カー・オブ・ザ・イヤーに思う
カー・オブ・ザ・イヤー2015
=マツダ・ロードスター?
今年(2015年)のカー・オブ・ザ・イヤー (以下「COTY」)が、「マツダ・ロードスター」に決まったそうだ。
ロードスターは、いちクルマ好きとしてもちろん興味のあるクルマのひとつだが、このクルマが
市販を前提として日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定し、そのクルマに日本カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを与え、その開発・製造事業者を称えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する。
というCOTYの目的に合致するかというと、少し違和感がある。
なぜなら、「2シーターオープン」という、用途の狭い、趣味性の高い、購入者が非常に限られるクルマだから。
他にもっと“万人ウケ”するクルマで、優秀なクルマはなかったのかしら、と思って「10ベストカー」を見てみたら、
- マツダ ロードスター
- ホンダ S660
- スズキ アルト/アルト ターボRS/アルト ラパン
- ジャガー XE
- BMW 2シリーズ アクティブツアラー/グランツアラー
- フィアット 500X
- テスラ モデルS P85D
- 日産 エクストレイルハイブリッド
- トヨタ シエンタ
- スバル レガシィアウトバック/レガシィB4
うーん確かに、この中で言ったら(消去法で)ロードスターかなあ・・・
「ホンダ S660」に至っては、「2シーターオープン」だけでなく「トランクがまったくない」という、ロードスターのさらに上を行った“ヒャクパー趣味でしか所有できないクルマ”なのに、そんなのが次点だったという。
COTYは、自動車評論家という「クルマ好きの最たる人たち」によって選ばれるものなので、自ずとそんな結果になるのだろうが、トランクを設置する工夫も努力もしないクルマが「最も優秀なクルマ」ではないでしょう、と個人的には思う(ちなみにこれは「軽規格という制約がある」ということを承知の上で書いてます)。
この中で“万人ウケ”するクルマというと、「アルト」「エクストレイル」「シエンタ」「レガシィ」あたりになるのだろうが、どのクルマも、いまひとつインパクトに欠ける。
つまり、「万人ウケするクルマでありつつ、技術的にもエポックメイキングなクルマ」こそがCOTYにふさわしいと思うのだが、そう毎年毎年そんなクルマが発売されるわけではないから、やむを得ないのだろう。
ロードスターと4代目プリウスのデザインに思う
「年間を通じて最も優秀なクルマ」かどうかはともかく、マツダ・ロードスター(ND)のデザインは本当にすばらしいと思う。
画像出典:2016 Mazda MX-5 Miata Club 2dr Convertible Information
なにが良いかってまず、控えめなところがいい。ヘッドライトのこの“小ささ”をはじめて見たとき、ちょっとビックリした。「目、ちっちゃ!」と。
ヘッドライトのカタチをこねくり回したり、グリルをバカでかくしたり、なんでもかんでも派手にすりゃいいってもんじゃないと思うのだ。
そのロードスターのデザインと対極にあると私が思うのが、このクルマ。
画像出典:Car and Driver
カー・オブ・ザ・イヤー2016の大本命・4代目「トヨタ・プリウス」である。
例えば、このヘッドライトの意匠。大阪弁で言えば、「なんなん?」って感じがする。これが、トヨタが考える「21世紀のデザイン」なのだろうか。
もしかすると“未来感”を出したいのかもしれないが、ちょっとやり過ぎである。
“やり過ぎ”と言えば、現行ヴェルファイアの、斜め上に行き過ぎたフロントフェイスを初めて見たときも驚いた。
画像出典:2015 Toyota Vellfire Photo Gallery - Autoblog
ま、「デザインなんて好き好きだろ、ほっとけボケ」と言われるのがオチだろうが、この社会不適合者のイッちゃった目付きみたいなヘッドライトと、ダンゴムシにメッキを施したみたいなフロントグリルはどう見てもいただけない。
「(悪い意味で)こりゃスゲえな・・・」と思ったが、先日(と言っても2ヶ月前だけど)紀伊半島にツーリングに行ったときもかなりの数を見かけたので、それなりに売れているのだろう。
・・・と思って調べてみたら、それなりどころか、2015年1~6月期で3万台近くも売れていた。全車種のランキングでも13位。
ちなみに、兄弟車で、ややフツー目のデザインである「アルファード」は、グッと離されて21位。
- 13位 ヴェルファイア 29,454台
- 21位 アルファード 21,566台
決して安いクルマじゃないのに(というか、じゅうぶん高級車なのに)、この販売台数はスゴい。このデザインを“ヨシ”とする人が、世間には多いということだ。
トヨタ車というと、ひと昔前は「凡庸かつ無難なデザイン」という印象だったが、その“代表格”とも言える「クラウン」のグリルが王冠のカタチになったあたりから、歯止めがきかなくなっているように思える。
トヨタとマツダは「協力関係」にあるらしいので、
ぜひ、マツダのデザイン・センスを採りいれるべきだと思う。
・・・以上、あくまで私個人の感想である。