M109R:インプレッション(2):エンジン/燃費/ユーティリティ/ハンドリング
約1年半ぶりに書き直した、M109Rについてのインプレションのつづき。
前回は全体的なことについて書いたが、今回は各部分について検証してみる。
エンジン
このマイナーなオートバイを知ってる皆さんならご存知とは思うが、エンジンは「地上の乗り物で最大のボア径」を誇っている。
それは単なる“イロモノ”を狙ったわけではなく、スズキ的な頭の悪さ(※褒め言葉です)を誇示するわけでもなく、奇をてらったわけでもなく、明確な目的を持って開発されたものだと思う (・・・たぶんね)。
このクルーザっぽくない”具が詰まってる感”が好き。
そのエンジンは、MotoMapのサイトに
低回転からの強大なトルク特性と高回転域での快適な乗り心地
とあるとおり、
- 低回転域
=まるで心臓の鼓動に合わせるかのような”ドコドコ感”を携えつつ、景色を眺めながらのんびり走ることができるし、 - 高回転域
=振動がウソのように消えて、まるで4気筒のようにスムーズな走りを堪能することができる(瞬間がある)
という特性を持つ。
また、強烈な加速感を味わうこともできるし、エンブレも良く効くし、右手首の“ヒトヒネリ”で自在にスピードを取り出すことができるし、総じて扱いやすい。
私的には、このエンジンと前述のデザインが、M109Rを所有する意義である。
燃費
2015年、たった7回(※5月のみ三泊四日であとは全て日帰り)乗った実績である、「Honda Moto LINC」の「月間燃費グラフ」が下図。
昨年5月に書いたときも上図と同様に「平均燃費:19.1km/L」だったので、だいたいこの辺りがM109Rの平均的な燃費であると思われる。
ちなみに、
- (具体的な数値は差し控えるが)高速道路で法定速度を超過して走り続けたり、
- 街中でシグナルダッシュを繰り返したり、
- 2~3速でヒーコラ言いながら峠を走ったりすれば、
15km/L前後まで落ちる。
逆に高速道路で法定速度前後で走り続けたり、街中でのんびり流したりすれば、 20km/L以上になる。
もしトランスミッションが6速まであれば、さらに燃費は改善されるはずだが、スズキに改良する気は・・・10年経っても5速のままなので、どうやら、さらさらその気はないようだ。
ユーティリティ
ユーティリティは、皆無・・・は言い過ぎだが、いわゆる今どきの“便利/快適/安全”のための装備、例えば、「ソケット系」とか「インフォメーション系」とか「各種電熱系」とか「トラクションコントロール系」とかは、一切付いていない。
ハンドルまわり
両側のスイッチボックスは、ご覧のとおりの必要最小限。
ハンドルポストの上に見えるのが、タコメータ+ランプ類(※2008年型)。タコメータとランプ類はかなり視認性に優れるが、いわゆる“貧乏ランプ”が点滅すると、その視認性の良さが徒(あだ)となり、視界に入ってうっとうしい。
「あ、ウインカー消し忘れてた! ん? あぁ、ガソリンか・・・」って、いまだに勘違いしてしまう。
メータまわり
スピードメータの下に配置される、2つの液晶の「時計/ツイントリップ/燃料計」は、便利装備と言えば便利装備。
でも、こんなのは今どきのマシンならほぼ常識的に付いているだろう。
ガキの頃に乗っていた1980年代のバイクにはどの装備も付いていなかったので、この程度でも「便利だなあ」と思ってしまうのが、少しだけ悲しい。
収納スペース
収納スペースも、これまた皆無・・・いや、これはホントに皆無。
シートと、その下のプラスチックカバーを外した状態(写真上がフロント側)。「何かを入れるところ」は、右側に車載工具用に設けたスペースがわずかにあるのみ。
私の場合、ここは別体型ETCの本体を入れている(おそらくそうしてる人も多いだろう)。
工具は、ご覧のとおり右側のフレームとカウルの“スキマ”に無理やり突っ込んでる状態。
また、シート下にはウエス4~5枚と、車検証・自賠責のコピーを入れておくぐらいの“スキマ”はあるから、カッパぐらいなら頑張れば入るかもしれない。
タンデムシート/シートカウルの下も、ご覧のとおり。「えっと・・・ユーティリティって何すか?」って感じの設計。ここにも、ウエスぐらいなら入る隙間はあるが(カッパはヒャクパー無理)、タンデムシート/シートカウルを外すには六角ボルトを2本外す必要があるので、「何かを入れておこう」って気には(フツーの人は)ならないと思う。
ヘルメットホルダ
クルーザーよろしく、ものすごく低い位置にあるし、キーを差し込んで90度捻ってようやく“棒”がズレる形式なので(つまり、スプリングが付いている親切設計ではないので)、使いやすくはない。
※おまけ
私の場合は、ヘッドライトケースの裏側に電源ソケットを付けている。いかにも「素人の手作業」って感じが恥ずかしいが、ここだとぜんぜん目立たないし、ナビの電源として重宝してる。
ちなみに現行型はここにタコメータ+ランプ類が埋め込まれ、さらにギアポジションインジケータが加わる。
ハンドリング
私は車歴も少ないし、スキルもプアなので、悲しいかなハンドリングについては語るべき言を持っていない。アンダーステアがどうとか、よくわからんし。
それでも、長いホイールベースと太いリヤタイヤから容易に想像できるように、曲がりやすくはないことは確か。
ステップも確かに擦りやすい。
他の人のブログを読んでいて、「『ステップは消耗品』とか言っちゃえる人、かっこいぃー!」とは思うが、あの擦った時の感覚がどうにもイヤなので(クルマのボディやホイールをコスった時の、何とも言えない“切ない”感覚を思い出す)、極力擦らないようにしている。
どうやら私は、そんな「ステップは消耗品」と言い切れるような”無頼漢”にはなれそうにない。
例えば、ここ「竜泊ライン」のグネグネ道なんかは、けっこうキツかった。ちょー楽しかったけど。
エンジンの特性やロングホイールベースがもたらす恩恵として、低~中速(=一般道/高速道路での法定速度以下)で真っ直ぐ走る分には、かなり気持ちがいい。
それに対して高速域では(カウルの無いバイクはどれでもそうだろうが)、やはり風圧がすごいし、具体的な数値は控えるが、ある一定の速度を超えるとフロントの接地感が怪しくなって、ちょっとコワイ。
ちなみに、重心は低いしエンジンは低回転でもトルクがあるし、クルーザにしては車幅も狭いので、すり抜けはやりやすい。
ただしわずかでも段差があると、ぶっといリヤタイヤが災いしてフラつくので、注意が必要である。
(つづく)