M109R:インプレッション(3):トラブルと長所・短所
最終項の今回は、あって欲しくはないがどうしても起こってしまう「トラブル」と、個人的見解としての「長所・短所」について書く。
トラブル
他の人もブログ等に書いているが、私もクラッチワイヤが切れる症状に当たった。
2台目は「オドメーター:約10,500km」の中古を買ったのだが、20,000kmに届く直前に切れた。その後、40,000km超えた辺りでまた怪しそうな状態だったので、切れる前に交換。
「クラッチワイヤは消耗品」と割り切って、定期的に交換した方が良いかもしれない。
あとは(2013年6月の記事にも書いたが)、クラッチワイヤステー(※正確な名称は不明)が、ポッキリ折れる症状があった。
原因は不明だが、経年劣化によるものなのだろうか? 症状が表れたのは、初回登録のたった5年後なのだが・・・。
それ以外の目立ったトラブルは、幸いながら今のところない。
長所と短所
以下、まとめとして個人的見解による長所と短所を列挙する。挙げてみたら、数的には短所の方が多くなってしまったが、「少ない長所が、短所を補って余りあるほどの魅力を含んでいる」とご理解いただけると幸いである。
○:デザイン
「曲線で描かれた車体」や「240mmのリアタイヤ」など、記号的にわかりやすい。最近はさすがに少なくなったが、2007年に乗っていたときはしょっちゅう話しかけられた。
特に信号待ちのとき、クルマに乗っている人たちから「それ、どこのバイク?」と聞かれることが多かった。ただし9割がおっさん・残りはおにいちゃんで、女子は皆無なのが残念ではある。
○:エンジン
低回転では“ドコドコ感”が楽しめ、高回転では至ってスムーズ。
1台で、いろんな“味”を楽しめるエンジン。
そして、トルクフルでパワフル。シグナルダッシュなら、概ね他車をリードできる(※SS等は除く)。
×:トランスミッション
やっぱり6速は欲しい。このハイパフォーマンス・エンジンがもったいない。
H-Dをライバル視するなら、なぜ最初から6速にしなかったのか、なぜMCで改善しないのか。
これはメーカーの怠慢であると思う。
×:クラッチ
クラッチは、かなり重い方である。
最初に遠出したとき、「こらオレの握力じゃムリだ」と思って、ソッコー近所のハンズで「握力強化グリップ(50kg)」を買ってきた。それでも、冬場は半日も乗ってると寒さで握力が弱り、握れなくなってマイった。
なお、潤滑剤(「WAKO'S メンテルーブ」等)をワイヤに流し込むと、多少マシになる。
また、2010年型からは(どの程度かは不明だが)軽くなっているらしい。
×:ライト
ライトは、いまどきの「150万円超」のバイクにしては暗い。もちろん街中では困らないが、真っ暗な山道などでは、ハイビームでも少しキツい。
最新型である2016年型でも、写真を見る限りではライトの意匠は変わっていないようなので、かなりの「時代遅れ感」がある。画像出典:Suzuki Cycles - Product Lines - Boulevard M109R - 2016 - M109RB
×:スズキ的安普請
ま、言うても「スズキ謹製」なので、ある程度は覚悟していたが、随所に「安っぽいなぁ」と、テンションダダ下がりな造りが見られる。
私がもっともガッカリなパーツはココ(赤矢印)。何のカバーかはわからないが、軽く押すだけでぐーらぐらする。
一応金属製だし、この「カッチリ感の無さ」に何か意味があるのかも知れないが、初めて気づいた時はガッカリした。「150万超のオートバイでコレ?」って。
この黒い樹脂製のカバーも同様である。
×:各種制御系
「トラクションコントロール」はもちろん、「ABS」も付いていない。
これだけ車重があり、パワーなりのスピードは出るのだから、せめてABSは必須だろう。今日日のオートバイとしては。
△:車重
クルーザーよろしく、車重はかなり重い。カウルもケース類も何にも付いていないのに、車検証に記載された[車両重量]は350kg、[車両総重量]は405kg。
当然「バックギア」なんていう“高級”装備は付いていないので、フロント側を下り傾斜に向けて駐車するのは厳禁である。
また、ある一定の角度(45°ぐらい)以上傾くと、その車重が一気に全身を襲い、まず支えられない(特別に鍛えられた肉体・筋力を誇っているなら話は別だけれど)。なので、私は取り回し時は基本的に跨がっている。その方が、ずっと安心できる。
ただし車重については、取り回し時はマイナスだが、例えば強風時の高速走行など、それが功を奏す場面もある。
まとめ
とにかく、日本、とりわけ「スズキ」のマシンなので、ハッタリとか、オリジナリティとか、ブランド力は最初から望んでいない。
それに対して、マイナス面を遙かに凌駕する日本車的な「信頼性」と「細やかさ」そして何より「スズキデザイン」を、クルーザーという比較的保守的な世界に持ち込んだ、エポックメイキングな1台であると思う。
が、そんなM109Rも地味にロングセールを続け、来年で登場から既に11年目。
そろそろフルモデルチェンジをして、短所をすべて改善しつつ、度肝を抜くような「次世代のクルーザー」を、スズキには造り上げて欲しいものである・・・
・・・先のモーターショーの、この▼ラインナップを見る限り、
スズキにそんな気はさらさら無いようだが。
(この項おわり)