川崎ラプソディ (5):さよなら、川崎

「あっ!」という間に、5月も5日の朝になってしまった。私のようにトシを取ると、誰でも時間の流れが速くなると思うが、環境が変わるとその加速度が増すようだ。

4日以上も過ぎてしまうと本人的には今さら感でいっぱいだが、この記事を書かないと“シマリ”が悪いので、惜別の想いを込めて「極個人的な、川崎最後の日」について書く。 

toshueno.hatenablog.com 



 

最後の朝焼け

2016年4月30日、引越の日の朝。前日、引越に備えて早く寝たら、早朝に目が覚めてしまった。

写真▼のタイムスタンプは午前4時38分。
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川崎で見た最後の朝焼けは、この場所がかつて「公害の街」と呼ばれていたことなど微塵も感じさせない、澄み切ったキレイなものだった。

 

昼過ぎに荷造りを終える

感傷に浸る暇もなく、荷造りに精を出す。最大の関門であったテレビ/オーディオ機器とパソコン周辺の「配線バラシ」も何とかクリアして、昼過ぎに荷造りをほぼ終わらせた。 

この写真▼のタイムスタンプが午後12時56分。
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引越屋は13時頃に来る予定だったが、この時点でまだ何の連絡もなかった。

 

最後の「都会の風景」

その後、午後1時過ぎにようやく引越屋から連絡が来て、「到着が午後2時過ぎになる」と言う。それは遅い。いくらなんでも遅すぎる。

仕方ないので、マンション周辺の「最後の写真」を撮って時間をツブす。転居先の横浜市戸塚区には「高層ビル」と呼べるものが無いので、自宅からこうした風景を望むことができるのも、これで最後だろう。
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写真▲のタイムスタンプが午後2時29分。

上の写真の反対側、鹿島田方面を望む。ギリギリ、「サウザンドタワー」と「パークタワー新川崎」が見える。f:id:ToshUeno:20160430142915j:plain
こちら側の景色はベランダに出ないと見えないので、ほとんどベランダになど出たことがなかった私には、最後まで新鮮だった。

「(到着が) 2時半を過ぎることはありませんのでぇ~」と引越屋は電話で言っていたが、結局彼等が拙宅に来たのは、午後2時40分頃であった。

 

微笑はかえせず

到着時刻の遅れを取り戻すためか、契約時は「3人で来る」予定だった引越屋は、なんと5人でやって来た。うち2人は中国人と思われる若者で、1人はなんと女性だった。作業の様子を傍らで見ていたが、なかなかガッツのある女の子であった。

   机 本箱 運び出された荷物のあとは
   畳の色がそこだけ若いわ

と昔歌ったのはキャンディーズだったが、さすがに16年と8ヶ月半も住んだ後だと、畳に「若い」部分は残っていなかった。
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www.utamap.com

荷物の運び出しが始まったのが午後3時過ぎ、約1時間ですべての作業が終わった。さすがに5人でやると仕事が早い。 

それでも、部屋の最終チェックに来たリフォーム屋の訪問時刻 (午後4時) には間に合わなかった。私が思い描いていた予定は、

  • 午後1時から作業を始めてもらって
  • 午後3時には運び出しが終わり
  • そこからリフォーム屋が来る予定時刻までの1時間で最後の掃除をする

というものだったが、運び出しが「終わる」はずの時刻に「始めた」んじゃ、さすがに掃除する暇もない(ま、普段から掃除しとけって話だが)。

リフォーム屋に「ハウスクリーニング代、いくらか負担してもらうことになるかもしれませんね」なんて言われたので反論しようと思ったが、確かに、グウの音も出ないほど床は汚かった。
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リフォーム屋には、「15年以上住んでたので、どうかその辺を勘案してください」と“懇願”しておいた。

15年8ヶ月間住んだということで、この記事▼を参考にする限りでは、ほとんどの物の「耐用年数」は過ぎている。

www.kurachic.jp

さて、大家+管理会社は、いくら吹っかけてくるだろうか。はたして敷金は戻ってくるのだろうか。

ついさっき会ったばかりのリフォーム屋のおっさんに鍵を返して、彼に「失礼します」と言って部屋を出たのが、我ながら滑稽だった。ついさっきまで、16年近くもの長きに渡って「自分の家」だったのに。

「借家暮らしの悲しさ」と言ってしまうのは簡単だが、こういう場合は、せめて最後ぐらいは、大家が出てくるのが“スジ”ではないのだろうか。
「大家」「店子」というとまるで「地主」と「小作人」みたいだが、現代風に言い換えれば「販売者 (業者)」と「顧客」、あるいは「ベンダー」と「サプライヤー」である。

  • 大家:長い間お借りいただいて、ありがとうございました
  • 店子:こちらこそ、本当にお世話になりました

そんなふうに微笑みをかえしあう、それが「人間関係」というものではないのだろうか。

 

とっぷりと陽が暮れた後、ようやく引越が終わる

ゴールデンウィークの渋滞に巻き込まれながら、オートバイを駐めていたガレージ(借)▼の鍵を不動産屋まで返しに行ったり、
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その他のヤボ用 *1 を済ませた後で転居先に向かったので、荷物運び入れの現場に私が到着したのは午後7時頃だった。

写真▼のタイムスタンプは午後7時10分。
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まだ、後片付けの最中だった。狭いながらも駐車スペースがあって、クルマではなくオートバイを駐めているため、スペースを有効活用してもらえたようで良かった。

引越料金は、コミコミで124,200円。かなり安い方だと思う。ただしこの料金には、東急リバブル経由で申し込んだ場合の「35%引き」が適用されている。

作業も全体的にテキパキしていて、ホドホドに丁寧で、作業員の皆さんも感じが良くて、何の問題もなかった。

ムービングエス」は、小規模ながらも、とても優れた引越業者です。

www.moving-s.com

(この項おわり)

 

*1:書くのが憚れるほど本当に野暮な用事なので割愛