2019年7月某日、日産グローバル本社ギャラリーで「新型スカイライン」を見てきた。
未来に暗雲が立ち込める会社が未来を語る
本当のところはどうなのか、「中の人達」はどう感じているのかは知らないが、私のようなイチユーザーが触れることのできるメディア報道からは、現状の日産に対していい話はひとつも聞こえてこない。
特に2019年7月26日付けの日経電子版に載った「日産『ゴーン前』回帰の危うさ」という記事を読んだ後には、あと3年以上もローンを支払い続けなければならないイチ債務者として、暗澹たる気持ちになった。
記事の一部を抜粋させてもらうと、こんな▼感じだ。
横浜本社で記者会見に臨んだ西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)のやや早口の説明を聞いているうちに、頭に浮かんだのは「今の日産はゴーン以前の昔の日産に先祖返りしつつあるな」という感想だ。
一部の巨大ディーラーを除いて、日産の米国販売ネットワークは相当に疲弊している――。
エース級の技術者が会社を辞めた、という噂も耳にする。
そんな「お先真っ暗」な会社が、「これが、未来だ。」と恥も外聞もなく言い放って発売したクルマが「新型スカイライン」である。
まさかの日産エンブレム
スカイラインというクルマに何の興味のない人達は知らないだろうが、2013年にフルモデルチェンジした13代目 (V37) には、日産のエンブレムではなく、INFINITIという、日本のメーカーである日産が日本以外で展開している高級車ブランドのエンブレムが付いている。日本の「スカイライン」は、日本以外では「INFINITI Q50」という名前で売られているからだ。
2013年当時は、
アンディ・パーマー副社長は「新しいスカイラインをプレミアムブランドとして位置づけるために、日産ではなくインフィニティのバッジをつけた」と説明する。
なんてハナシがよく喧伝されていた。
どこかは忘れたが、ある自動車雑誌のWebメディアには
- 日産エンブレムが付いた「スカイライン=INFINITI Q50」を中国人観光客に見られてしまうと、中国で展開している“高級車ブランド”にキズが付くから
みたいなことが書かれていて、(ああ、確かにそれは一理あるなあ)と思ったりもした。
今回の“ビッグ”マイナーチェンジ(ってのも冷静に考えると何だかよくわからない表現だが)が正式に発表されるずいぶん前から、自動車メディアには「INFINITIではなく日産のエンブレムになる」そう書かれていた。
イルミネーション付きエンブレムに交換したために不要になったINFINITIエンブレムをリビングに飾っているイチユーザーとしては、
(んなワケねえじゃん、今さら戻すワケねえじゃん)
そう信じていたのだが、7月16日のYouTubeでナマ中継された発表会の映像を見て驚いた。
事前の報道のとおりフロントグリルには、チマタでの評判はスコブる悪い日産のエンブレムが、燦然と輝いていたからだ。
こういうのを「迷走」と言わずに、何を迷走と言えばいいのだろう。日産のおエラいさん達には、「ポリシー」というものがないのだろうか。
そして◎テール
R35型GT-Rライクな「パックリおクチ+Vモーショングリル」とともに、デザイン上の変更点は「スカイライン伝統の4灯丸型テールランプ(以下「◎テール」)」である。
これもどうだろう?かなりビミョーじゃないだろうか?
さて、ギャラリーには、「元祖◎テール」であるケンメリ・スカイラインも展示されていた。
現在の経営陣が、バカ売れした(私がガキの頃、会津というクソ田舎でも本当によく見かけた)ケンメリにあやかりたいと思うのはわかる。
でもこのクルマのデザインには、2017年12月版のテールランプの方が合っていると、個人的には強く思う。
そもそも、「やっぱスカイラインは◎テールじゃなくっちゃね!」なぁんて思っている日本人は、この21世紀にどれほど生息しているのだろうか。
ちなみにケンメリ・スカイラインにはかなり丁寧なレストアが施されているらしく、それはまるで新車のような輝きを放っていた。願わくば、もう少し近くで見られるように展示して欲しかった。
あんぐりおクチにはモノトーンが似合う
これも個人的な意見ではあるが、今回の新しいデザインには赤系・青系よりも、モノトーン系の地味な色の方が合っていると思った。
おそらくは、パックリ開いたおクチのブラックな部分と、赤系・青系のボディとのバランスに違和感があるのだろう。モノトーン同士であれば、それもシックリくる。
新型スカイラインの展示は8月1日まで
いつものようにチンタラ記事を書いていると“あっ”という間に8月になってしまうので、ここでいったんブッた切ります、すみません。
新型スカイライン(およびケンメリ・スカイライン)が日産グローバル本社ギャラリーに展示されるのは、8月1日(木)まで。
V37・INFINITIスカイライン、特に私と同じように2017年12月版を購入した「アワレ日産の救世主」とも呼べる皆さま(この国全体で1,000人もいないと思うけど)には、ぜひ今のうちに新型のデザインを見に行ってみて欲しい。
一貫性のない、付け焼き刃の、行き当たりばったりで出たトコ勝負な「日産」という自動車メーカーのテイタラクを、そこかしこに感じることができるだろうから。
(その具体例については後篇で)