RSタイチ謹製「e-HEAT」シリーズの、インナージャケット+グローブ+車両接続ケーブルセットを購入してから、はや2カ月。ようやく“実戦”で使用したので、感じたことを書く。
ところで、なぜ2カ月も間が空いたのか。端的に言って「もはやオートバイに跨がるモチベーションを失いつつあるから」なのだが、それについてはまたいつか、別の機会にでも。
【ダメダメな点】実際に使ってもやっぱりめんどくさい
あせらず、たゆまず、ゆっくりと。
前回の記事で、
実に、3つもプラグを外さなければならない。想像するだけでも、なかなかめんどくさそうだ。
はじめての電熱~RSタイチ「e-HEAT」:インナージャケット苦闘篇 - 遠くへ、もっと遠くへ
と書いたが、実際に使ってみてもやっぱりめんどくさかった。いちいち書かなくてもわかると思うが、オートバイに跨がってからの手順はこうだ。
- ジャケットの電源プラグに、車載バッテリーに繋いだ車両接続ケーブルのコネクタを接続
- インナージャケットのスイッチを長押しして電源ON
- 左手側グローブの電源プラグに、ジャケット袖口から出したコネクタを接続
- コネクタが外れないように注意しながら、左手にグローブを装着
- 左手側グローブのスイッチを長押しして電源ON
- 右手側グローブの電源プラグに、ジャケット袖口から出したコネクタを接続
- コネクタが外れないように注意しながら、右手にグローブを装着
- 右手側グローブのスイッチを長押しして電源ON
うーん。こう書いてみても、やっぱりものすごくめんどくさい。そしてこれだけの“儀式”を、オートバイから離れるたびにやらなければならない。車載バッテリーからのケーブルを外すと、すべての電源がOFFになってしまうからだ。
ちなみに見出しは、先日お亡くなりになった赤木春恵さんの著書のタイトルから引用させていただいた。まさに、このシステムを使用する際にぴったりの心がけである。どんなに先を急いでいても、ひとつひとつの作業を確実にこなさなければならない。
あせらず、たゆまず、ゆっくりと。93歳の女優が見つけた人生の幸せ
- 作者: 赤木春恵
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2017/03/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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赤木春恵さんのご冥福をお祈りしつつ、さらにこのシステムの「ダメダメな点」を列挙してみる。
扱いづらいスイッチ
e-HEATシリーズは初期型から同じ仕様なのだが、電源スイッチが使いにくい。なんていう型式なのか、その名称がわからないのだが、
- 2秒長押しで電源ON(発熱レベル=ハイパワー)
↓ - 1回押すとノーマル
↓ - もう1回押すとエコノミー
↓ - さらにもう1回押すとハイパワーまたはターボモード *1
こんなふうに使用する、プニプニしたゴム製のカバーで覆われた押しボタン式のスイッチである。
これの何が使いにくいかと言うと、「ポジションが固定されない」こと、つまり電源ON/OFFや、発熱レベルが固定されない点だ。そして上述のとおりケーブルを一度外すと電源OFFの状態に戻ってしまうので、3つのスイッチをまた長押ししなければならない。
さらに、フォントサイズで表現すると3ポぐらいな感じで“クリ”てな微かな感触があるにはあって、素手だとそれが伝わるのだが、ブ厚いグローブ越しだと非常に伝わりにくい。だから長押しして電源が入らないと、(あら?ちゃんと押してるかな?)と訝りながら、何度もスイッチを押し直すハメになってしまう。
外れやすいプラグ
ジャケットの電源プラグはそうでもないのだが、グローブとY字ケーブルの接続プラグがとっても外れやすい。私が購入した個体に限った現象なのかもしれないが、とにかくちょっとした弾みでスポッと抜けそうなぐらいユルいので、プラグに気を遣いながら、慎重にグローブを装着する必要がある。
もしかすると安全のために、このような仕様になっているのだろうか? コネクタが繋がったまま慌ててグローブを外してもケーブルが痛まないように、とか。
コネクタの接触が悪い?
正直に白状するが、電熱ジャケット初体験は電源が入らなかった。
押されてんだか押されてないんだかよくわからないスイッチを何度も押し直したり、10秒以上(笑)長押ししたりしてみたのだが、赤く光るはずの電源スイッチは“グレーアウト”したままであった。
(まぁたバカだから、どっかの接続間違えたかな)
と、こういう初物では必ず何かしらヤラかす自分を責めてはみたのだが、グローブの方はちゃんと電源が入る。ってことは、車載バッテリーと車両接続ケーブルは正しく接続されているし、Y字ケーブルも少なくとも両袖側はちゃんと繋がっているはずである。
つまり、ジャケット側のケーブルとY字ケーブルとが繋がっていないということになる。
前回の記事で
「どの部分を」「どのように」引き出せばいいのかがよくわからない。
はじめての電熱~RSタイチ「e-HEAT」:インナージャケット苦闘篇 - 遠くへ、もっと遠くへ
と書いたとおり、よくわからないままテキトーに取り出したジャケットの“臓物”を雑に元に戻した時、コネクタが外れてしまったようだ。
とは言え、コネクタを全部外してからジャケットを脱いで、“臓物”を取り出して接続を確認して、さらにクソめんどくさい“儀式”を、イチからやり直す気にもならない。
当日はジャケットは電源OFFのまま2時間ほど走り、帰宅後に(見た目では外れているようには見えなかったが)再度Y字ケーブルを接続し直して電源をONにしてみた。ナニゴトもなかったように、電源スイッチは赤く点灯したのだった。
上述のとおりグローブ側も外れやすいのだが、もうちょっと各コネクタ間の精度を上げるか、できれば、“カチッ”と節度感のあるコネクタにできないものだろうか。
【注意点】やっぱり外し忘れる
インナージャケットの電源が入らないのであきらめて、じゃあそろそろ出かけるかと思った瞬間(あれ?玄関のカギ閉めたっけ?)と不安になった。
念のためサイドスタンドを下ろし、フツーにオートバイを降りようとした。そしてすぐに「げっ」と思わず口走ってしまった。そう、メインケーブルを外し忘れたまま、オートバイから離れようとしたのだ。
これまた前々回の記事で
私のように注意力散漫な人間は5回に4回はプラグを外し忘れて「ああーっ引っ張られるーっ」てな感じのコッパズかしいことになるだろう。
はじめての電熱~RSタイチ「e-HEAT」:車両接続ケーブル取付篇 - 遠くへ、もっと遠くへ
と書いたが、もう最初っからこのテイタラクである。
今回は拙宅での出来事であり、誰も見ていなかったから良かったものの、これが他人がウヨウヨいるSA / PAとかだったら、必ず誰かしらに目撃されてしまうだろう。いいトシこいたおっさんがアタフタするサマほど、コッパズかしいものはない。じゅうぶん注意しないといけない。
そして間違っても、オートバイから急いで降りようとしないようにする必要もある。メインケーブルは外れにくいので、最悪の場合、ケーブルが切れてしまう恐れもあるからだ。
【サイズ感】肩まわりの余裕を取るか、温かさを取るか
e-HEATインナージャケット (RSU601) のサイズは「XL」をチョイスした。
私は身長176cm・体重68kgのジャスト・ア・標準体型なのだが、サイズ感はちょうどいい。ただちょうど良すぎて、肩まわりが少々窮屈ではある。
▲生まれて初めて自撮りをしてみた図
昨シーズン購入した、同じRSタイチのアウタージャケット(タンドラ ウインターパーカ)もXLを選択したのだが、「もうちょっと余裕が欲しい」と思ったのでワンサイズ上も考えた。
でも電熱ジャケットということで「カラダにフィットしないと意味がない」と思い直し、やはりXLにした。“ピッチリサイズ”ってことで腕を上げる動作はちょっとキツいが、エイプハンガーに乗ってるわけでもないので問題はない。
ところで、短足・短腕をピーーーンと伸ばしきってムリしてエイプハンガーを駆る日本人をたまに見かけるが、あれほどみっともないものはない。無論どんなオートバイに跨がろうがそいつの勝手なワケだが、ピーター・フォンダみたいなタッパとスタイルじゃなきゃ似合わない、ということがなぜわからないのだろうか。
【とても良い点】驚くほど温かい
さて、ひとつぐらいはこのシステムの「とても良い点」を書いておこう。
e-HEATグローブは、ものすごく温かかった。「熱い」と表現してもいい。「発熱レベル=ハイパワー」だと熱いので、「ノーマル」でじゅうぶんだった。モバイルバッテリーで使用していた2012年式e-HEATグローブがハイパワーしか使いものにならなかったことに比べると、雲泥の差だ。
そして2012年式に比べると手の甲全体に温かさが広がるので、こと手の感覚だけに限れば、もはや「冬ではない」。
さらに何と言ってもウレしいのは、その感覚が(車載バッテリーがアガらなければ)エンドレスである、ということである。クソめんどくさい接続の“儀式”も、ひとたびこのメリットを享受してしまえば“ヘ”でもない(たぶん)。
残念ながらインナージャケットの方は電源OFFのままだったワケだが、それでも自動車専用道路(ヨコヨコ)を80~100km/hで1時間ほど走行しても、まったく寒くなかった。ちなみに着衣の構成は次のとおり(素肌側から)。
- UNIQLO:半袖Tシャツ (非ヒートテック)
- イーブンリバー:裏起毛インナーウェア (Heat Body)
- RSタイチ:e-HEATインナージャケット (RSU601)
- RSタイチ:タンドラ ウィンターパーカ (RSJ714)
(+UNIQLO:ネックウォーマー)
▲どうにも自撮りがうまくできない図
昨シーズンはインナージャケットではなくUNIQLOのフリースを着ていたのだが、それだと高速走行はキツかった。これでちゃんと電源が入って背中と下腹部がポカポカになれば、かなり幸せな気分になれるだろう。
とは言え、この日 (2019年1月14日) 日中の横浜市西部~三浦半島の気温は、9~10℃ぐらい。それほど「寒い」って気温じゃあない。
まあでも、真冬の北海道をオートバイで走るようなガッツ(「酔狂」とも言う)は私にはないので、
当分はこのシステムでじゅうぶんである。
(この項おわり)
*1:車両接続ケーブル使用時のみ