岩手リアス式ツーリング2016:2日目 (前篇)
岩手県沿岸部を愛車・M109Rで旅した記録の2日目。元々は二泊するつもりで旅に出たのだが、あまりの寒さに萎えて一泊で帰ったので、これが最終日。
大船渡プラザホテルの朝
目が覚めて時計を見たら、午前5時47分。なんと7時間以上、一度も目が覚めずに眠り続けた。夜中に何度も目が覚めるのがデフォルトの私にとって、これは奇跡に近い。毎日これだけよく眠れたら、もうちょっとマシな仕事ができるだろうに・・・って、そんなに変わんねえか(泣)。
とにかく、大船渡プラザホテルのベッドと羽根枕は非常に快適だった。オススメである。
4階の部屋 (411) から、大船渡“駅”方面を眺める。駅前ロータリー (って言うのかなコレも) には、一晩中駐まっているクルマが数台あったが、こいつらはここを駐車場代わりにでもしてるのだろうか。ま、田舎だからいいのか。
夜は暗くてよく見えなかったが、ロータリーを挟んで駅の反対側の一帯は、まだ全面的に大工事中であった。あの大震災の復旧工事なのだから、工事自体は全然オッケーなのだが、もうちょっとホテルにアクセスしやすいように道路を造れないものだろうか。
ホテルを挟んでロータリーの反対側に、ホテルの敷地にアクセスできる唯一の道路がある。▼左手奥に見えるのが、「ホテルルートイン大船渡」。あちらは岩手県道230号に面しており、非常にアクセスしやすい。不公平だ。
不思議なのは、せっかく新しく造っているこの橋▲が、クルマ1台分が通れる幅しかないこと。どうせならもっと広く造ればいいのに。予算が足りないのだろうか・・・って、さっきから「だろうか」ばっかりだな。事程左様に、不思議なことばかりの大船渡駅周辺である。
大船渡プラザホテル外観▼。最上階の部屋はかなり広そうだ (ビジネスホテルにしては)。
駐車場はこの写真▼の隣にもう一区画あるのだが、どちらもビチビチの満車状態であった。
やはりパッと見、工事関係者の方々のクルマが多いように思う。ご苦労さまです。どうぞご安全に。
首崎には辿り着けず~越喜来
いよいよリアス式海岸を堪能するために走り出す。複雑な形を見せる海岸線の風景を目にするたびに、ここに来られた喜びを噛みしめる。例によって、低スキルな私の写真ではいまいち伝わらないだろうが。
「越喜来 (おきらい)」というステキな地名の付いた辺りのグネグネ道を堪能していて、「→ 首崎灯台」という標識というか看板を見つける。(なんて読むんだ?「しゅざき」?「くびざき」?)*1 なんて思いながら、灯台を目指して走り続けた (つもりだった)。
北里大学海洋生命科学部がある辺りから (それにしてもスゴい場所に大学があるもんだ)、1台もクルマやオートバイとすれ違わなかったが、はたして、辿り着いた先は「行き止まり」だった。
灯台はどこに行ったんだろう。あの大震災で破壊されてしまったのだろうか *2。
しかたないので、愛車・M109Rを写真に収めて気を紛らわす。キャンプ道具は、文字どおりただの「お荷物」となったが、それもまた旅の思い出である(負け惜しみ)。
私が滞在した数分間、クルマもオートバイも1台も来なかったし、上述のとおり、そもそもここに至る道を通ることさえなかった。広々としていて舗装もまだ新しく、ジャマな構造物もない。愛車を撮影するには最適な場所だと思う。
地図と走行ルートログをよく見たら、二股に分かれた、灯台に続く道とは別の方を進んでいた。奇跡的なほどにじゅうぶんな睡眠時間によって、年に数回あるかないかというスッキリした脳ミソだったのに、方向音痴はまったく改善されなかった。
こういった「名もなき道」を走るときは、ナビを使わないことをポリシーとしているのだが、首崎灯台にはナビを使ってでも行けば良かった。そういう機転が利かないところが、いつまで経っても満足なツーリングができない原因のひとつだろう。
重量級クルーザーはツラいよ~岩手県道249号
上述の越喜来周辺も結構荒れていたが、それ以上に、釜石市の唐丹 (とうに) 町から平田に至る岩手県道249号は、折からの台風によるものだろうか、折れた枝葉が路面に散乱していて、かなり難儀した。重量級クルーザーは、ダートもグラベルもこういった路面も、まともに走れないのである。
葉っぱだけならまだしも、中には結構ブッとい枝が混じっていて、うっかり乗り上げると “ゴンッ” という盛大な音ととも衝撃が走るので、肝を冷やした。転倒はもちろんだが、こんな山の中でパンクするのもシャレにならない。
昨今はBMWのGSやホンダのアフリカツインに代表される、いわゆるマルチパーパス系に乗っているお金持ち *3 をよく見かけるが、ああいうマシンなら、こんな道でもなんてことはないのだろう。知らないけど。
また、この周辺は木々に囲まれて眺望もままならなかったので、(フィトンチッド、フィトンチッド・・・)ひたすら脳内でそうつぶやきながら、超スローペースでヨタヨタと走り続けた。
お陰で、ここでかなり時間を取られてしまった。
ほんの少しの絶景~釜石湾
前日だけでなく、この日 (10月21日) の日中も私のプア装備 (下半身は何とUNIQLOの薄っぺらいジーンズ(笑) ) では結構寒くてマイった。東北で生まれ育ったくせに、東北の10月をナメていた。
私の場合、どんな憂鬱な出来事よりも寒さには心を折られるので、一泊で切り上げて帰ることは早々に決めていた。日中でさえ寒いのだから、夜が深まれば深まるほど、寒さは厳しくなる。プア装備であることを考慮すると、できるだけ早い時間に帰るに越したことはない。でもせっかく岩手まで来て、気温的に今年はもうオートバイで来ることはできないので、最後の目的地 (久慈市) までは行きたい。先を急ぎたいが、エンジンを止めて景色も眺めたい。
さまざまな葛藤の中で、木々の間から時折顔を覗かせる風景を写真に収めた。「絶景」と呼ぶのはおこがましいが、オートバイを降りて10mも歩かない、「道端から見える景色」としてはまあまあだろう。
そんな、峠道の頂から見下ろす釜石湾。空と海の青と、木々の深い緑が美しかった。
この位置で、逆光でM109Rを撮ったら光の輪っかで覆われていた。
ま、単にレンズによるナントカって現象なんだろうが (専門用語はわからない)、どこか神々しい。
(つづく)