ見ることはできるので、もし未見の人はぜひ見ていただきたい。もっとクリアな音と映像だったら、私は¥500までなら払ってもいい。そのぐらいすばらしい演奏である。

アカシアの雨がやむとき/西田佐知子

神田神保町に「アカシヤ書店」という古本屋がある。

毎朝毎晩、この本屋の前を通るので、その度にこの曲を思い出す。

ま、この曲の世代ではないし、演歌調のメロディはそれほど琴線には触れないので、ただそれだけなんだけど(笑)。

 

アカシアの雨にうたれて

このまま死んでしまいたい

-「アカシアの雨がやむとき」水木かおる

「アカシアの雨」ってのがどんな雨なのかも皆目見当が付かないが、この冒頭の歌詞と「安保闘争で敗れ去った当時の若者たちが、自分たちの”敗北感”とシンクロさせながらこの曲を聞いた」という史実には惹かれるものがある。 

たどりついたらいつも雨ふり

これは恋愛の曲ではないけれど、”トリ”を飾るにはふさわしい吉田拓郎さんの名曲である。

 

やっとこれでオイラの旅も 終わったのかと思ったら

いつものことではあるけれど

アー ここもやっぱり どしゃぶりさ

心の中に傘をさして はだしで歩いてる自分が見える

-「たどりついたらいつも雨ふり」吉田拓郎

「渡世人」よろしく、旅を続けて自分の落ち着く場所を探してきた私ではあるが(要は「転職を繰り返してきた」ってことね)、今の職場もやっぱり「どしゃぶり」であった。「心の中の傘」が壊れないように、ダマしダマし働きつづけているのだが・・・