さよなら、スカイラインクーペ:前篇

糊口をしのぐのに精一杯で、ブログにもすっかり興味を失ってからはや数カ月。こちらもまた、すっかりご無沙汰なツイッターをナニゲなく開くと、とある奇特な方が「ブログの更新は辞めてしまわれたのでしょうか」なんて目を疑うようなありがたいことを書いてくれていた。

ま、7月31日にあったその書込みに気づいたのも、10月になってからなんだけど(笑)。どうもすみません。そして、どうもありがとう。

(こんなブログに、わざわざそんなことを書いてくれる人もいるのか・・・)
そう思うと、なんとかまた書いてみようという気になってきた。



 

きっかけは11月の東北道

東北に生まれたくせに

「さよなら、スカイラインクーペ」 などと情感たっぷりにタイトルを打ったものの、その売却からは既に9カ月近くが経過している。前回の記事▼

toshueno.hatenablog.com

を書いたときには、とうに売却を終えていたのだ。1月時点では、その愛しさとセツナサと心苦しさを記事にしようとしていたのだが・・・。

ま、で、心から愛して止まなかったスカイラインクーペを手放すキッカケになったのは、去年 (2017年) 11月の「被災3県ツーリング」である。

前々回の記事▼

toshueno.hatenablog.com

の冒頭にチラッと書いたが、帰路の東北道で想定を遙かに超える積雪があり、ちょっとしたトラブルを起こしてしまったのだ。

写真▼は2017年11月26日の朝、浄土ヶ浜パークホテルビューバス付き和室ツインベッドルームからの眺めである。
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穏やかな秋の空の下に映える松林と、その向こうに見える青い海。庶民的な価格で贅沢な気分を味わうことができ、いい気分で帰路に着いたのだが・・・。

そして一方、同じ日の、同じ岩手県の、東北道は前森山PAの景色▼。f:id:ToshUeno:20171126144425j:plain
もはや、あ然とするしかなかった。もちろん、東北道に向かう道でもちらほら雪が舞ってはいたのだが、いくら何でも積もっているとまでは思わなかった。

会津というこの国有数の豪雪地帯に生まれ育ち、11月の降雪などしごく当たり前のことだとアタマではわかっていたのだが、30有余年にわたる南関東暮らしと太平洋側のあまりのピーカンぶりに、すっかりうっかり雪の恐ろしさを忘れてしまっていたのだ。

外れたチェーンコロコロ

しかたなく、半分泣きながら「ま、どうせ使うことはないだろう」とタカをくくりつつ持参してきたゴム製タイヤチェーンを1時間以上(笑)もかけて装着し▼、
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這這の体で走り出したのだが、あろうことか、岩手山SAを過ぎた辺りで路上の雪がなくなってしまっていた。

そうなると、雪道になど慣れきっていて(チェーンなど付けずに)スタッドレスタイヤだけで済ませている近隣にお住まいの皆さんは、ガンガンに飛ばしてくる。そんな状況下で私の脳裏には、装着した「Yeti Snow net (イエティスノーネット)」のトリセツにデカデカと明記されていた「速度の出し過ぎ厳禁」「高速道路は50km/hまで」という注意書きがずっと浮かんでいた。

とは言え、周りが100km/h前後で飛ばしている中で、50km/hでチンタラ走るのはものすごく迷惑だし、何よりものすごくコワイ。

(ったく、しょうがねえなあ・・・)
やむにやまれず、80km/hまでスピードを上げて走り続ける。

「カコン、カッ、カコン、カッ」
ほどなくして、左後輪から異音が聞こえてくる。明らかにチェーンのロックが外れて、タイヤハウスに当たっている音だ。

(あーー・・・ヤベえなこれ)
と思って間もなく、

「ガラガラガラガラ・・・ガンッ!
この世の中でもっとも耳にしたくない、愛車のボディに何かが盛大にぶつかった時の衝撃音で絶望的な気分になる。ルームミラーを見ると、左後輪から外れたイエティスノーネットが、コロコロと力なく転がっていくのが見えた。そして、それを避けるために右にハンドルを切る後続車の姿も。

あの日あの時、川崎ナンバーのスカイラインクーペの後ろを走っていたドライバーの方、本当に申し訳ございませんでした。この場を借りて、改めてお詫び申し上げます。

落下物は落とし主の責任です

その後、滝沢PAで「チェーンが外れたので回収して欲しい」旨をNEXCO東日本に連絡して待っていると、岩手県警のパトカーが近くに停まり、2人の警官が降りてきた。ひとりは、ロック部分がボロボロに破損してスプリングがグニャグニャに折れ曲がったイエティスノーネットを抱えている。
「これはあなたのモノですか?」
片方しかチェーンの付いていない、雪の東北道には場違いなクーペを見て、すぐにこのクルマが犯人だとわかったと言う。

「しっかり装着したのだが、まわりに合わせてスピードを出したら外れてしまった」旨を伝えて赦しを乞おうとしたのだが、当然そんな言い訳はスルーされ、こっぴどく注意された。
「もし事故が起きたら、あなたの責任になるんですよ!」
おっしゃるとおり、悪いのは私だ。反論の余地はない。グウの音も出ない。

 

ホイールにキズが付くチェーンを売るなよ 

さて、リヤフェンダーの後方下部には、位置的に目立ちはしないが3~4cm四方に渡ってキズが付いていた。百歩譲って、外れてボディにキズが付いたのはしかたない。「誤った使い方」をしたのは確かなのだから。

それよりも、イエティスノーネット▼の大きな問題は、

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フツーに装着しても扁平率の低いホイールだとキズが付いてしまうことだ。

私の御用達であるオートバックス環4泉店では、19インチ・タイヤ/ホイールに装着可能なチェーンはイエティスノーネットだけで、他に選択肢はなかった。「19インチに装着できる」その特異性ゆえに何も考えずに飛びついてしまったのだが *1、だからこそ、ホイールにキズをつけるような商品であってはならないはずだ。

toshueno.hatenablog.com ▲ようやく(笑)をかなえたのに・・・

イエティスノーネット使用前▼。
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写真は交換直後のものだが、イエティスノーネットを装着するまでのわずか2カ月あまりは、このキレイな状態をキープしていた。

イエティスノーネット使用後▼。
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写真ではわかりにくいが、ポリッシュ仕上げのリムが無残にも全面キズだらけになっただけでなく、外れかかったときにスプリング部分が擦れたたのだろうか、光沢ブラックが美しかったスポークにも、ところどころにキズがついてしまった。上の写真はチェーンが外れた左後輪だが、外れなかった右側もスプリング部分が擦れて、リム全面がすっかりキズで覆われてしまったのだ。

オートバックスの店員はその道のプロなのだから、「ホイールによっては傷が付いてしまう」ことを把握しているべきだし、「どのようなホイールに装着するのか」を客に確認すべきだと思うのだが、応対に当たった伏し目がちで自信なさげな店員は、何らアドバイスもサジェスチョンもアテンションもしてくれなかった。

それでも、カンのいい人ならモノを見ただけでホイールがキズモノになることに気づくのだろう。が、私は想像さえできなかった。

自分のプア過ぎる想像力・思考力に萎えながら、10年目にしてようやく交換したのにソッコーで傷だらけになってしまったホイールを見たとき、2007年式スカイラインクーペのアナクロな面が、急に気になり始めた。
(そろそろ買い換えるか・・・)

 (つづく)

*1:ま、物事を深く考えないのはいつものことだが